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厄介ごとならザッカーマン傭兵事務所へ  作者: サカトウ
Case4.『404』
52/58

06.混沌

「アレ?」


 マンションから出て、ハイウェイに乗ろうとしたところで異変が起きた。

 いくら待っても、ゲートが開かないのだ。

 もしかしたら、通行権の期限が切れているのかもしれない。

 そう考えたジンは、後続車に先を譲ったところで、ジンは違和感を覚える。


「信号機が点灯してないな」


 ハイウェイの出入口のすぐ後方に交差点があるのだが、そこの信号機の電源が落ちていた。

 突発的な故障だと思った彼は、デバイスで車両の通行権を確認しようと、ネットワークにアクセスを試みる。しかし、デバイス上には『ネットワークに接続されていません』と表示されてしまった。


――ドンッ


 轟音が鳴り響いたかと思うと、目の前の交差点で衝突事故が起きていた。

 側面に衝突され天地が逆転した機体からは、火の手が上がり始めている、このままでは燃料タンクに引火して爆発してしまうだろう。すぐさま駆け寄ってみると、シートベルトにもたれ掛かる格好で、ドライバーが気絶していた。

 野次馬が遠巻きに集まり始めるが、誰もが爆発に巻き込まれることを恐れ、彼を助けようとする者はいない。それでも、ジンにはドライバーを見捨てることができなかった。 


 ダンッ、ダンッ

 

 彼は拳銃を引き抜くとなんの躊躇いも無く、フロントガラスに向かって発砲する。

 着弾した弾丸が小さく爆発しガラスが砕けた。

 ジンは身を屈めて運転席まで進入し、どうにかシートベルトを外すことができた。

 拘束の解かれたドライバーを、ジンは外まで引きずり出すと、彼を抱え込んで駆けだした。

 

――ドゴォーン!


 その直後に、機体が爆発した。 

 熱風が背中を焼くが、どうにか一人の命を救うことができた。


「おい!この人を介抱してくれ!」 


 彼の一声で、遠巻きに見物していた野次馬達は目を覚ます。

 ドライバーのために地面に上着を敷く者や、自分のホバークラフトから応急キットを取り出す者、他にケガ人がいないか声を掛ける者が現れ始めた。その中から、数人がジンに近寄ってくる。


「さぁ、ケガ人をコチラに!」

「分かった。頭を上にして…慎重に…」


 彼らはジンからドライバーを受け取り、丁寧に地面に敷かれた上着の上に寝かせると、応急手当を始め出した。これなら、彼の事を心配する必要はないだろう。

 ふぅとジンは一息つき、体に刺さったガラス片を抜いていく。


「貴方もケガの手当を」


 スーツ姿の男性が近寄ってきたが、ジンは手を振って断った。

 これぐらいのケガなら、手当の必要もないだろう。


 今や、上層街の至るところから黒煙が上がっている…下層街からでも見える程に。暴徒達は、これを好機と捉えるだろう。そして、ハイウェイは激戦地になるだろう。

 最悪の場合は、治安維持部隊が高架を爆破して、下層街とのアクセスを遮断する可能性もある。だが、隊長が今も下層街に居るとしても、彼女もその可能性を考慮して、必ずコチラにやって来るはずだ。


「だとすれば…」


 そう呟いたジンは、集積場に向かって歩き出す。

 あそこに積まれたコンテナの中には、事務所が借りているモノがある。

 その中には、非常時のための武装が保管されているのだ。

 ユニオン本部と事を構えるなら、絶対に必要になる。


「隊長、待ってますからね」


 ジンは今や混沌の坩堝と化した、上層街の大路地を一人歩んでいった。


お読みいただきありがとうございます。

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