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 前回、カルナディアの勇者としての務めを果たすとカッコいいことを言ったガヤオだったが、結局、お見合いには失敗したので、地味に落ち込んでいた。


「仕方ないッスよ、ガヤオさん。大して男前でもないし」


「それでダメだったわけじゃねぇわ!」


 ガヤオはネココにキレた。


「怖! すぐに怒るからモテないッスよ」


「お見合い相手に怒ったことねぇわ!」


 ガヤオは、がっくりと肩を落とした。


 2人は昼間の岩だらけの山道を歩いている。


「そこまで落ち込むなら、次の街でお見合い相手を緊急募集するッスか?」


「そんな都合よく集まるかなぁ?」


 ガヤオがネココに、疑いの眼差しを向けた。


「じゃあ、やめるッス」


「いやいや! やめることはないだろ!」


「どっちッスか! はっきりしないッスね! だからモテないッスよ!」


「こいつ!」


 2人が手四つで組み合っていると。


「あ!」


「ミョーン感覚ッスね!」


 ネココが、ニヤッと笑う。


 ミョーン感覚とは、ガヤオが異世界に助っ人で呼ばれる時のミョーンとした感じである。


 ガヤオの身体が半透明になった。


「行ってらっしゃいッス!」


 ネココが敬礼する。


「くー! その顔、腹立つ!」


 景色が街中に変わった。


 眼の前に、ガヤオと同じ勇者装備の同年代の若者が立っている。


「お?」


 若者が驚いた。


「俺はカルナディアの勇者ガヤオ。助っ人に来た」


 ガヤオは右手を差し出す。


「助っ人?」


 若者が、首をひねる。


 迷った様子の後で、握手に応じた。


「おれは勇者サガオ。手伝ってくれるのか?」


「ああ。助っ人しないと元の世界に帰れない」


「ふーん」


 サガオが、ガヤオを値踏みするように見た。


「まあ、タダで手伝ってくれるなら助かる。じゃあ、行こうぜ」


 サガオの後ろについて、ガヤオも歩きだす。


「どこに行く? ダンジョンか?」


「ダンジョン?」


 サガオが嫌そうな顔をした。


「そんな危険な場所、行くもんか!」


 そして、彼は1軒の民家に入る。


 中に居た中年女性を無視して、テーブルの上に置いてある壺を持ち上げた。


「お、おい!?」


 ガヤオの制止も聞かず、サガオが壺を床に放り投げた。


 壺は粉々に砕ける。


「ハズレか」


 サガオが、今度は部屋の奥の宝箱の前に立つ。


 勝手に開けた。


 何も入っていない。


「これもハズレ」


「おい!」


 ガヤオはサガオの肩を掴んだ。


「何だよ?」


 サガオが振り返る。


「何してる! 人の家の物だぞ!」


「は?」


 サガオが「何言ってんの、こいつ?」という顔になった。


「おれは勇者だからいいんだよ」


「そんなわけないだろ!」


 ガヤオは両眉を吊り上げた。


「お前の世界じゃダメかもしれないが、おれの世界じゃこれが当たり前だ!」


「バカ言うな⋯」


 抗議の途中で、ガヤオは住人女性がまったく怒らないことに気付いた。


 トーンダウンしているうちに、サガオがもう1個の宝箱を開ける。


「お! 金貨!」


 サガオが何枚かの金貨をポケットに入れた。


「よし! 次の家に行くぞ!」


 そこから彼は次々と家に入り、壺を壊し、宝箱の中身を確かめた。


 そして少しばかりの金貨や、それほど貴重でもないアイテムを手に入れる。


 それを延々と繰り返した。


「おい!」


「何だよ!? お前も手伝えよ! 助っ人だろ!?」


 サガオが逆ギレする。


「モンスターを倒さないのか!?」


「モンスター? おれは行ける場所を先に調べないと気が済まないんだよ! この街の全部の家を探すぞ!」


「ぜぜ、全部!?」


 時間がかかりそうだ。


「嫌なのか? じゃあ、帰れよ!」


 自由に帰れるなら、とっくに帰っている。


「仕方ないな⋯」


「よし! そっちの宝箱を頼む!」


 ガヤオは懸命(けんめい)にサガオの小銭&アイテム集めを手伝った。


 途中、昼休憩を取り、何とか全ての家を調べ終わる。


「ふぅ⋯これで終わりだな?」


「ああ、ご苦労さん」


 サガオが、ニヤッと笑う。


「あれ?」


 ガヤオは首を傾げた。























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