謎の第四者
無事では無いけど(特に僕が、って言うか‘だけ’か……)那由多に四人、着くことができました。
僕と静絵さんと白川さんあと……知らん人。
金剛は四人には入れてないですぞ。
さっきは一切触れてなかったけど居ましたから。
静絵さんの隣に座ってましたから。
喋んないし、何か恐いし。
もしかしたらホントは他人かもって思ってたんだけど……。
僕の後ろにずっといるし。
恐いよ……。
見た感じ多分男の人。
前髪が目のとこまで掛かってて暗い感じ。
色白できっと病気持ちに違いない。
綺麗な顔立ちだけどなんていうか……オーラがさ。
わかるっしょ?何か関わりたくないタイプ。
でさ―――
「健太、さっきから言いたい放題言ってくれるな、しばくぞ」
しゃ、喋った?!
ってか初対面なのに呼び捨て?!
いやまず喋ってないよ?!
いやいや行き成りしばくって何故?!
やっぱり危ない人だぁーーーー!!
もう僕お先にエスケープします。
じゃ!!
で、逃げるべく一歩踏み込むその前に、
<ガシッ>とな。
後ろから襟元掴まれて僕のいざ行かんとする勢いで首が締まってキュッってなった。
一瞬、気失った、光が見えた、もう少しでまた母さんに会えた。
倒れこんでその時金剛の笑ってる顔が見えた。
畜生っ!何笑ってんだ!!
「プスプスプス……、そいつは蝉零だぞ健太君よプスプスプス」
あ〜〜〜ムカつく!プスの擬音で笑うな……え?蝉零さん?
何言ってんだ?顔全然違うじゃん。
「健太はあとだな、まずはアレを始末しよう」
あ……蝉零さんだね。うん。
今のは明らかに金剛に向けて言ったし、アレと呼ぶのは僕の知ってる限り蝉零さんしかいない。
「ホントに仲が良いですね、まるで兄弟みたい」
改札手前まで先を行く白川さんが僕らに振り向き笑顔にこやかに言った。
他人ですから……。
これはただの暴力です……。
「私もそう思うぞ」
「人が見てるな、始末は後にしよう……フフフ」
なんすかその微笑み!!
コワッ!!
「死ぬ時は一緒だ、健太君……」
い、嫌だーーーーーー!!!!
恐怖の種がまた一つ増えた。
今更だけど小説って面白い。
ようやく最近になって読み始めやした。
でもまあ本読まん奴に小説は書けんって事がしみじみ思いやす。
なんとなく。
日頃から言葉は大事にしてきたつもりだったけど、自分が知っている限りのもんだと穴あきだらけで知らない言葉があるわけで。
知識や表現も足りないわけであって。
ち、畜生!!所詮あっしは野球バカですよ!!
頭悪いですよ!!社会の底辺ですよ!!
ヌォンコですよぉ!!
…………はぁ……何か空しい。
バッティングセンター行きてぇ…………。
でも暑いのやだなぁ……。