苦しくて、息ができなくて、
由美と心音が仲良くなる前
私は期待されていた、勉強もきっと兄よりできるだろうと、父も母も兄でさえも言っていた。
そして何よりバドミントンで一番を取ると期待されていた。
期待されてないのは悲しい、でも期待されすぎたら私は苦しくて苦しくて期待を裏切るのが怖くて、ラケットがだんだん重たくなっていた、でも逃げることはなかった、理由は3つ、一つはすでに期待を背負っているから、二つ目は友達を作る暇を作らないため、三つ目はバドミントンをやめたくはなかったから。
二つ目の理由がよくわからない人もいるだろう
友達を作りたくないのは怖いからだ
まぁまぁ成績も良く、顔もいい方な私は昔からモテていた。
「心音はいいな〜、モテて」
彼女は当時仲の良かった紗希
バドミントンをやっていて、今でも大会で試合をすることもある。けど話すことはない
「好きな人にモテないと意味がないからね」
「そーだけど!」
「紗希は最近白石くんといい感じじゃん」
白石くんは紗希の好きな人
「いい感じ、、、なのかな」
「いい感じだよ!告白しちゃいな!」
「えぇ〜」
こんな感じで好きな人を共有するほど仲が良かった
こんなことが起こらなかったらまだ仲のいいままでいられたのかも知れない
「心音!私告白することにした!」
「おお!ついに!おめでと」
「うん、でも一人は心細いから隠れて見ててくれない?」
「仕方ないなぁ、いいよ」
秋教室で告白するらしく、私は教卓のうしろに隠れていた
「紗希さん、ごめんまった?」
「白石くん、全然待ってないよ」
「それで呼び出したのはどうして?」
「あ、あのね!私、白石くんのことが好きなの!
だから」
「ごめん、」
「あ、」
「俺坂口さんが好きなんだ、坂口さん以外好きになれないんだ、本当にごめん」
この時の紗希の顔は思い出すだけでも全身に力が入って重だるくなる感覚になる
「え、えと、大丈夫、来てくれてありがとう」
「うん、じゃあ」
白石くんが教室を出た後私を見た紗希の表情は見ているだけで苦しくて息ができなくて、教室を飛び出て逃げてしまった
そこから疎遠になり別々の高校に入学した、けどバドミントンの大会ではよく会う、私はコートの外で紗希の顔を見れなかった。由美と仲良くなってからの試合で紗希と当たった、紗希も雑誌で紹介されるほど強い、だからこそ、私は堂々と挑んだ
試合では勝つことができて、紗希が泣いていたことを由美から聞いた、私はなんだか不安な気持ちになった、この気持ちの正体をいつか知れたらいいと思う反面、知りたくないと思ってしまう。
友達の好きな人の好きな人が私だったらと自意識過剰なことを考えてしまう。もう仲の良かった友達のあんな顔見たくない。