第1章 宝石店の隠し財産
1943年6月8日アメリカ ニューカルロ
第1章 宝石店の隠し財産
18歳の少年ヴァスコ・カルメーロと幼馴染のリコ・レオポルドは行きつけの喫茶店セルシオで煙草を嗜んでいた。
ヴァンス「例の盗みはうまく行ったのか?」
リコ「いや、また黒人のやろうに邪魔された!」
リコは、ニューカルロにある【ブルスタ】という町の宝石店に盗みに行っていたが上手くいかなかったらしい。
ブルスタは黒人の街と呼ばれている。
ヴァンス「黒人のギャングには気をつけろっていつも言ってたよな。」
リコ「すまない。」
黒人のギャングは数が多い。しかも常に群れているため敵に回すと厄介だ。
リコ「盗みは失敗したが、いい話を持ってきたんだ!それで許してくれよ…なぁ?」
そういうと、リコは地図を出しある場所を指さした。
ヴァンス「【リンガーヒル】か…あそこはきついぜ」
ヴァンスはすこし苦笑いをしながら言った。
リンガーヒルとはアメリカの五代組織のひとつ[フランコ・リナルド]がボスのリナルドファミリーが仕切っている街だ。
リコ「そうだ!リンガーヒルには山ほど仕事があるぜ!」
リコが手をバンザイしながら言った。
ヴァンス「だがあそこは…」
リコ「リナルドファミリーだろ?お前の言いたいことは分かってる」
ヴァンスの言葉に覆いかぶせるようにしてリコが言った。
リナルドファミリーとは外面はかなりインテリなマフィアだ。だが、裏では気に食わない奴は全て何日もいたぶってから殺す最悪なやり方が有名な組織だ。
ヴァンス「見つかったら終わりだぜおれら…」
リコ「大丈夫だ今度は上手くいく。」
ヴァンスはため息をついて言った。
ヴァンス「いつもそれだな」
2人はタバコを灰皿に押付け、コーヒー代を置いて外に出た。外にはリコの車が置いてある。
ヴァンス「いい車だな」
ビュイックのセンチュリーだ。
リコ「いい男にはいい車が付き物さ!」
自慢げな顔をしたリコがいった。
ヴァンス「にしても女にはモテないよなお前」
笑いながらヴァンスが言った。
リコ「うるせぇーよ!」
2人は車に乗り込むとリコの家に向かった。
2人の住んでいる場所は、スカレッタという街だ。
スカレッタは、五代組織のひとつジラルド・フィルミーノがボスのフィルミーノファミリーが仕切っている。フィルミーノファミリーは義理堅く表社会でも大手企業と手を組んでシノギをしている組織だ。
リコの家の前につくと2人は、車を降り、マンションの裏口から入り2階のリコの部屋へと向かった。
リコは鍵を開け扉を開けた。見た目はボロマンションだが、内装は綺麗でまぁまぁ広い部屋だ。
リコ「コーラとサンドウィッチはいるかー?」
リコがキッチンで叫んでいる。
ヴァンス「コーラはコカ・コーラのやつしかのまねーし、サンドウィッチはハムとレタスだけのやつな!」
ヴァンスは、ハムとレタスのサンドウィッチとコカ・コーラのコーラが大好物だ。
リコ「いつもそれしか食ってねーじゃねーか」
ヴァンス「この組み合わせが1番うめぇーんだよ」
ヴァンスは少し笑うと大きな口でサンドウィッチにかぶりついた。そしてそれをコーラで流し込んだ。
ヴァンス「やっぱり最高だぜ…」
ヴァンスは少しニヤつきながら言った。
リコ「仕事のはなしだが、リンガーヒルには俺とお前ともう1人仲間を連れていこうとおもうんだ」
ヴァンス「誰だよもう1人って」
リコ「お前が仕事に出られない間一緒に仕事をしてた奴だ。名前はダッチ・ワトソン、アメリカ人だ。」
ダッチ・ワトソン アメリカ人 ヴァンスが留置所にいる間にリコが知り合った奴だ。白人でフィルミーノファミリーから仕事をもらっているらしい。
リコ「ダッチがフィルミーノファミリーから仕事をいつも貰ってくる。簡単な仕事ではないが分け前がでかい」
ヴァンス「フィルミーノファミリーの仕事か」
リコ「なぁ、やるだろヴァンス」
ヴァンス「あぁ、やる」
リコ「じゃー、決まりだ!いまからダッチを呼ぶ!」
リコはソファーから立ちあがり玄関にある黒電話でダッチに電話をかける。
電話を終えたリコが戻ってきた。
リコ「今回の仕事はこいつが必要だぜ」
そういいながらリコはピストルを机に置いた。
ヴァンス「M1911か」
ヴァンスは興味津々にピストルを触りながら言った。
リコ「あんまり撃つんじゃねーぞ」
ピストルの話しをしていると玄関のブザーが鳴った。
ダッチ「おいリコ入るぞ」
どうやらダッチが来たようだ。
リコ「はいっていいぞー」
リコがそういうとドアが開いた。長身の白人男性だ。
リコ「ヴァンス、こいつがダッチだ」
ダッチ「君がリコの親友のヴァンスか」
ダッチはそういいながら握手を求めてきた。
ヴァンス「俺がいない間リコが迷惑かけたみたいだな。ほんと申し訳ない」
ヴァンスは冗談を言いながらダッチと握手をした。
ダッチ「早速だが、本題にはいろうか。」
そういいながらダッチはソファーに腰を下ろした。
ダッチ「明日の夜10時にリンガーヒルの宝石店に向かう。」
リコ「宝石強盗か?」
ダッチ「いいや、ちがう。店の地下に店主の隠し財産が眠っている。」
ヴァンス「額はどれくらいだ?」
ダッチ「100万ドルはくだらねぇ」
それを聞いた瞬間、ヴァンスとリコは口を大きく開けて止まっている。
ヴァンス「それは確かな情報なのか?そんな大金信じられねぇーぜ。」
ダッチ「間違いない。フィルミーノの幹部から直接聞いた。」
ダッチ「取り分は俺らが3だ。フィルミーノに残り全額を渡す。」
リコ「それでもおれら1人に10万ドルだぜ!一気に大金を手にできる!」
ヴァンス「あぁ一気に金が手に入るぜ」
2人が喜んでいる所にダッチが一言言った。
ダッチ「おい、喜ぶのは仕事を無事終えてからだ。」
ダッチ「今日はもう寝ろ明日の朝から準備だ」
そういうとダッチはリビングにあるソファーで休んだ。
リコ「俺達も今日は休もう」
ヴァンス「そうするか」
リコはベットへ、ヴァンスはキッチンのソファーで休んだ。
1943年6月9日 ニューカルロ リコの家
翌日、3人は朝から準備に取り掛かっていた。
ダッチ「もう一度、作戦を確認しておこう。店の裏口のドアの鍵を潰して入り、警備員にバレずに素早くレジの床の隠しドアから地下へ向かえ。そして、リコが見張り、俺とヴァンスはバックに金をつめる。それから脱出だ。」
リコ「車はどうする?ヴァンスは車持ってないし、俺とダッチの車じゃすぐに足がついちまうぜ」
ダッチ「ナンバーを偽装している車を持ってきた。馬力のある車だからサツに見つかっても追いつかれる心配はない。」
ヴァンス「それなら何とかなりそうだな。リコが見張りなのは少し心配だが、金を持たせるよりましか。」
リコ「そりゃねぇぜ…」
リコは頭を抱えながら言った。
そして夜の9時頃3人は車に乗り、リンガーヒルの宝石店へと向かった。
宝石店へと着いた3人は素早く計画通りに動いた。
ダッチ「裏口はここだ」
ヴァンス「リコ、今度だけはヘマしないでくれよ」
リコ「分かってる。まかしておけ」
3人は裏口から入ると、リコはレジから警備員を見張り、ヴァンスとダッチはレジ下の隠しドアから地下へと向かった。
ヴァンス「結構下まで続いてるな」
ダッチ「あぁ、急いだ方が良さそうだ」
ヴァンスとダッチは急いで階段を下り金庫へと着いた。
ヴァンス「結構厳重な金庫だな」
ダッチ「これは結構時間がかかりそうだ」
ダッチはバールで何度も叩き、金庫をこじ開けた。
ダッチ「やっと開いたぞ。すぐに金をバックに詰めろ」
ヴァンスとダッチが金をバックにつめていると、後ろから声が聞こえた。
宝石店店主「動くな!1歩でも動いてみろ!このショットガンでお前らの脳天ぶち抜くぞっ!」
宝石店の店主がこちらにショットガンを構えて迫ってきた。
ダッチ「貴様どこから入ってきた!」
宝石店店主「お前らは運が悪かったのさ。俺が金を整理していたときに入って来やがって」
ヴァンス「ダッチ、いまはうごくな!こいつは本当に撃つぞ!」
ヴァンスとダッチは金の入ったバックを下ろし手を挙げた。
その時、ダッチがヴァンスの耳元で何かをささやいた。
ダッチ「俺のタイミングと合わせて壁際へ走れその隙を見計らって俺が撃つ。」
ヴァンスはこくりとうなずくとしばらく様子を見た。
宝石店店主「お前らここに入ってタダで済むと思うなよ!この金の中にはリナルドファミリーへの上納金もはいっている。この事態がバレてみろお前らは簡単にはあの世へは行けねぇぜ!」
その時、ダッチから合図がきた。その瞬間2人は壁際へと走った。宝石店店主は発砲したが2人には当たらず、素早く銃を抜いたダッチに脳天を撃たれた。
ダッチ「はぁはぁ、急げヴァンス!金のバッグを持ってずらかるぞ!今の銃声を聞いて警備員がここに来る!」
その瞬間、非常サイレンの音が響き渡った。
ヴァンスとダッチは急いで階段を上りドアを開いた。扉を開いた瞬間聞こえてきたのは無数の銃声だった。
ヴァンス「リコ!どこだ!早くずらかるぞ!」
ヴァンスが辺りを見渡すと壁際に隠れながら警備員と銃を撃ち合っていた。
リコ「お前ら何があったんだ!下からの銃声のせいで警備員が俺らのことに気がついて警報を鳴らしやがった!」
ダッチ「警報のせいでサツもすぐにこっちに向かって来やがる!急げ2人とも車に走るんだ!」
その時、警備員の撃った銃弾がリコの肩に命中した。
リコ「うわぁぁぁっ!クソが!肩を撃たれた!」
リコの肩から血がドクドクと溢れ出る。
ダッチ「撃ちながら車に走れ!」
3人は全力で走り抜け車へとたどり着き、すぐさまエンジンをかけ、猛スピードで車を走らせた。
ヴァンス「ダッチ、あの店主が言ってた事は本当なのか?」
ダッチ「リナルドファミリーへの上納金の話か?その話はフィルミーノのとこからは聞いていない。」
ヴァンス「あの話が本当ならかなりやばいかもな…」
ダッチ「あぁ、リナルドファミリーに目をつけられるな」
リコ「その話もヤバいけどよ、おれは肩が痛くて仕方がない」
ダッチ「俺の知り合いの医者のとこに向かっている。そこなら金さえ渡せばすぐに見てくれるぜ。あとしばらくの間かくまってもらえる」
3人を乗せた車は、ダッチの知り合いの医者がいるリンガーヒルの隣街の【ヴィットリオ】へと向かった。
初めての投稿で言葉使いなどが下手ですがよろしくお願いします。