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〝夏の夜明け〟
風になびいたあなたの髪の中に
僕は諦めという名の色を感じた
夏の夜明けはひややかで
どこかで鳴り響くふみきりの音が
まるで世界の終わりを告げるラッパのように
僕の耳に聴こえていた
しらみ始めた空は透明で
星たちのなごりが宝石のように輝いている
あなたはそんな空を見上げながら
そっと僕にささやいた
わたしたち、もう終わりね、と
あなたの瞳が夜を染め上げる
世界を黒く染め上げた
冷え切った僕らの関係のように
冷え切った夏の夜明けのように
にじむ視界はシャボン玉のように
僕の世界を曖昧にさせた
あなたの視線はどこにあるのだろう
僕にはもうわからない
風だけがそのありかを知っていた
あなたの瞳が夜を染め上げる
世界を黒く染め上げた
冷え切った僕らの関係のように
冷え切った夏の夜明けのように




