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6話 ギルヴェルトとの契約





「クリスティアに…私と同じ転生者がいるのですか…?」


まさか自分の他にも転生者がいるとはリリゼットは思ってもなかった。


「その転生者の名はなんというのですか…?」


「依頼人の名前はまだ言えない。そういう取り決めだったからな」


『聖天使アリシア』でのギルヴェルトは暗殺者だったが諜報員の場合でも依頼人の名前は簡単に明かさないようだ。


だが今までの彼の言葉から相手の性別が女性なのは確か。


「ところお前の中でクリスティアはどのような国だと思っている?」


「ガルヴァンから遠く離れた場所にあって未だに戦争の傷跡が残る国というイメージですね…」


クリスティアという国は『聖天使アリシア』の派生ゲーム『クリスティアの乙女』の舞台にもなった国。


リリゼットがこの世界に転生して分かったことだがこの世界にはガルヴァン、クリスティア、ユーフォニムの3国が大国として存在している。


その中でクリスティアは10年以上前に魔法石が採掘される鉱山を巡った戦争でどうにか鉱山は守りきったが国は疲弊し3国の中で一番発展が遅れている。


そして場所もガルヴァンの隣国ユーフォニムよりかなり離れた位置にある。


「そういわれているが異世界人の魂を持つ転生者がクリスティアに生まれてから国は文明が恐ろしいほど進んだ」


現在クリスティアの転生者が開発、発案した物の情報が他国に漏れていないだけで衛生面、医療、魔道具の種類、食文化すべての水準が強国ガルヴァンを恐ろしいほど上回っているのだという。


「今まで他の2国には知られぬよう対策がとられていたがそろそろクリスティアの力を見せつけるために1週間ほど前にガルヴァンとユーフォニムの国王夫妻を招き視察させた。その所為でバカ王子(エドワード)の暴走が加速してしまったがな…」


最後の一言だけリリゼットに辛い思いをさせてしまったという罪悪感だろうか、ギルヴェルトは申し訳なさそうに言った。


そして依頼人がギルヴェルトにリリゼットの保護を依頼したのはこの先リリゼットが転生者だと知られた後に利用するだけ利用して捨てられる可能性を危惧していたからだとも彼は説明した。


ギルヴェルトのその言葉でリリゼットは卒業パーティーに国王夫妻が不在だった理由を察した。


国王夫妻が視察に出かけた行き先はクリスティアだったのだ。


「ですがガルヴァンに従う理由が無くなったのでかえって良かったかもしれません」


ガルヴァンは長年強国として栄えプライドが高い国、今まで見下していた国が自国より発展しているのを見てしまったら帰国した後に国王は自国に転生者がいないか必死になって探し出すだろう。


そして探し出された転生者は…身分が貴族でも自国発展の道具として扱われることが予想できた。


仮にリリゼットがクリスティアへ渡った後にガルヴァンの者に彼女の生存、転生者だということが知られれば『祖国(ガルヴァン)に戻り国の為に尽くせ』とも言われかねない。


それを考えればエドワードの暴走で自害するまで追い込まれたのを理由にガルヴァンへの協力を突っぱねることができるのでは?ということをリリゼットはギルヴェルトに言う。


「確かに断る理由にはなる。だがガルヴァンにはお前にとって人質になりうる者達がいるのではないか?」


「!?」


ガルヴァンに残した異母弟のグレン、アルガリータ家の使用人達、フランシスとアレンなどの友人達、リリゼットにとって大事な者達が人質にされてしまったらガルヴァンに従わざる得ないことを彼女は失念していた。


リリゼットはまだ青白い肌から更に血の気が引いていくのを感じた。


「お前から依頼を受けているからな…。お前の命だけでなくお前の大事な者達をクリスティアに呼び寄せ身の安全の確保を上に進言するなどして俺が守ってやる」


「え?私の依頼??」


ギルヴェルトが言うリリゼットの依頼と思ってもみなかった彼からの提案、彼女はギルヴェルトに依頼をした記憶はない。


「お前が寝言で助けを求めた時に俺が言っただろ。その依頼、確かに承ったと」


ーあれって幻聴じゃなかったの!?


リリゼットがこの馬車の中で目覚めた時に聞いた『聖天使アリシア』で彼女が一番好きなあの台詞は幻聴ではなくギルヴェルトが本当に言ったものだったようだ。


「依頼の追加はするか?」


アルガリータ家の使用人達とフランシス達は自分の身は自分で守れるかもしれないがグレンはまだ8才だ。


自分の身は守ることもできなければ友人達を頼ったとしても守りきるのは簡単ではない…。


「はい、お願いします…」


リリゼットは自分の命だけでなく親しい者達の身の安全の確保をギルヴェルトに依頼した。


「では早速報酬を貰おう。報酬は金よりお前の純潔が欲しい」


「ふぇっ!?」


確かに今のリリゼットは死を偽装し一度罪人墓地にそのまま埋められたので無一文であるがギルヴェルトから予想外な報酬を求められ思わず彼女はおかしな声が出てしまった。


「い、今からですか…?」


「俺は上流貴族程ではないが魔力がある。お前は自身と身内の命、魔力の補充ができるのだから安いものだろう」


魔力の補充、確かに"男女の行為"をすれば男性側は女性に魔力を分け与えることが可能だ。


「貴方は報酬をそんな安物で済ませて良いのですか?」


リリゼットが転生者だという理由で他国に誘拐、命を狙われることになれば彼女を守るギルヴェルトも無傷では済まない。


それならば貴族令嬢の純潔よりそれに見合った大金の方が良いはずだ。


「…未開通の元公爵令嬢を抱く機会は滅多に訪れるものではないからな。孕んだらどうするかはお前が選べ。どちらを選んでも責任は取る」


ギルヴェルトは上着を脱ぎ白いワイシャツ姿になる。


「わかりました…どうぞお好きなように…」


前世でも未経験だった彼女の声はこれから行われる未知の行為に怯え震えていた。


「…加減はするが途中で余裕がなくなるかもしれん。お前は美しい声をしているからな」


リリゼットはその身を全てギルヴェルトに委ね穢れ、男を知らぬ清らかな身を彼の好きにさせ純潔を散らした…。



ほそく


1週間で遠くの国に短期間で行けるのか?と思われるでしょうが各国には国王または王妃が使用が許される瞬間移動の魔道具があり遠くの国にも一瞬で行くことが可能という設定でございます。

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