〝この世界の主導者たちはきっとスマホを持っていない〟
砕け散った夏の太陽のそばで
あおじろい顔をした者たちが
勝ち鬨をあげて笑っている
硝煙がけぶる空の下
スマホに映る
さびしげに笑う彼らのすがたを見て
僕は世界の残酷さを知った
きょうもどこかで誰かが泣いている
腐れ切ったこの世界で
僕はベッドに寝転がりながら
スマホを見ていた
クーラーのきいた部屋の中
くだらない笑い声のはびこる日常は
きょうも平和に過ぎていく
ニンゲンは平等だ、と
子どもでもわかるような嘘を
あくまでも主張し続ける
この世界の主導者たちは
きっとスマホを持っていないのだろう
居場所を教えてくれたら
僕が届けにいくのに
砕け散った夏の太陽のそばで
きょうもどこかで誰かが泣いている
くだらない笑い声のはびこる日常を
スワイプしていった僕の指が
止まったスマホのなかで
画面に向かって銃を突きつけていた男が
さびしげに笑っていた
硝煙がけぶる空の下
勝ち鬨をあげる彼らの姿を見て
僕は世界の残酷さを知った
きょうもどこかで誰かが泣いている
この腐れ切った世界の主導者たちは
きっとスマホを持っていないのだろう
居場所を教えてくれたら
僕が届けにいくのに
くだけちった夏の太陽のそばで
あおじろい顔をした者たちが
きょうも世界のどこかで泣いている




