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九話目です。“こんちゃんけんちゃん……うむ、悪くない。”

 静絵さん出て行っちゃいましたね。


いいんで……

(ガタン)



「ただいま〜〜〜!」



「なっ!」「もうっ!?」



 早っ!


 静絵さん帰ってくるの早っ!


 記録にして三びょー。


 新記録です。


 さすがは静絵さん。


 さすがは音速のビーナスってとこです。



「お帰り〜!


 は無いの?」



 いや〜無理っしょ。


 三秒じゃあ外出たことなんないです。



「だって〜お外、

 寒かったんだもん」



「その格好で、

 出て行ったのが間違っておるのだ」



 Tシャツにジーンズ……

 さむいね。


 そりゃ。


 ……一応エプロン付。


 ……なぜ!?



「それはゴンちゃん。


 雰囲気よ、


 雰囲気。


 ふ・ん・い・き。


 くわしくは聞かないでね〜」



「母上はただ単純に憧れていただけ。


 人の生活に」


 

 エプロンもその一つ、

 と。


 おっ!


 そういえば金剛。


 いつの間に?



「冒頭からおったわ!」



 あっ…そう。



 ありゃ?


 静絵さんふくれっ面。



「もう!


 お姉さんって呼んでっていってるのに!」



 まだ言ってる……

 仕方ありません。


 みなさま百歩でも千歩でも譲ってあげましょう。


 ここは。



「そうだな。


 わかったよ。


 静絵ねーちゃん」


 金剛は少しアレンジを加えた。



「えっ?


 えっ!?


 えーっ!


 こんちゃんもう一回!


 お願い!


 もう一回呼んで!」



 よほど嬉しかったんですね。


 まあ静絵さんの外見ならお姉さんと呼んでも、

 全然無理も問題もないですけど。



「しずえねーちゃん」



「ぁぁぁあああ……

 あ〜〜〜!


 ……くっはぁぁ〜〜〜!


(壊れた、

 静絵さん……)


 な〜にこんちゃん!


 おねーちゃんが何でもわがまま聞いたげるよん」



 素晴らしく最高な笑顔ですね……



「………」


 なんか言え!

 金剛!



「……ゴンのことはこれから健太と呼んでください」



「えっ!?


 名前決まったの?


 ごめんね〜けんちゃ〜ん。


 おねーちゃん知らなかったの〜」



 あっ……

 別にどっちで呼ばれても構いません。


(金剛め〜うまく僕に流しやがった)



「でもまだ、

 他が決まってないでしょ?


 おねえちゃん。


 張り切っちゃうから!」



 あの……

 どこをどう張り切ろうというのですか?


 静絵さん……?



「あ〜ん。


 けんちゃんもおね〜ちゃんって呼んでっ。


 わたしはけんちゃんの姉としてこれから一緒に暮らさなきゃいけないんだから」



「えっ!?」「へっ!?」えーーーーー!?



 重三さんが問い返す。


「いや、

 我々が人になることがあろうとも、

 この世界に棲む必要は……」



「なにを言ってるの!


 そんなことを言うのならあなただけでも、

 とっとと元の場所にもどってくださいな!」



 静絵さん怒った。


 今度は本気だ。



「家族のほうは代役を立てれ……」


「だいやくぅ〜!?

 そんな赤の他人にけんちゃんが任せられますか!」


「お前を残しては……」


「あなたは早く帰って下さい!


 後はわたしとこんちゃんけんちゃんで全然やれますから!」


 

 こんちゃんけんちゃん……コンビ結成ですか?



「……わかった。


 お前が健太の姉をやればいい。


(母じゃなくって?


 ……はっ!


 野暮だった……)


 だが、

 私はまだ残るぞ。


 健太の人として過ごすための環境がそろうまでな」



 静絵さん、

 僕のほうに振り向く。


 いつの間にかその美しい顔は、

 笑顔に変わっていた。



「では改めて、

 けんちゃんの姉になる静絵です。


 よろしくね」



 はい……

 よろしくです……。



 多分、

 こんなのまだまだ序の口なんだろうな……。






 静絵さん……

 僕の姉に決定……。




 まあ、

 こうなることは予感してたけど……。




 ハア……

 帰りたい……。





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