決心
前回のあらすじ・・・大嫌いな教師に夏休みを一緒に過ごす様に言われる。成績の事を言われ考えるスミ子、又多恵の事を考え教師の弱みを見つけれるチャンスだと思ったのだった。
第二話「決心」
それから一週間が過ぎ、終業式を向かえた。スミ子は嫌がる多恵を説得して教師の実家で夏休みを過ごす事に決めた。両親には、他にも生徒が行く事や勉強を教えてもらえるから、などの理由をつけた。スミ子は末っ子で上の兄弟はレベルの高い大学へ行っており、スミ子も同じ大学に進学したいと思っていた。だから成績を下げる事は絶対に出来なかったのである。もう一つに、毎日過ごせば教師の弱みを見つけれるのではないかと思ったからだ。式の後、二人は教師を訪ねた。「来る事にしたのね、切符を渡しとくわ。私は一足先に行くから駅に着いたら電話してちょうだい、迎えに行くから」「分かりました、だけど一つだけお願いがあります」「なあに?」「私と多恵、一緒の部屋でお願いします。別々だと何かあった時困りますから」「いいわ、何もないと思うけど」切符を受け取り二人は学校を出た。帰り道、多恵が心配そうに尋ねた。「本当に行くの?二週間も・・・」「そうだよ、成績の事考えたえら行くしかないよ。それにあの女の弱み握ってやるんだから」「うん・・・そうだね」多恵と別れスミ子はお店に立ち寄った。そこでテープを購入した。そのテープは声を録音するのに使うもので、スミ子は証拠を残せるようと考えていた。そして出発当日・・・新幹線で二時間、そして目的地の駅まで一時間の距離を古い列車で移動した。車内も古く、窓から見える景色もひたすらの田園風景だった。駅に付き電話をかけようとしたが県外になっていた。「何で地上で県外なわけ?多恵の方は?」多恵は携帯を手に首を横に振った。しかたなくスミ子は近くの公衆電話で掛けた。「もしもし」どこかくぐもった感じの声だった。「あの、木下と申しますけど立花先生はいらっしゃいますか?」「すこしお待ち下さい」耳を当てたままにしていると受話器の向こうで床の軋む音とチリンチリンと鈴の音が聞こえた。少しするとまた床の軋む音が聞こえ足音がした。「もしもし木下さん?」「はい、着きましたけど・・・・」「今から迎えをよこすからそこで待ってて」電話を切るとスミ子は多恵と駅の横にある喫茶店に入った。これから向かうのだから時間が掛かるだろうと思ったのだ。窓際の席に座り、スミ子はレモンスカッシュを飲みながら行き来する車を眺めた。しばらくすると一台の軽トラックが駅の近くに止まった。中からは白髪が多くめがねをかけた四十代に見える男性が出てきた。駅で誰かを探しているらしく、写真らしきものと比較していた。多恵もその男性に気がついた。あの男の人見た目より歳いってないのかも・・・。多恵は何故なのか分からなかったがふとそう思ったのだった。