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希望の光は透明に

「ここが怪我してなくてよかった〜」

「ありがと〜由美、助かったよ」

「転ぶ親友を助ける位お安い御用だよ!」

「さすが怪力」

「それ褒めてる?」

「褒めてる褒めてる」

親友か、嬉しいな、嬉しいんだけどな

曇った感情が邪魔してくる

「おーい、ここ?おーい」

「うわっ!な、なに?ごめんはなしきいてなかった!」

「大丈夫?また無理してない?」

「大丈夫大丈夫!無理なんかしてないよ」

「、、、ならいいんだけど」

「私先部活行くね!」

「はーい」


また、優しい言葉をかけてくれる

だめだ私、期待しちゃだめ、きたいするぐらいならもういっそ誰かと結ばれてしまえばいいのに

そうだ、高貴はどうだろう、高貴と由美は仲がいいし多分由美は高貴が好きだ、高貴はどうかわからないけど、由美の魅力は知っているはず

二人をくっつけるようにして、本当にくっついたら私は潔くそれを見守ろう、それが私にとって一番いいことかはわからないけど、私はそうしたい


そんなことを考えてボーっとしていると、いつも必死に練習している私が動いてないことに気がついて不思議に思ったのか高貴が近づいてきた

「よっ!」

「お〜どした〜?」

「どうしたはこっちのセリフ!なにかあった?」

「別になにも、休憩中なだけ」

「嘘だな、心音は嘘つく時口を尖らせるんだ」

そんな癖があった事に気づいていなくて驚いて口を手で隠してしまう

「ちょっと考え事してたの!」

「、、、もしかして、好きな人のこととか?」

「え、急に真剣になるじゃん」

「いいから答えて!」

「好きな人はいないから好きな人のことなんて考えられないよ」

「そっか〜」

「高貴は?好きな人いるの?」

丁度いいので由美高貴くっつけ大作戦を実施していいか確認するために質問する

「いるよ」

「!それってもしかして由美?」

「違うよ」

「え?」

嘘だろ、これじゃ二人をくっつけられない

「じゃあ、誰が好きなの?」

「可愛くて努力家で諦めずにまっすぐな、今目の前にいる人」

「え、」

「俺、心音が好き、大好きだから

返信、何日でも何ヶ月でも待つから、今はまだ答えないでほしい」

「休憩おわりで〜す」

遠くで由美が男バレにつたえる

「、、、わ、私も練習戻らないとだから!またね!」

心音の背中がどんどん小さくなる

俺はただそこに立ち尽くしていた

「高貴?大丈」

由美に話しかけられて焦るだから

「大丈夫!ごめん俺トイレ行ってくる!」

顔を見せないよう由美の手を振り払い走った

泣いていることがバレないように

振られるとわかっていた、なぜなら心音は時々何かを思い出して、幸せな顔になる。恋する乙女の表情のように、でも思い出す何かは俺じゃない、なぜなら俺は心音をこの表情にはできないからだ

そして、心音をこの感情にするのはいつも由美だった、憶測でしかないし、間違っているかもしれないけど、俺にはこうとしか考えられなかった

泣きながら考える、なんでわかっていたのに告白したのか、自己満でしかなくて、心音を困らせて苦しめるだけだってわかっていた、自分だって泣くことになるとわかっていたけど、それでも告白したのは好きが押さえられなくて、少しの希望の光に近づきたくて、告白した

こんなだから俺は心音に好きになってもらえないのかもしれない、さっきの心音のあの表情、俺は小さな光を消してしまった


2.3年前

夏休み中の部活

暑い中の練習はとてもキツかった

ふと外を見ると目に入るのはずっと練習して汗を流しているバド部の坂口さん、よく大会で賞を取るので知らない人は少ない

はじめて見たときは自主練なんて偉いな〜くらいにしか思ってなかった、けど、部活で来るたび見かけるから、彼女がどれだけ必死に練習しているのかが伝わってきて、自分が恥ずかしくなった

夏休みが終わり由美と坂口さんが仲良くなり、由美に連れられ坂口さんの試合を見にきた、坂口さんの相手は前に雑誌で紹介されていた人で強いらしい、それを聞いてから坂口さんの顔を見た、堂々とコートに立って、あいてを見つめる坂口さんの表情はかっこよく見えた。試合は坂口さんが勝った、坂口さんの試合の相手は泣いていたけど心地よさそうだった、それがなぜなのか俺にはわからなかった

坂口さんが由美に駆け寄ってきて

「由美、私勝ったよ!」

その笑顔は長い時間の努力からできたもので、俺みたいな人が見ていいものなのか疑うほどだった

後から由美に夏休みの出来事を聞いた

俺は帰って泣いた、自分との圧倒的な差を感じて意味もわからず泣いた、なぜあの試合の相手はあんなにも心地よさそうだったのだろうか

学校でバド部が他校の人と練習試合をしていた、それも由美と一緒に見た、心音は全勝、打ち返されても相手より早く、強く打ち返す、汗を流して努力で輝く彼女が、とてつもなく綺麗に見えた




心音が倒れそうな時、いつも由美が助けてる、俺はただただ見つめるだけ

階段の前で転んだ時も俺は心音の表情で動けなくなるだけだった



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