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〝きみのいない世界〟
わたしと一緒に世界を救ってほしい
そんなバカみたいな出会いから
僕らの冒険は始まった
きみは覚えているだろうか?
僕らが初めてケンカした夜のことを
ランプのあかりが月をいだくように
窓辺に咲いていた夜
僕は今でも思いだす
きみのほおを流れた涙を
僕は今でも思いだす
きみのいた世界の優しさを
きみに出会っていなかったら
僕はどうなっていたんだろう
そんな仮定に意味はないよ、と
きみは笑うかもしれないけれど
僕にとってはやっぱりだいじなことで
朝に降る流れ星を見つけるよりも
それは幸運なことだったんだ
きみのぬくもりが消えた手は
ビスケットのないレアチーズケーキのようなもので
だから僕は雨のなか
ひたすらにきみの姿をさがしていた
きみのいない世界
きみのいた痕跡を
僕はさがしていた
わたしと一緒に世界を救ってほしい
そんなバカみたいな出会いから
僕らの冒険は始まって
そして
終わったんだ
【第2回】自作小説をテーマに作詞してみた【きみのいない世界で、僕は生きていく。】