二十三話目。“黄色い弾丸”
五体満足の彼氏を持つ女性諸君。
絶対、
真似しないように!!!
それでもやってみたいのなら、
きちんと安全を確認してから行うように。
で、出たねー……。
僕の目の前にたたずむ、
巨大で邪悪なオーラに包まれた謎の箱。
今、開かれる……。
何段あんの……?
「ダーリンお待ちかねっ!
わったしの作ったおべんとー!
たーんと召し上がれ!!」
こ、恐いので。
「ううん……」
首を振ります振ります。
「ほーらっ!!
謙遜しないで〜〜!!
あっわかった!!」
わかった?
何がわかったと?
白川さんの手によって、
凶悪なる箱がくずされていく……。
中から色取り取りの……。
う、うまそうかも。
白川さん、
箸を手に取り、
その中の一つの何やら黄色い塊を掴んだ。
通称、‘卵焼き’ってやつ。
「ほら、
あ〜〜〜〜〜〜〜〜ん」
掴んだやつを僕の口に近付ける。
きちんと左手を下に添えて、
お上品に……
ってなに言ってんのかね、
ぼくは!!
否定じゃ否定!!
「だ〜りん……。
食べてくれないの……?」
僕が食いそびれていると、
何やら心配そうな眼差しをしてる。
ぐぅ……。
そんな目で見ないでくれぇ……。
「……たべる」
「きゃーーーーーーー!!!!!!
<ぐえっ……>
うれしーーーーーい!!!!!!
ねえ!!!!?
どう!?
どう?どう?どう!!!??
おいしい!!!??
うまい!!!??
デリシャス!!!??
どれかな!!!??」
(絶対たる自信ですな……
その問いは……)
やむを得ないので、
食べる、
と言ってしまって、
その瞬間に僕の口に卵焼きを
ショッッッット!!!!
して来た。
僕の意思とは無関係に、
卵焼き、
バーストしてます。
すべて、
白川さんの、
嵐の如き勢いのせい。
………。
やば……。
ツマッタ……。
<ばたっ……>
<ガチャ>
「カナりーん、
犬岸くーん、
お茶持って……
きゃーーーー!!」
「みきやん!!!
犬岸くん、
私の卵焼きのあまりの美味しさに、
卒倒しちゃった!!」
薄れゆく意識の中、
僕はこう思った。
窒息のほうだったよ、
金剛……。
ああ……
光輝く世界が僕を待ってる。
………。
あれは母さん……?
「ねえ!!?
どーしよ!?
みきやん!!?」
「と、とりあえず、
喉に詰まらせただけだと思うから、
それを取り除けば……」
「えーーーー?!!!
じゃあ!!
マウス・トゥー・マウスで吸い出してあげるしかないじゃない!!」
「いや、
別に他にも……」
「あ〜〜〜
ごめんね、
ダーリン。
こんな形で初キッスなんて……。
でも迷ってられないわ!!!
今すぐ助けだしてあげ……」
「ゴハッ……ゴホッゴホッゴホッ」
良かった……。
どうやら僕、
まだ生きてていいらしいよ。
ごめんね、
母さん。
「な〜んだ……。
ざんねん」
ぬえ?!!
なんで?!!
いや、
やっぱり!!?
やっぱ、
殺そうとしてたって事!!?
近いうち、
また会いに行くと思うよ。
母さん……。
用意周到ですな。
白川さん。
なぜでしょな。