00_プロローグ
最近、素人ながら小説を書くようになったため、俗に言う「なろうマンガレビュー」動画を見るようになりました。いろいろなレビューを見ているうちに、一つネタを閃いてしまったので、書いてみたいと思います。長い話になるつもりはないですが、途中は完全にアレな話になるので、完結してから見る事を推奨します。
「おーっす!」
バシッ!!
朝の学校。
私・林サトコは挨拶と共に、通りすがりに大里コウジの背中を張り飛ばした。
「痛ってっ!!何すんだよっ?!」
ちょっとした挨拶なのに、コウジがむきになって言い返してくる。
中肉中背、顔も平均並、特徴無しのモブみたいなヤツだ。
「はぁ?何むきになってんの?だっさ!」
私はいつものように軽く受け流して自席に向かう。
朝からちょっとした事でいちいち面倒臭い反応してくるなっての。
「あ、サトコおはよう。」
席に着くと、友人の池井田マリが声を掛けて来る。
どちらかと言うと大人しい性格、容姿も派手さは無いけど、なんかマリと居ると落ち着く。
「はよー、マリ。」
「…ねぇ、止めなよコウジに当たるの。イメージ悪いよ?」
「え〜?アイツ、反応がオタクっぽくて面白いんだよね。別にイジッてあげてるだけだし、良いじゃん?」
「でもさ…。」
「おうい、おはようマリ。」
マリが言い終わる前に、マリの彼氏の小堀ユウスケが来た。
「おはよう。池井田、林。」
その横にユウスケの友達の山崎タクトも居て、こちらに話し掛けて来た。
ユウスケは短髪で、文武両道を体現したような真面目な性格。
一方、タクトはややロンゲで髪も薄く染めてて、ちょっとチャラい。
二人ともサッカー部で顔も良く、そんな二人が一緒に居る事が多いため、女子からの目も引き易く、人気も高い。
そんな片割れをゲット出来たマリの事を、私は正直、羨ましく思っている。
しかも、私もどちらかと言うとユウスケの方が好みだったから、ちょっと悔しい。
「なぁ、今日の数Ⅱの課題、少し見せてくんね?分っかんなくてさ。」
タクトが唐突に課題の話を持ち出した。
チャラそうに見えて、意外と真面目な面があったりするギャップが、タクトが人気な一因だろう。
「あっ、そこ私も分かんなかったんだよね。マリ、教えて!」
「うん。え〜っと、どこかな──」
その日の朝は、いつもと変わらない日常が続いていた。
**********
ドンッ!
「「痛って!!」」
教室への戻りしな、誰かとぶつかった。
相手も私と同じように声を上げる。
──って
「あーっ?!パン落とした!…ちょっと、どうしてくれんのよ?!」
袋入りとは言え、透明な袋なだけに、落とした際に中身がグチャったのが分かる。
ゲシッ!
私は憂さ晴らしに、ぶつかった相手、コウジを蹴飛ばす。
「痛って!何言ってんだよ?!お前の方がぶつかって来たんだろうが?!蹴んなやっ!」
「はぁ?!あ〜、うっざ!コウジのくせに文句言ってくんな!」
ゲシッ!ゲシッ!
コウジが口答えしてきた事に腹がたった私は、そのままコウジを蹴り続ける。
「ふざけんなっ!止めろって!!」
尚も抵抗してくるコウジに、私もむきになって蹴り続けた。
コウジが騒ぐから、周りからも注目されてる気がする。
「…このっ!」
バチンッ!!
?!
視界がブレる。
衝撃があって自分がどうなったのか分からなくなった。
…頬が熱い。
自分は床に座り込んでいた。
「ちょっと、大里君!!女子になんて事するのよっ?!」
マリの滅多に聞かない、張った声が聞こえる。
「う、うるさいっ!そもそもコイツが先に突っ掛かって来たんだよっ!…そ、そもそも、いっつも叩かれ、蹴られて、こっちだって腹立ってたんだ!いい加減にしろよっ!!」
コウジの叫び声が聞こえる。
…はあ?
急に意識がハッキリした。
怒りで。
「ざっけんな!そんな理由で女を殴って良い訳ねーだろぅがっ!!」
「それなら、普段から殴る蹴るしてるお前はどうなんだよ?!そっちだって、暴力振るって良い理由なんてねーだろぅが!」
「はー器小っちゃい!そんなんだからモテね〜んだよ。か弱い女が小突いたからって、むきになってんじゃね〜よっ!」
「そ、そうだよ。いくらなんでも、女の子を殴るのは…。」
マリも加勢してくれる。
「なっ…。」
コウジも次の言葉が出ないようだ。
「──それ、本気で言ってんの?マリ。」
えっ?
いつの間にかユウスケが近付いており、話に入って来た。
「見てたけど、俺も先に手を出して来た林の方が悪いと思う。そもそも、普段から人に暴力を振るってるのも気になってた。てか、マリもなんで止めないんだよ?お前も林と同じように、女なら男に手を上げて良いとでも思ってるのか?」
「そ、そんなこと、思ってない!…けど。」
「「けど」なに?」
「あ…。」
気の弱いマリは、彼氏であるユウスケの言葉に黙り込んでしまった。
「てかさー、やっぱ日頃の行いが、いざって時に出るよな。…周り見てみ?女子も林達のこと遠巻きに見て、助け舟出そうともしないじゃん?」
次にタクトまで話に混ざって来た。
「うっさいなぁ!関係ないじゃん、あっち行ってよ!」
「そんな事言うなら、マリだって関係無いだろ。…離れてろ、たってさ。マリ?」
「あの…、でも。」
「マリは私の友達なんだから、関係あるっしょ!」
「だったら、俺らだって関係あるさ。俺らだって、コウジの友達だし?」
ああもう!
ユウスケもタクトも、横から出てきて揚げ足取りばっかしやがって!
「…で、マリ。どうなんだ?林の普段の行動も踏まえて、一連の流れを見たとき、どっちの方が悪いと思ってるんだ?」
「それは…。」
「…あのさ、正直、俺ずっと林の行動は気になってた。そして、友達なのにそれをちゃんと諌めようともしないマリの事も、どうなんだと思ってた。」
「え…?」
「そこまで価値観が合わないなら、このまま付き合うのもどうかと思ってるんだ。…だから、ハッキリ言ってくれ。」
「えぇっ?!」
ちょ、ちょっと?!
なんでそんな話になんの?!
…いや、クソ真面目なユウスケらしいっちゃ、らしいけど。
チラッ。
マリが私の様子を伺って来る。
…え、マリ?
「…ごめん、サトコ。確かにコウジ君もやり過ぎだと思うけど、先に手を出したサトコの方がどうかとおもう。」
はあああぁぁぁぁぁっ?!
「いやいやいや!たかが女が手を出したからって、大事にする方がおかしいっしょ!?」
「そうかー?俺らまだ高2だし、言うほど力の差なんて大きく無いと思うけど?…ま、そんな話以前に、誰であっても暴力はいかんでしょ?って、シンプルな話だと思うんだけどね。なあ、コウジ?」
「…あ、ああ。しかも、俺だって普段から止めろと言ってたのに、止めようともしなかった訳だし。」
タクトに振られたコウジが改めて、私を非難してきた。
…………。
気付くと、私ら以外のクラスの皆も、こちらを黙って冷ややかな目で見ていた。
「…な、なによ?!私だけが悪いって言うの?」
「いや、コウジも悪い所はあると思うけど、原因作ったのも、今回先に手を出したのも林だろ?」
ユウスケが冷静に指摘してくる。
「ああっ、もうっ!!うるさい、うるさいぃぃぃっ!!」
──その瞬間、目の前が白くまばゆく輝いた。
咄嗟に私は目をつぶり、身構えた。
そして、再び私が目を開くとそこは、見たこともない場所だった。
うう…、主人公が気持ち悪すぎて書き難い、吐きそう。
前書きにも書きましたが、ストレス軽く読みたい方は、短い話なので完結後にサッと読むことを推奨いたします。