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種族戦争 遺跡から解る真実  作者: 織田 福助
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第2話 月が2つの世界

 木下健太は異世界へと彷徨い3年、新しい生活をしていたのだが、一緒に住む仲間達と隕石落下地点に行ってみるとそこは地球の残骸が残っていた。

リサの話では3億年前に滅んだ古代遺跡、一体ここはどこなんだろう?健太自身、ここは未来の地球と判断したようだが・・・

 夕日が沈んでいく、もう少しで夜になる。聞き慣れない声の正体は猫族ではあったが、相手は2匹だ。1匹は老いているのか、リーダーっぽいが弱そうな茶虎猫。残り1匹は若そうなロシアンブルーの様な毛ヅヤだった。

「こりゃ、お前達、身構えるニャ!ガキ達が怯えておろう」

茶虎がロシアンブルーにそう言うと、

「しかし、タイガ様、こいつらは敵国住人です、特に人間は子供であろうと何をしでかすかわかりません!」

どうやら茶虎はタイガって言う様だ、猫族は力はない民族と聞くが、魔力タイプとスピードタイプの種族と聞く。タイガは杖を持っている。恐らく魔力タイプの・・・


ゴン!


「フク!ワシに口答えをするでない!」

すごく痛そうな音がした。ロシアンブルーみたいな毛の猫はフクと言う名前なんだろう。しかし、今の一撃でフクは武器を下げ。身構えるのをやめた。

それを好機と判断したマルスとノーラが、大河に襲いかかる!

はずもなく、魔力の不思議な力で小さな雷がマルスとノーラに直撃し、その場で倒れた。

「リザードマンのクソガキめが、ワシに挑むなんざまだまだ早いわ!お仕置きとして、お前達の尻尾はもらっていくニャ」

そう言うと素早く杖を振り下ろし、あっという間に尻尾を切ってしまった。

猫族はリザードマンの尻尾を好物としているのは聞いた事あるが、こうもあっさり手に入れるとは思わなかった。

「どうせまた生えるんじゃ、心配なかろう、フォッフォッフォ」

い、いや、そういう問題なんだろうか・・・

さて、どうしようと思った時、ロビンとデニスが動いた。マルスとノーラを素早く抱え、後ろにさがる。

その行動をじっと見ていたタイガは1度深呼吸をして喋り始めた。

「その昔、生きている者は人間の時代であった。」

古代遺跡を見渡しながら、話はまだ続く。

「ワシら猫族やそちらにいるウルフ達は人間を主人とし、生きていくしかなかった事が遺跡によって発見されている。そちらのリザードマンもその昔存在していた。」

この猫のジジイ、言っていることが真実であり、正しい。

「それだけではないぞ、他の種族だって探せば恐らく古代遺跡との繋がりがあるはずじゃ」

この猫は一体何なんだ?これらを知ってどうするつもりなんだろうか・・・

そんな時、リサがタイガに話かけた。

「あの、猫のおじいさん。この3億年以上前の遺跡にかなり詳しいようですが、一体なぜ?何のために調べているんですか?」

「我がアルニハの国は、いろいろな研究をしておる。お主らピカトーレの住人はこの地を破壊し、汚し、元に戻す事を知らん情けない民族じゃ、ワシらは色々な学者と呼ばれる者達がおる。そんなワシは古代語研究学者のタイガである。」

それを聞いたリサは一体どうしたのか、震えている。怖がる理由はないから恐らく武者震いだろうか?

「すご〜い、タイガ様!ねぇ、もっと古代の事を聞かせてよ!」

と、いきなりタイガを抱きしめた。さっき人間を侮辱したのに聞いてなかったのだろうか・・・とはいえ、タイガはデレデレしている。人間の女が好みなんだろうか・・・

それにしても、やはり古代遺跡っていうのはやはり日本だ、そして古代文字ってのはひらがなや漢字、このタイガの猫がどれだけ知識があるかは知らないが、恐らく俺の方がきっと知識はあるはず。ちょっとだけタイガに興味を持ってしまった。

「おい」

リサにニャンゴロされているタイガとは別に、もう一匹いた猫族のフクが話しかけてきた。

「俺はお前の言葉が気になった。さっきすぴいどおとせって言っていただろ?お前、一体何者なんだ?」

なんだ?なんか、見た目弱そうな猫に偉そうに言われた気がして、なんかムカつく。そんなフクを俺は無視して勝利塾の看板付近に何か知っている物がないか探ってみた。しかし、フクがそれを邪魔する。

「やめろ!人間風情が!この場所はタイガ様の物なんだぞ!」と言いながら、身体を張りながら邪魔をする。そんなフクの足元には多分塾の教科書であろう物がボロボロながらに見える。俺がその教科書に目をやっていた為、フクも真下を見た。

「はっけーーーん!」

フクは素早く拾い上げた。ちょっと興奮したのか、爪を立てながら拾い上げた為に、教科書が半分ちぎれ、半分はフクの手に、もう半分は拾い上げた反動で俺の手元に。

「しまった!」

やはりこの猫はバカなんだろうか。

改めてその教科書を見るとちぎれそうなくらい劣化している。しかしその教科書は、俺の持っている国語の教科書そのものだった。俺は天を仰いだ。一体どういう事かわからない。俺がこの世界にきた時に、バッグに入っていた国語の教科書と全く同じって事は、やはりここは3億年前の・・・

その時、タイガが長く話かけた。

「ワシらのこの大地と言う物が生まれたのは、我がアルニハの研究では80億年前とわかった。そしてこの遺跡じゃが、3億年前の遺跡、今までの研究では3億年前と言われておった。猫族、人間、エルフがまだ戦争をせず中の良かった五年前まではな。しかし、エルフが土地を意識し始め、人間までも土地を意識し始めた頃に、種族戦争の時代が起きてしまった。そんな中ワシらは武器を持たず研究を重ねた。そこで分かったのは、この遺跡は、40億年前に生きていた人間の遺跡ということがわかった。何故我々は生きているのか?今後どう生きていくべきなのか?我らは考えた結果は、別種共存で話は纏まった。しかし、遅かった。人間もエルフも土地拡大を重視し、人間は国を、エルフは帝国を築き上げた。ワシらは居場所を失い、アルニハ山脈にしか居場所がなくなってしまった。我が頭領、モモは考えた。このまま人間とエルフと対立するのか、降伏するのかをじゃ。そしてモモは対立を選んだ。何故かわかるか?それは、古代人は今の我々より技術があるからじゃ、今のエルフも人間も遺跡にあまり興味を持っていないだろうが、この古代遺跡を極めた時、我が猫族に勝機あり!」

長々と話はしたが、その遺跡を極めるなんて、後何年かかるんだよ・・・やはり猫の頭じゃ単純にしか考えてないのかもだ。色々と地球の事を研究しているのは素晴らしい事なんだが、考えが甘い。ましては敵だしな。

ん?

敵?猫族は敵?確かに猫族だのエルフだの種族がいて敵対しているのはわかる。しかし突然この時代に来た俺にとっても敵なんだろうか?

それに今、3つの国で争っているけれど、学舎の地図の勉強からすると、恐らく小さな国同士の争いだ。海の向こうにも大陸がある事を恐らく皆んな知らない。アメリカ大陸やユーラシア大陸が今も存在するかわからないが、形が多少変わっているかも知れないが、きっと大陸はある。そこにもきっと何かしらの種族はいるはずだ。これをこいつらに言うべきだろうか、いや、変な刺激を与えるのはよしておこう。さて、とりあえず猫達も遺跡の探りに来ただけだし、そろそろ第2月が出る頃だし、帰らないとな。


ん?


第2月?そうだ!思い出した!この世界には月が2つある!

「おい!じじい!」

ガン!

「誰がじじいじゃ!」

しまった、つい興奮してしまった。

「月ってなんで2つあるんだ?1つじゃないのか?」

そう言ってしまうと、今までにないまともな顔つきになった。余計なこと言ってしまっただろうか。

「あのね、健太、月は今ピカトーレンで採取する研究をしているの。研究が進歩し、採取出来たら2つある理由とかわかるんじゃない?」とリサらしくない発言をしている。俺は我慢できなかった。

「フォッフォッフォッフォッフォッ」

「ギャーハヒャヒャハハハヒャハハハ!」

俺は思わず笑ってしまった。同じように、タイガも笑っていた。

「リサ、お前はバカか?月はかなり遠くにあるんだぜー。」




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