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蝶
うつむいたきみと黒揚羽
隣にいるしかできないまま
時は影で満ちた
一筋のひこうき雲
見たいものを見ようと貫いた
きみの眼差しは美しかった
暗闇から光に迫る
自力で 抗えない力によって
生まれおちるように
はじめて瞳に映した虹色
いまもきみを囲んでいる
白いブラウスと揺れる髪
暑い夕方 制服のまま
二人での寄り道
とけていく甘い氷
透きとおる声で 「秘密」
といった
きみの未来をぼくだけが知った
硬い殻のなかで育む
孤独と色鮮やかな迷いの路
さなぎの背中から
拡がる翅に刻まれた虹色
それはきみを導くサイン
真っ直ぐに飛ばなくてもいい
ぼくはきみのはばたきを追いかけるよ
だれよりも眩しく
軽やかに舞って織り成す虹色
それは正直なセイント
...「蝶」...