三十二話目。“バリバリいかがっすかー……”
ぎりセーフ……。
いや〜、
電じいさん。
なんか遅れてすんません。
「んにゃ〜〜よかよか。
じゃなじゃなだな〜〜」
はい、
ホンット、
ご苦労様です!
「電じい!
お礼に今度、
バリバリ、
奢ってやるから!」
「お〜〜〜う、
や〜〜くそくだでぇ」
なあ、
金剛……。
バリバリってなんだ?
「ん。
バリバリはバリバリだろ」
いや、
答えになっとらんから。
「健太よ。
それはあんこ入りのモナカの事だ。
あと、
電髪天の好物でもある」
あ、
蝉零さん、
ありがとうございます。
行っちゃったか……。
ふう……。
明日も電じいさん大変だなあ。
「明日は電じいは来ないぞ」
へ?
何言ってんだ金剛。
明日も学校あるじゃん。
僕の代役はどーすんのさ。
……どこを指さしてんだ?
金剛が指した先には……。
「な?!!
お前、
私にやれというのか!!
冗談じゃない!!」
金剛〜。
いきなりはまずいって〜。
せめて頭下げろって〜。
「協力して下さるんでございまするんでなかったでしたっけ?」
おいお〜い、
なんか、
よーわからん言い方するな〜。
「いい加減にしろ!!
この、
見習の分際で、
私に指図するな!!」
ええ、
その通りです。
そりゃ怒りますわ。
「別に…ええやん。
やって〜〜な〜〜」
あっまた、
口調変わった……。
……あれ?
なんか何時もより、
前歯出てない?
「久々に会って、
少しは、
腐った性根が直されてる、
と思っていたが、
あの頃となんら変わってないな。
全く、
付き合いきれんな」
言い終わった後、
蝉零さん溜息を一つ。
「おう。
ならさっさと帰れ帰れ。
ここは蝉零が居るべき場所では無いからな。
嫌なら早く、
天界に戻ってくれ。
あんたはお呼びで無い」
うお〜う。
なんちゅ〜う言い草。
「な!?
貴様ッ!!
折角来てやったのに!!」
ほらぁ〜〜!
やばいって〜〜!
蝉零さんの両手、
めっちゃ光ってるし〜。
絶対おっかないの出てくるって〜!
「ふ、ふんッ!
どうせ父上に、
変なこと吹き込まれたのだろう。
べ、
別に、
来たと、
ところで、
お前はじゃ、
邪魔なだけなんだ。
……な、
なんだその手は。
や、やるのかぁ!!」
……金剛。
短い間だったけど、
楽しかったよ……
成仏しろよ。
あ、
あれえ!?
蝉零さんの手の光が消えてく……。
「いつも……
いつもそうだ。
なぜ金剛はいつも、
私を拒絶する?」
表情もなんか、
‘怒’から‘哀’
って感じに変わってる。
どうしたんだろ。
「な、
なにを言い出すんだ!?
蝉零が悪いのだろう?
私の頼みを断ったのだから」
どこまで怒らせたいんだ〜〜
金剛〜〜〜!!
もう、
いい加減にしなって〜〜〜!!
「………。
まさか、
こう返すのを解って……。
ふっ……
私もまだまだだな。
いいだろう金剛。
その頼み、
引き受けてやる」
え〜〜〜〜!!??
いいんすかホントにぃ?
「何ぃ!?
無理してやる必要はないぞ……
嫌なら別に……」
「別に何だ?」
「…………何でもない」
「そうか。
ならいいな」
おー……
金剛よ……
さっきまでの勢いはどこへやら……。
それに蝉零さん、
その笑み、
とても不気味で恐い……。
「それでは先に、
失礼させてもらうよ。
まだ少し、
野暮用が残ってるからな。
健太よ、
また明日な」
あっはい。
また明日です。
蝉零さんが、
彼方へと飛び去り……。
「……くゥ〜〜〜
何のつもりなんだ、一体?
いつもならぶちギレて帰るはずなのに……。
あいつ、
昇神してから、
頭おかしくなったのではないのか?」
おかしいのはお前だ、
金剛。