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〝パンドラの匣〟
パンドラの匣をあけよう
逃げまどう群衆にまぎれながら
僕たちはソラを目指した
雲海を抜けた先
振り返った彼の瞳から
希望が星のように落ちていた
たどり着いたソラの上
地上を見下ろして笑っている
神さまたちの目を盗んで
僕たちは匣を持ち出した
パンドラの匣をあけよう
パンドラの匣をあけよう
鬼気せまる追ってから逃げながら
僕たちは地上を目指した
雲海を抜けた先
見上げた彼の瞳から
絶望が渦のようにのぼっていた
たどり着いた地上の家
ソラを見上げて泣いていた
僕たちの目を盗んで
彼はひとり匣を持ち出した
パンドラの匣をあけよう
パンドラの匣をあけよう
そう言って涙を見せながら
匣をあけた彼の瞳に
絶望が朝のように襲いかかってきた
パンドラの匣をあけよう
倒れていた彼の姿を見つけた僕たちは
からっぽになった匣を見た
匣の底に
希望だけが夜のように残っていた
パンドラの匣をあけよう
残っていた希望を取り出した僕たちは
彼の胸にそれを置くと
ただ静かにその場をはなれていった
パンドラの匣をあけよう




