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〝きのうまでの伝説〟
きのうまでの伝説が
遠い過去のものになった
消える花びらのように
僕らの視線はもう二度と
交わることはなかった
傷の痛みなんて考えてたら
走り回ることなんてできない
夕暮れがいつまでも
夕暮れとして残っていた
きのうまでの空とは違うから
僕らはもう振り返らない
汽笛の音がとどろいて
何かが変わろうとしていた
過去を特別なものにする
懐かしさと決別した
視線の先にある未来
あなたはもう
隣にはいないけれど
あなたを信じ進んでいく
傷つくのを怖がっていたら
生きていくことなんてできない
ハトバから見る地平線が
僕らを強くしてくれた
きのうまでの伝説が
遠い過去のものになった
消える花びらのように
僕らの視線はもう二度と
交わることはなかった
もう二度とあなたと会えなくても
きのうまでの伝説が
きっと僕らを支えてくれるから
きっと




