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ある皇太子の逡巡  作者: ねぎまんぢう
第1章 0~10歳編
3/27

第3話 ある皇太子の解脱






先生…!  チートがしたいです…!






1年間ネクサス先生の授業を受けたが、なかなかに実りの多いものだった。



まずは地理だ。

この国、ベルフィルド帝国は…そうだな、まず北米大陸をイメージしよう。

そこからアラスカを取り払う。で、ハドソン湾を埋め立てて山にする。五大湖もなし。

そしてメキシコのバハ・カリフォルニア半島も引っこ抜き、フロリダ半島をぐーっとテキサス側に引っ張れば出来上がりだ。


そして国境線は元ハドソン湾の山からカリフォルニア湾のところまで。

その東側がベルフィルド帝国領となる。

カナダの一部とアメリカの半分とメキシコ全土とカリブ諸国が全て帝国領。

広大だ…。まあ形が似ていても同じ面積かはわからないのだがな。衛星写真もないし。


帝都はルイジアナのあたり、つまりメキシコ湾の北側だ。

この湾、単に内海(うちうみ)と呼ばれているが、ここの制海権を掌握したところから帝国の歴史は始まるらしい。

それは歴史の話でまとめるとして、次に国内の話をしよう。



帝国は広大であるがゆえに気候も変化に富んでいる。

たとえに北米大陸を出してきておいてアレだが、前世の北米大陸よりは湿潤な気候だ。


元ハドソン湾の山、これは霊峰プルトヴィッセン。

常にブリザードが吹き荒れる前人未到の人外魔境。とても人間の存在できる環境ではないそうだ。

ファンタジーのお約束通り、ドラゴンの棲み処で、100年に一度くらいに人里へ飛んできて大災害を起こすそうな。



そしてプルトヴィッセンのふもと、前世のケベック州あたりはドワーフの自治州となっている。

やっぱりエルフがいるならドワーフも欠かせないな。

でも、小柄で酒を好むのはお約束通りだが、べつにヒゲもじゃではないらしい。

それを聞いて少しがっかりいたら、ネクサス先生に


「ヒゲに何かこだわりがおありで…?」


と首を傾げられたが、そういうことじゃないんだよ、先生…。



ドワーフ自治州は一応は帝国領ということになっているが、霊峰より吹き降ろす寒風のせいで人族には厳しい気候なので、支配はゆるやか。ドワーフも独立独歩の気風が強い。


ドワーフ自治州の南から前世のワシントンDCまでと五大湖周辺がエルフ大森林。

この巨大な森林のおかげで、霊峰からの寒波は食い止められている。

ネクサス先生の故郷もここにある。



エルフは前世の伝承通りの存在だが、人族の愛玩奴隷になっていたりはしない。

そもそもこの国には奴隷制度はない。

購入した奴隷を解放するなり教育するなりして手駒にするテンプレは不可能ということだ。別に残念じゃないぞ。


まぁ…農奴はいるんだがな。



それになんというか、この世界のエルフはイメージがあまり良くないのだ。

プライドばかり高くて気難し屋の顔だけ野郎、女性も自分の美しさを鼻にかけ、世界から愛されていると思い込んでいる勘違い女…などと思われているそうな。


でもここ10年くらい、帝都ではネクサス先生の人柄が知れ渡り、そのイメージも緩やかになりつつあるようだ。あくまで帝都周辺でだけだが。

エルフはめったに大森林から出てこないから…絶対イメージが独り歩きしているだけだと思うんだがなぁ。




エルフ大森林より南は属州が林立している。

このあたりは大穀倉地帯となっていて、属州は帝国に多くの作物を朝貢している。

…穀倉地帯が属州って、危なくないか?

反乱を起こされたら、帝国本土が干上がってしまうぞ。

反乱フラグを発生させないために、このあたりには細心の注意を払う必要があるな。

まぁ、国が傾いたらとっとと亡命するがな。ククク。



さらに南、フロリダ半島からメキシコ湾をぐるっとまわり、メキシコ全土と中央アメリカまでが帝国本土。

特徴は何と言っても海!

内海の恵みで海産物がうまい。気候もリゾート地的ないい気候だ。ここら辺は前世と同じようで助かった。

西側は山岳地帯になっている。なかなかに峻嶮らしいが、霊峰ほど厳しい環境ではないようだ。

帝都の内海を挟んだ向こう側、ユカタン半島のあたりに帝国発祥の地、旧帝都がある。

前世日本の京都のようなところらしい。いつか視察で行ってみたいものだな。探したいものもあるし。




そして内海と外海の境、前世ではキューバのあたり。

キューバ島はないのだが、ここの海底にはシーレーン族の国があるそうだ。

シーレーン族は所謂人魚であるが、童話の人魚姫的な上半身が人間だったりするわけでなく、上半身もサメを人間にしたような印象らしい。

ゼ○ダの伝説のル○姫みたいなものだろうか。

初代皇帝がシーレーン族の協力を得たことで内海の制海権を不動のものとしたらしく、帝国人はシーレーン族に別格の配慮をしている。

帝国船籍の船には全てシーレーン族をかたどった紋章がついているし、漁師や船乗りたちは時節の挨拶として贈り物を欠かさない。

一応は帝国の属国ということになるのだが、帝国とはきわめて親密な関係であるといえるだろう。




さらに南、前世なら南米大陸へ続くのだが…。

その先は禁足地で、高位の聖職者しか立ち入りを許されていないそうだ。

精霊教の創世記にかかわるものらしい。





さて、精霊教の話題が出たので、次は宗教について語ろう。


私がこの世界で出会った宗教は一つだけ。

それが精霊教である。


思想は多神教的で、ファンタジーにありがちな四大精霊を祀っている。

四大以外にも様々な精霊が信仰され、そのさまは非常に神道に近い。

面白いのは、中世風ファンタジー世界にかかわらず、政教分離が非常にしっかりしているのだ。しかも宗教側から政治に距離を置いている。

政治的発言力の強い宗教が悪事を働くのがテンプレだと思うのだが…。


精霊教の創世神話では、創世記には様々な宗教があったらしいが、こう括られている。


『全ての宗教が間違いであったと、人々は気付いた』


…まぁ神話なんてものは勝者の言い分が通るもの。

おそらく大昔に宗教対立があり、精霊教が勝利した、ということなのだろう。



もう一つ、精霊教神話には面白い一節がある。


『神はこの世界を創り、精霊に世界の管理を任せ、神は死んだ』


なんと、精霊教では神を信仰していないのだ。

しかも死んだことになっている。去った、とか、お隠れになった、ではなく。

前世では考えられないことだ。

もし聖職者と知遇を得たら、一度じっくりと話を聞いてみたいものだ。







そして帝国の周辺状況だが。

これも北米大陸をたとえに出して語ろう。


帝国の西からアメリカ西海岸にかけてあるのがバルド王国。

かの国との国境地帯の南側は砂漠地帯になっていて、北側は険しい峡谷地帯。

前世でいうならコロラド砂漠とグレートキャニオンといったところか。


両国の関係は…非常に悪い。

不倶戴天の敵国で、宮廷騎士の演習もバルド王国を仮想敵国としている。

なんでもかつて帝国が周辺諸国を併呑していった時代、それを良しとしない者たちはバルド王国側に逃げて行ったらしい。

時は過ぎ、逃げて行った者たちの子孫が王国の中枢を担うようになっても恨みの炎はくすぶり続けているようだ。


その上、当代の王は…かなりヤンチャをしているようで。

重税や汚職などの腐敗に加え、近年では大規模な蝗害が発生しているらしく、飢饉の真っ最中だそうだ。

王は有効な手段を打てていない…どころか、城にこもって贅沢三昧。

急速に人心が離れていっているようだ。


嫌な火種だな。しかも敵国である帝国にこんな情報が筒抜けになっているところも嫌な予感を掻き立てる。

砂漠と渓谷という自然の要害に阻まれていなければ、もっとひどいことになっていたのではなかろうか。穀倉地を求めて帝国に攻め寄せるとか。

私の将来に影響しなければよいのだが。




王国の北側、カナダ西部に当たる地域は小国が乱立している。

総称してニフェル地方と呼ばれているのだが、この国々に関しては情報が少ない。


なにせ帝国とは極寒の高山・霊峰プルトヴィッセンを挟んでいるのだ。

人族に霊峰が通れない以上、帝国からニフェル地方には一度王国を経由しないと到達できない。

そうなればおのずと情報は少なくなる。

向こう側には帝国のような大森林がないため、霊峰からの寒波をもろに受ける地域で、寒さがとても厳しく、みな肩を寄せ合ってつつましく暮らしているらしい、とのことだ。


私のもしもの時の亡命仮定地でもあるが…王国を一度通らないといけないのがやっかいだな。







そしていよいよ歴史の話。


結論からいえば、転生者の痕跡は見つけられなかった。

しいて言えば初代と3代目の皇帝があやしいが…確信はない。証拠もないしな。


しかも、あくまで帝国に残されている歴史書の中でだが、神話時代からここ数百年までの歴史がすっぽり抜けているのだ。

前世の感覚からいえば…なにか意図的に抹消された影の歴史がある、気がする。

中世的ファンタジー世界だけあって、考古学があんまり発展していないし。

個人的には南の禁足地に謎の答えがる気がするのだが、勘でしかない。




帝国の歴史は、前世でいうユカタン半島から始まる。当時はベルフィルド王国だった。


当時の王はシーレーン族と(よしみ)をかわし、内海を牛耳ると、その海上機動力を生かして内海周辺を征服、王国を拡大した。

勢いそのまま北進。エルフ大森林の手前までを征服し、王国を帝国と改めた。

この功績をもって初代皇帝は『征服王』と称される。王なのは王国時代の名残だ。



しかしその矢先に急死。原因は暗殺説と病死説があるようだが真相は歴史の闇の中。

皇位を継いだのは若き息子の2代皇帝。

当時の帝国内は征服王の急激な領土拡大のせいで安定しておらず、内乱が大小いくつも起きた。その上、バルド王国(当時は統一されておらず、数か国に分かれていた)に逃げて行った者たちがバルド王国の援助を受けて蜂起、帝国に攻め込んだ。


2代皇帝は内乱をひとつひとつ潰し、バルド王国からの侵攻を跳ね除けた。

この功績をもって2代皇帝は『鉄壁帝』と称される。

その後の2代皇帝は国内の安定に腐心し、現代までつづく帝国の強固な地盤を築く。

2代皇帝は長生きしたが、息子は夭折してしまっていたため、皇位は孫に引き継がれた。



3代皇帝は争いを好まない穏やかな性格で、しかも弁が立った。

関係悪化していたバルド王国を口八丁手八丁でいなし、戦争を回避。

エルフ大森林に赴いてエルフたちと交渉、自治や大森林の保護を約束して大森林を帝国領とした。

そのまま北進しドワーフたちとも同じように交渉してそこも併呑。

この功績をもって3代皇帝は『外交帝』と称される。


しかし、突如帝国領内に襲来したドラゴン。

騎士団と共に迎え撃つも3代皇帝は戦死。彼の人生で最初で最後の実戦だったという。



3代皇帝は子だくさんだったため、皇位継承は紛糾した。

第1皇子が暗殺され、さらなる暗殺を恐れた皇族たちは帝都を離れ、有力者の大臣が実権を握る。

その大臣が稀代の奸臣で、一人の皇子を無理やり皇位に就け、傀儡とした。

4代皇帝は大臣の意思のままに他の皇子たちを次々に臣籍降下させ、皇位継承権を奪った。


このとき、その大臣の暴虐で帝国は大いに荒れた。

帝国の威信も地に落ちたかと思われたその時、エルフ大森林に匿われていた皇子が蜂起。

大森林から帝都へ攻め寄せる。


なんと、この皇子こそが私の父上であったのだ。しかも当時御年14。中二病そのままに救国の英雄となったのだ。

その上、父上をエルフ大森林に匿ったのは当時宮廷魔導師団長をしていたネクサス先生だというのだ。


重い!親と師の七光りが非常に重たい!

二人とも歴史に残る英雄ではないか!

そんなの、人々は私に期待するにきまっている!皇位など真っ平御免なのに!

くそう!くそう!




…取り乱してしまった。

気を取り直して歴史の続きだ。


帝都へ攻め寄せた父上は見事大臣を誅殺。

4代皇帝のもとへ至ったのだが…その時4代皇帝は重度の阿片中毒で人事不省に陥っていたそうだ。なんともやりきれないオチである。

私は、この世界にも阿片はあるのだな…と嫌な気持ちになりつつ、4代皇帝に同情した。


そして父上が5代皇帝に就くと、それを察したように4代皇帝は息を引き取ったそうだ。


そんな権力闘争に巻き込まれて無残な最期を遂げた4代皇帝に尊称はない。

『暗愚帝』などと呼ばれることもあるそうだが、それはあんまりだろう。



そして、この一連の事件のせいで荒れに荒れた帝国の復興に尽力した父上を人々は『復興帝』と讃える。


父上が善政をしいていたのはとても都合がいい。

しばらくの間は暗殺や襲撃に怯えなくてもよいのだからな。

だからと言って油断してはいけない。

国が傾いた時のための根回しはしっかりしておかんとな。








そして、ネクサス先生の授業で忘れてはならないのが魔法の授業だ!


魔法だぞ魔法!

折角異世界に転生して魔法が使えなかったら意味がわからないからな!



…と、言っても、実践の魔法はまだ教えてもらえない。座学だけだ。

なんでも、『魔力回路の成長痛』とかいうのがこないと魔法は使えないそうだ。


5歳前後で起こるそれはとても痛くて苦しいらしいのだが、ちゃんと対処法も教わった。

大人に引っ付いていればいいらしい。


幸いにして私は皇太子。

身の回りには侍女がたくさんいる。しかも侍女の選考基準に容姿があるのかと疑いたくなるくらいに美人ぞろいだ。流石異世界クオリティ。


ククク。合法的に美女に引っ付いていられるのだ。鼻の下も伸びるというもの。

私の好みからいえば…中庭で遊ぶときについてきてくれるあの娘だな。

名はエイダとかいったか。

なかなかいい体をしている。あれは何か鍛えているな。

胸の大きさはいまいちだが、それを抜きにしてもあのしなやかに筋肉の付いた体はなかなか…。

それに性格もいい。姉御肌というのか。ちょっと男っぽい口調も魅力だ。

早く成長痛が来ないものか。今5歳だからそろそろ来てもいい頃なのだが。





おっと、妄想でデレデレしてしまった。恥ずかしい。

明日も先生の授業がある。しっかり休むとするか。












△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽











「ううう…」


朝、か。

あー、だるい。


私は朝が弱いのだ。前日早く寝ようが遅く寝ようが起きるのはつらい。

これは前世から変わらない…ちくしょう。



侍女が起こしに来ても私は起き上がらない。

ちょっとのあいだだけでもいい。うだうだしていたいのだ。

侍女ももうそれを分かっていて、声をかけて起こした後、しばらくの猶予をくれる。



この時、なにか取り留めのないことを考えて、徐々に脳を起こしてゆくのだ。

これはルネ・デカルトもやっていた由緒正しい技法だ。

けして自堕落なわけではない。


かのフランスの哲学者、ルネ・デカルト。我思うゆえに我ありの彼である。

彼もこうして朝、ベッドの上でうだうだしているときにデカルト座標を思いついたという。

X軸、Y軸、Z軸のアレである。




昨日は眠る前に何を考えていたのだったか…。


そうだ。魔法についてだ。

異世界モノにつきものの魔法と言えばアレだよなぁ~。


鑑定の魔法とステータス表示の魔法。

あれってものすごく便利だよな。異世界ライフには欠かせんものだ。

まだ魔法は使えないが…やってみたら出来ないものか。とりあえず念じてみるか。




鑑定、ステータス、鑑定、ステータス、鑑定、ステータス、鑑定、ステータス、鑑定、ステータス、鑑定、ステータス、鑑定、ステータス、鑑定、ステータス…。










………ま、そう都合よくは






バチン! ブゥーン…




「なあああああああああああああ!?」



ビクゥゥゥゥ!  バサバサッ






な、お、コレ、ちょwwwwwww





「ど、どうなされましたネル様!? お、お気を確かに!」


え?w だってコレwww 




あ、あれ?

侍女には見えてない、のか?コレ。



「あー…、すまない。少し寝ぼけていたようだ」


「そ、そうなのですか…?どこかお加減が悪いのでは?」


「いや、大事ない。すまなかったな、驚かせて」


侍女はまだ心配そうな顔をしていたが、驚いて落とした私の着替えを拾い始めた。

むぅ、あの着替えはウールのやつか。もうだいぶ秋も深まってきたしな。

ウールは肌にちくちくしてあまり好きではないが…背に腹は代えられまい。


侍女は一礼すると着替えを持ったまま退室した。

なんてったって皇太子。私は皇太子。

一度落としたお召し物を着せられるわけがないのだ。もったいないが洗濯場行きだ。





おっと、そんなことよりアレだ。

いったい私が何に驚いたのかというと…。


「ふむ…。触れるわけではないのか」


侍女が退室して部屋に誰もいなくなったのをいいことに、私はソレをじっくり観察することにした。




画面だ。

懐かしい、5年ぶりか。いや、もっとだな。


私の目の前には画面が浮いていた。

テレビやパソコンのアレだ。

この絶妙な湾曲具合…まさにブラウン管のソレだ。


さっきからアレとかソレとか指示語ばかりで申し訳ないが、なんとも形容しがたいのだ。許してくれ。




先ほど、私が鑑定ステータスとイメージしつつ念じていると、独特の音とともに眼前に画面が現れた。

モニターではない。画面だ。ブラウン管風だもの。

音も電源のツマミを引っ張って入れるタイプの音だ。

つけた時にまず画面の中心に画像が出て、じわーっと画面いっぱいに広がってゆく。

昭和のテレビ画面だ。




さて、肝心の映っている内容は…。



「…………」






まんまウィ○ペディアやんけ!!






このレイアウト…間違いないぞ。


あ、でも本来ウィキ○ディアって書いてあるところが違うな。


なになに…『アカシック・レコードへようこそ  アカシックレコードは誰でも編集できるフリー集合的無意識です』…?


なんだろうか?異世界語版ってことなのか?

でも表記は日本語になってるし…? わけがわからないよ。


検索できるのか?でも肝心のキーボードがないな。

画面に触れないからタッチパネルでもない。



もしや…。


「クイニーアマン、検索」



キチッ カリカリカリカリ…。


『クイニーアマンとは、フランスのブルターニュ地方における伝統的な洋菓子である。

 強力粉と薄力粉を混ぜたものにドライイースト、グラニュー糖、塩、バターを加え…』



お、音声認識…?

検索している間の駆動音はウイン○ゥズ3.1時代くらいの音なのに、無駄にハイテクだな…。










うーむ。これは魔法なんだろうか?

でも、こんな魔法があるなら、この世界はもっと技術的に発達しているはず…。


と、いうことは、やはり私が転生者であることが関係している?

つまり…。





これはチートである!(ドヤァ)




よっしゃよっしゃよっしゃ!ってロッ○ード事件じゃないぞ!

やっぱりチートはあったんだ!

気づくのに5年かかったが…まあ良し!

これでやっと私もまともな異世界転生者の仲間入りだぞ!ひゃっほう!


トントン。


YATTA! YATTA! YATTA! YATTA!



ガチャ。






バサバサバサ!





「………」





ふっ。我が喜びの舞のあまりの美しさのせいで洗濯物が増えてしまったようだな。





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