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プロローグ~すべての終わり~
そこに広がっていたのは、ただの無であった。あらゆる存在が、塵となることも許されず、零にされる。ーーただ一カ所を除いて。
ぽつんと在るのは三つの人影。その中に、クエンはいた。
蒼空に浮かぶ絶望を見つめ、クエンは苦悶の表情を浮かべる。
これが自分のしでかしたことであることはわかっていた。この世界を裏切り続けた結果であることを……。
だからこそ、悔やまずにはいられない。これが物語の結末であるのか。あってたまるのか。
それと同時に、クエンはこれが真実なのであろうとも思っていた。クエンはあまりにも、裏切り続けてしまった。
今もこうして、『彼女』を裏切っている。きっと『彼女』は、いってほしくないと思っているだろう。
けれどクエンはいく。それが間違っているとわかっていても。結局自分は、最後まで裏切り続けるのだ。
絶望へと目を向ける。クエンは駆け出した。本能が告げる警告にも耳を傾けず、ただひたすら意志の力のみで絶望へと向かう。
ーー花が散った。
そしてすべてが無に包まれた。