7/75
〝魔女の夢 The Witch’s dream〟
むかしむかしのおはなしです
この世界には魔女がいました
とてもとてもワルイ魔女でした
新月の夜が来るたびに
魔女は人間たちを捕らえました
お前たちには薬の材料になってもらう
彼らの悲鳴が暗闇に咲いた月のように
魔女の嫉妬を和らげました
魔女には夢がありました
太陽のしたを歩きたい
魔女にとって太陽の光は
ヘビの毒よりも強い猛毒でした
どんな気持ちなんだろう
あの空のしたを歩くのは
木陰からのぞき見る人間たちの姿は
まるで飛び散った星のカケラのように
輝いて見えました
三百回目の新月の夜に
ひとりの人間が魔女に言いました
この秘薬を飲めば
太陽の光に耐性ができる
藁にもすがる思いで
魔女はその薬を飲みました
魔女には夢がありました
太陽のしたを歩きたい
夢を叶えた魔女の目に
焼け焦げた純情が映りました
むかしむかしのおはなしです
この世界には魔女がいました
とてもとてもワルイ
子どものような魔女でした
【第3回】自作小説をテーマに作詞してみた【魔女の夢】