フリースクール英明塾へようこそ!
光さんと図書館に行けることに、胸一杯にして、僕は目覚める。
下に降りて、居間に行くと父さんと母さんと妹が食卓を囲んでいた。
「おはようございます」
「おう、おはよう」「朝から元気ね」「お兄ちゃん、今日は図書館お休みだけど、どうするつもりなの?」
父さんの挨拶、浮かれた僕を見て、微笑む母親と妹に何か痛いところをつかれた僕。
「そうなのか、今日は図書館お休みなのか?勉強がおろそかになっていないかアツジ」
「大丈夫だよ。今日は光さんと喫茶店で勉強タイムだから」
嘘をついてしまう僕。
「何か目が泳いでいるんだけど、本当なの?」
妹にさらに痛いところをつかれて、「大丈夫だよ」
「そう」
そこで母親が「早くご飯食べちゃいなさい、片づかないから」
僕は席に座り、メニューはトーストとスクランブルエッグとトマトをカットした物が添えられていた。
僕は急いで食べて、リュックを持って出かけて行った。
光さんからラインが届いた。
『いつもの場所で待っているから』
と言うことで、いつもの場所と言うと、今日と明日お休みだが図書館だ。
僕は全速力で自転車をこいで図書館に向かった。
図書館に到着すると、光さんは藍色と白のストライプ柄のワンピースを来て麦藁帽子をかぶっていた。
そんなお洒落な光さんを見て、心臓が飛び出そうな感じがした。
僕はと言うとジーパンに赤いカッターシャツを着たラフな格好に恥ずかしさを感じた。
「おはようあっ君」
「おはようございます光さん」
「タメ口で良いって何度言わせるの?」
とやれやれと言った感じで僕に言う。
僕は光さんのお洒落な格好がまぶしすぎて思わず敬語を使ってしまう。
「さて、行きましょうか?」
光さんも自転車で一緒に行った。
これってデートだよね。
光さんは本当に僕のことをどう思っているのか?
もしかしたら光さん、僕のことを待っているのかもしれない。
僕の勇気を確かめているのだろうか?
でも分からない。でも本当にそうだったら、すぐにでも告白をして・・・いやダメだ。もし違っていたら僕はショックで立ち直れなくなってしまう。
どうしたらこの思い光さんに届くのだろう?
直接言うしかないじゃないか。
とりあえず、今日は光さんとプラネタリウムを楽しむ事に専念しよう。
プラネタリウムは図書館から隣町の橋を越えたところにあるみたいだ。
プラネタリウムに到着して、外観は何か図書館に似ていた。
「さあ、ついたわよあっ君」
「はい」
中に入ると色々なアトラクションが会った。
太陽と思われる周りを地球が月に回りながら回転している物や。一番のスマートな人は誰かと言うフレーズでその鏡の前に立つと、長身に見える鏡なんかもおいてあった。
「何か凄いね」
光さんは言う。
そしてチケット売場まで行って、なぜか僕と光さんはただで見物が出来るようだった。
「どうしてただで見物できるんですか?」
「まあ、ちょっとした裏技が会ってね」
「まさか悪いことをしてお金も払わずに入ったのですか?」
「そんな事、私がすると思う」
ちょっと疑って光さんは少しご立腹のようだ。
僕は光さんを怒らせないように「ごめんなさい。光さんがそんな事をする人じゃないことは僕は知っています」
「また敬語ね」
「あっごめんなさいごめんなさい」
「まあ、良いわ、それがあっ君なんだもんね」
そして光さんにチケットを受け取り、プラネタリウムの中に入っていった。
中に入るとお客はパラパラで満席ではなかった。
そして暗くなり、東京で見られる星が映し出された。
そこで光さんが「あれがデネブ、アルタエル、ベガよ。東京でも見られる星星なのよ」
すると富士山から見られる星星がプラネタリウムの天体から見られて、まるでガラスをちりばめたように星星がきらめきあっていた。
天体しょうは最高だった。
冬の正座も見られて、最高の気分だった。
いつか夏にでも富士山に登り、その星空を眺めて見たいと僕は思う。
「綺麗だったねあっ君」
「はいプラネタリウムに入ったのは初めてでまた来たいとおもっています」
「また敬語を使っているね。タメ口で良いのに」
「やっぱり光さんにタメ口なんてとんでもないことですよ」
「そう。それなら良いけれどね」
光さんに敬語を了承された。
「ねえ、あっ君お昼がてら、ちょっち私とつき合ってくれない?あっ君にとって打ってつけの場所があるんだけれども」
「打ってつけの場所?」
「図書館に来たのは何かの縁だし、あっ君に会ってもらいたい人がいるの」
「僕に会ってもらいたい人?」
もしかしたら光さんの彼氏でも紹介して、あなたとはお付き合い出来ませんとか言われるんじゃないかなと僕は不安になった。
僕は覚悟を決めて「はい。会わせてください」
すると光さんは携帯を取り出して、「今からそちらに向かってもよろしいですか?」
絶対に彼氏だ。
きっとそうだ。
自転車で光さんの後を追って、僕はその後に続いた。
路地から路地に向かい、そこにあったのはフリースクール英明塾とかかれた看板がかかれていた。
「僕に会わせたい人ってここにいるのですか?」
「ええ、私の恩人でもあるの」
「ところでフリースクールって何ですか?」
「あなたみたいな不登校の子の居場所みたいなものよ」
「でもここにもいじめる連中がいるんじゃないかな?」
「いないわ。やんちゃな子は何人かいるけれど、問題はないわ」
それにしてもぼろい家だな。
「さて、あっ君行きましょうか?」
「はい」
光さんはドアベルも押さずに中に入っていく。
「こんにちわ、光です」出口手前のドアを開いて中に入っていくと、髪がくせっ毛のジーパンに白いシャツを着た中年のおじさんがいやされる笑顔で答えた。
「あっ光ちゃん元気?」
「私は元気ですよ。ほら以前話していたあっ君です。今日は二人でプラネタリウムに行ったんだよね」
「あっはい」
「豊川先生、以前も話しましたが、私が提案した学校が嫌なら図書館においでよってニュースに流して、この子だけが来てくれました」
「ああ、そう。僕は豊川と言います。みんな僕のことを豊川先生って言うけれど、そう呼んでもらえると嬉しいな」
「豊川先生、この子は図書館にしか居場所がなくて、親に大目玉を食らったのですが、何とか理解してもらい、虐待と学校に行かなくて良いことは免れたのですが、この子にもお友達が必要と思って来ました」
「まあ、立ち話も何だから、そこに座って話し会いましょう」
ここの部屋にはいくつものパソコンが設置されていた。
僕達が入る前は、この豊川先生はパソコンで何かをしていた。
そんなパソコンを見ていると、豊川先生は「僕がパソコンで何かをしていたか知りたい」
どっちでも良いことだがあえて聞くことにした。
「僕はねえ引きこもりの生徒達にメールでエールを送っていたんだ。発達障害や統合失調症やアダルトチルドレンなど様々な病気を抱えた人達が専らなんだけれどもね」
発達障害?統合失調症?アダルトチルドレン?聞いたことのない病名だ。
「中には五十歳位の人が発達障害で引きこもっている人もいるんだ」
「そんな年になるまでに引きこもっているんですか!?」
僕は驚きを隠せずつい大声で言ってしまった。
初めて知ったことだった。
その発達障害って言うのは恐ろしい病だと。
そこで光さんが「とりあえず、あっ君はお友達が欲しいでしょ」
「ええ、まあそれはそうですけれど」
僕はお友達よりも光さんが欲しいとは言えなかった。
いや言えるはずがない。
これで分かった行き場のない僕に図書館に招きそしてこのフリースクール英明塾を勧める事だったのか?