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第34話 裏切りの影

 議会の大広間は、黄金の光に包まれていた。

 魔脈塔の中央にそびえる水晶柱が脈打ち、議員たちの顔を青白く照らす。

 壇上では、議長が大陸の未来を語りながら、核の解放を正当化する演説を続けていた。


 僕とセラは高官用の回廊からその様子を監視していた。

 警備兵の動きに不自然さはない……と思ったその時、視界の端で見覚えのある影が揺れた。


 ――シグル。

 彼は議員席のすぐ背後に立ち、手に細工された魔脈装置を握っていた。


 耳の奥で低い声が響く。

 「……あの男、裏切ったな」

 セラが目を細める。

 「装置を起動すれば、核の封印が部分的に解かれる。議会に核を渡すつもりだ」


 僕は即座に通信用の小型魔晶に触れ、リリアへ信号を送った。

 地下排水路を進む彼女に、この事態を知らせるためだ。


 その頃、リリアは暗い通路の奥で信号を受け取った。

 「……裏切り? まさかシグルさんが……」

 だが迷っている時間はなかった。彼女は足を速め、地上への階段を駆け上がった。


 大広間では、議長の演説が最高潮に達しようとしていた。

 シグルは議員席の背後に歩み寄り、装置に指をかける。

 僕は回廊から飛び降り、彼の腕を掴んだ。


 「シグル! お前……!」

 彼は表情を変えずに答えた。

 「カイルは甘い。核を破壊しなければ、必ずまた争いが起こる」


 その瞬間、広間の扉が開き、リリアが飛び込んできた。

 「それでも……兄さんは守ろうとした! 争いじゃなく未来を!」


 シグルの瞳が揺れる。

 だが次の瞬間、彼は装置を起動――水晶柱の光が激しく脈動し、天井全体が震え始めた。


 議員たちが悲鳴を上げ、床下から轟音が響く。

 魔脈塔が、封印された核の力を吸い上げ始めたのだ。


 ――そして、その光景は第二部の最終局面への引き金となった。

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