さあ、何を観ているでしょー…かっ!?
白川さんに連れられ皆が待つ待合室へ。
さて、皆の反応はいかに!?
「はい着いた、私、ちょっと用事あるからここで皆と待ってて」
長い廊下歩きーの、階段降りーの、また長い廊下歩きーの……とつ…………。
じゃなくて、待合室と表札に書かれた扉の前まで来ました。
白川さんは他にやる事があるみたいで、入る前に先の言葉を言い残してどっか行っちゃいました。
んーまぁ中に入ろう、待合室の扉を開けて、と。
待合室に居たのは四人、全員ソファーに座ってテレビを見てた、ん、あれ?
一人、余計に多いよ……、右から静絵さん、蝉零さん、金剛、で、あと一人、誰?
見知らぬ和服の老人が一人追加されてる。
ものすんごいしかめっ面でテレビを見て、威圧感がハンパ無い。
……そんな事より、今来た僕に誰一人気づいてくれない、ちょい悲しいわけで。
ここでアピール……しても仕方無いので、取りあえずどっか座ろう。
テレビの前のソファーにはきっちり四人座って、僕の入る余地は無い。
別の座る場所を探すため待合室全体を見渡してみる。
右隅にちょこんと木箱が置かれてた、僕が座るにはちょうどいいくらいの高さだ。
他に座れそうな場所は見当たらないし、ここでいいや。
僕は木箱の元まで歩き、そして座る。
……………………。
……………………。
……………………。
……………………。
…………………………なんだか…………。
なんだか、無性に切ない……。
この疎外感は一体何?!
ここからだとテレビから離れ過ぎて全く見えないし、皆も集中して観てるため、全然反応が無い。
うう……このままだと凄く寂しい!
かと言って、僕が割りこんでいいような空気では無いわけで。
どうしよ、せめてあの老人どっか行かないかな〜……。
多分、この張りつめた空気の原因はあの老人にある、と僕は思う。
よし!ここは思い切って、飛びこもう!!
……なんて、そんな度胸が僕にあるわけないし。
ただただ気付かれないまま、存在感をどんどん無くしてって、空気と同等な存在となる。
だめだ、諦めた、僕はここでじっとしていよう。
……皆、食い入るようにテレビ観てるなー……。
しばらく、皆の様子を遠くから見ていたら、なんだか眠く……。
「きゃーーーー!!!
先制よ、先制っ!!」
「さすがだ……カモノギ」
「おおーー入った!!」
「おお……!!ごーるじゃ、ごーむがっ!!……ふがふが…………かぽっ」
……ぬがっ!!
急に騒がしくなった、皆それぞれアクションを起こしている。
叫びだしたり、褒め称えたり、特に面白みのないコメントしたり、口から出てきた入れ歯はめたり、とさっきまで全く動かなかったのに……。
……変な人達だ。
街の交差点での信号待ち。
歩行者の場合、車の通りが少なかったら赤信号でも無視する人、結構いやすよね。
周りの人がどんどん無視していくなら、なおさらその流れに付いていこうと。
でもあっしはきっちり守る、たとえ一人でも。
あれ、ちょい恥ずかしいけど、心の中でこう思ってたりする。
“いえーい、俺、余裕!急ぐ理由なーし!頑張れ世間の皆!”
あっしは時間を大切にしやせん。
……だから遅刻が多いのかな。