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二十五話目。“<Another>白紗音とレム、降臨す。”

 今、

 白紗音は雑凶処理に追われていた。




「ふう……

 まだこんなに在るのね……」




 周りには様々な大きさの黒い石が、

 山のように積もれていた。


 これは全て、

 白紗音が処理する雑凶の一部である。


 他にも、

 別の間に行けば、

 これの数倍は在ろう、

 黒石の山が存在する。


 

 白紗音はこの全てを処理をして、

 ようやく此処から出ることを許されるのだが、




「はあ……

 この量、

 あと数年は掛かるわね」




 こんな膨大な量、

 もちろん一人でこなしている訳では無いのだが、




「私たち二人じゃあね……

 人はなんで事あるごとに、

 不幸なんて思うのかしら。



 こっちの身にもなってほしいわ……」




「……レムちゃん、

 それは傲慢よ。


 これが今の私たちの仕事。


 大人しく作業にかかりましょう」




「でもさ〜、

 白紗音〜、

 いきなりこれは無いわよ。


 正式な神になって一番の仕事がこれよ?



 他の皆は世に降りて、

 面白そうな仕事なのに。



 どう考えても、

 あたし達のはハズレじゃない」




 気が遠くなりそうな量の雑凶。


 しかし、

 これも神の仕事。


 良し悪しもないわけで。




「あんたなんかさ〜あ〜?


 弟が飛ばされそうなんでしょ。


 よく平然としていられるわね」




「……平然に見える?」




「……違うの?」




「心配よ。


 とてもね。


 でもこれを終わらせなきゃ、

 此処を出れない。



 残念だけど、

 協力出来そうにない。


 

 私が金剛に出来る事と言ったら、

 祈る事、

 ただそれだけよ」




 白紗音は一瞬だけだが、

 姉の顔に戻っていた。


 レムはそんな表情を見落とさなかった。




「ホント、

 心配なのね。


 あの出来損ないで、

 憎たらしいあのガキ」




「まあね。


 出来損ないなのは認めるけど、

 弟だからね。


 可愛いものなのよ」


  


「おっ!

 

 世に言う、

 ブラコンってやつ!?」



 

「やだっ。


 そんなんじゃないわよ。


 

 大体、

 レムちゃんだって、

 昔は良く金剛の事かわいがってくれたじゃない」




「一体いつの話をしてるのよ。


 もうずいぶんと前じゃないの」




「ほ、ほら!



 仕事!仕事!」




「はいはい。


 そんなに慌てなくても」




 白紗音のあまりの動揺ぶりに、

 レムは少々呆れながらも、

 言われたとおり作業を再開させる。















 黙々と雑凶処理をこなす。















 先ほどの会話から幾ほど過ぎてからのこと。




「おー、

 二人とも励んでおるな」




「父上!」

「参源獣さま!」




 重三が現れた。




「珍しいですね。


 父上がこんな辺境まで訪ねて来るとは。



 何かあったのですか?」




「もちろん、

 娘の顔を見に来たのだ」




「笑えませんね」




「えっ、

 違うの?」


 

 レムは目を点にする。




「……少しは冗談に付き合ってほしいものだが、

 まあよい。


 早速、

 要件を言うとしよう」




「冗談だったんだ……」




「当然でしょ。


 父上ほどの存在が、

 そんな下らないことで来るはずないわ。



 どうせ雑凶の追加でしょ」




 白紗音は小声でレムの疑問に返す。




「マジ!?


 はあ……」




「二人にとって私は、

 相当、

 厄介みたいだな。


 

 ……折角、

 二人を雑凶から開放してやろうと……」




「要件はなんでしょうか御父上」

「何でもしますよ参源獣さまっ!」




 雑凶から開放と聞いて、

 二人はすぐさま反応。


 重三との間を

 零まで詰め寄る。


 顔が……




「ち、近いぞ二人とも」



 

 重三からの注意を受け、

 二人は一歩下がる。



 そして、

 目をきらきらさせ、

 次なる言葉を待つ。




「……ふむ。


 二人にはな……」




「はい!!」「はい!!」




「まだ何も言っとらん。


 ……ふう、

 金剛の手助けをしてもらおうと思ってな。



 どうだ?


 引き受けてくれるかな。


 ………?


 どうした?」




 二人は俯き、

 黙ったままだ。


 震えてもあった。




「……喜んで引き受けさせていただきます!!!!」

「……喜んで引き受けさせていただきます!!!!」




 と、突然叫び、

 重三は驚く。




「そ、そうか。


 なら良かった……。


 では、

 早く下に降りる準備をしなくてはな」




「はい!!!」「はい!!!」




 返事の後、

 二人は喜び合い、

 はしゃぎ合った。



 が、


 ……しかしここで白紗音に在る疑問が浮かぶ。




「私たちの代わりなんて居るのですか。


 見たところ……、


 お越しになられたのは御父上だけみたいですけど……」




「心配はいらん。


 きちんと連れてきておる。



 ……そろそろ出てきてください」
















「若いってええのう」




「はい。


 全くですね」




 奥から出てきた二人、

 白紗音とレムに比べ、

 荘厳さが違い過ぎる。




「あああ、

 あなたは心皇しんおうさま!」




「じゃあ、

 こちらに居られるのは……

 星怜せいれいさまですか!?」




「いかにも」「そうですよ」




 二人は天界の中でもかなりのビッグネーム。


 地上では場所により、

 名が異なるが。




「……もしかして、

 御二人が私たちの代わりを……?」




「そうじゃ」

















「……これじゃあヘマできないわね」




「……そうね」















 かくして二人は金剛を手助けすべく、

 地上の世界に向かうこととなった。















「どういうことよ父上?」




「いや、

 二人の代わりを要請するよう願い告げたら……

 悪くないと言って、

 来てしまった」




「いくら何でもまずいでしょ」




「心配はいらんぞ、

 御主たち。


 何もわしら二人だけで処理をこなす訳ではない」




「わっ!


 そ、そうですか……。


 

 でしたら、

 ……良かったです」




「他だと、

 ゼウスや天照なぞくるのでな。


 問題ないぞ。



 存分に金剛の手助けをしてくるがよい。



 あんな素質にあふれた者を、

 別の星に飛ばしたくないからのう。



 絶対、

 成功へと導いてやれ!」




「は、はい!!」

















 この浄化の間を出る直前、

 小声で重三に、


「上位の方ばっかりじゃないの」




「すまぬ。


 一応、止めはしたのだが……」



 隣からレムが、


「まあまあいいじゃない。


 がんばっていこー!」



 レムには、

 此処から出られる喜びの方が勝っていたみたいだった。




「はあ……。


 簡単にいうわね……。



 ………。



 ……でもそうね。


 こうなった以上、

 がんばらなきゃね」



 白紗音は覚悟を決める。 
























 白紗音。















 レム。















 地上に降臨。















 凄まじいプレッシャーを胸に……。
















 参源獣→参獣→三重→重三


 それっアーンダースタンドっ♪

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