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ある花と人のお話

作者: ルエル

どんな草花であれ、枯れればそれは、土に還り、その後の養分になるはずなんだ。

ぽつぽつ、草が生えているだけの、何もない大地に花が咲いたんだ。

それに気付いたある人は、周りの大地を整理した。

花がもっと大きく綺麗に成長するように。

そして、それを見守れるように、近くに家を建てたんだ。


初めはぐんぐん大きく成長した。

ある人の望み通りに。

数ヶ月して、花の成長は遅くなったが、花の色艶は良くなったようだった。

更に数ヶ月が経過して、花からは甘い香りが漂うようになった。

側で見守っていたその人は、夢の中でお告げを貰った。

花からの恩恵と、夢の言葉に従ってその人は花の蜜を探り当てた。

そして、更なる花の成長を夢見て、一層お世話に力を入れた。


その人が花を見つけてから、1年位が経過した時、少し変化が顕れた。

今でも時々、蜜は取れるが、どうも陰りがあるように見えたのだ。

心配になって焦ったその人は、花の周りを調べたり、道行く人にアドバイスを求めた。


大きな花の周りには、いつの間にか、小さいけれど、色んな種類の花が咲いていた。

アドバイスに従って、水の量を調整したり、葉っぱを剪定してみたりした。

少し回復したようだったが、以前のようにはならなかった。


そんな風に過ごしていたある日、その人は再び夢を見た。

夢の中でみんなが声を揃えて言うんだ。

僕達が成長出来ているんだから、キミの花も大丈夫さ。と。

それに安心したその人は、そのまま見守る事にした。




夢の中で聞こえた声が以前のものと違うと知らず。

周りに咲いていた花が、シロツメクサという花で、雑草だという事を。

その地に初めから生えていた草と同じものだと云う事を知らずに。


ごめんなさい。

吐き出すことを許してください。

自分でもまさかこうなるなんて思わなかった。

まさかまだ雑草の根が残ってるなんて思わなかった。

隣の芝生を見ていたら、その根が引っ張られて、

イタイと何処かで声がするなんて思わなかった。


花が枯れようと、雑草が広がらないようにはしますから、どうか見捨てないでください。


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