女の子が、ちょっと勇気を出して夜中、歩く話
別に、初めはただの夢です。ファンタジーじゃないです。ちょっとだけ怖い夢を見ただけの話
カラカラカラッという音が、私の耳に響く。
どこかぼやっとした空間を、彷っているような感覚とともに、一つの光が私を照らす。
「主、主の声を聞かせておくれ」
再び、カラカラカラという音が、私を映し出す。
光は、星の瞬きとともに、どこかへと飛んでいく。
目を閉じて、開いた瞬間に目の中に入ったのは、白い龍だった。細長くて、首が長くてどこかもたれているような気がする。
「苦しいの?」
考える間もなく、言葉が出てきた。
「いや、苦しくないのだ。苦しいというより...」
「でも、私には苦しく見える。」
「ふふ...そうかい。それは、愉快な発想だ」
再びカラカラカラッという音がする。体に張り付いていた鱗が一気に焦がれてどこかへと飛んでいく。
白い夢、草の香り、心地のいい空間なのだが、後ろを振り向いては行けない。
「ねぇ...あなたは....」
黒い影が、いつのまにか私の隣で呟いていた。
形のない...黒い影...私は、鬼っ!?!怖いっ!!と拒絶する。
「どうしてここに来たの」
後ろを振り向くことができない。
きっと振り向いてしまったら、終わりだから...
そして、いつのまにか...龍は消えていて、世界は黒い墨汁を落としたかのような世界へと変わっていた。
「あぁ....」
もう、7時過ぎ...なのに、明るい。
カーテンから、薄ぼんやりと白い光が、見えていた。
手を振る振ると振ります。
「最悪の夢だ...」
たまの土日に見る夢にしては、少し感情的すぎる夢だった。
「ご飯よぉ!」
「やばっ、急いで、行かないと」
そう思ってはいるんだけど、体は前へと動かない。
ベットが、ベタついた粘土のように体を包み込んで離さない。
「ネズミ捕りで捕まった私...いや、なにを考えてるのか」
私自身は、自由なのに...
「でねっ、なんか白い龍なんか見えちゃったわけだよ。」
「あー、夢の話ね」
「なに、なんでそんなに興味のなさそうな顔するの」
「夢っていうのは、その時に見ているから臨場感があるのであって、言葉で説明すると薄っぺらいのよね」
はぁ、とため息をついて、ご飯茶碗に箸を叩きつける。
分かろうとしないから、そんなことが言えるのよ。
何気なく、外へと出たくなった。
むしゃくしゃしたので、腹いせだと言ってもいいかもしれない。
「行ってきまーす」
「こんな時間にどこに行こうとしてるの?」
ん?こんな時間、ポケットからスマホを取り出す。今の時刻は、9時くらいだった。
確かに、この時間だったら止めもするかぁ...なんて、口実を作ろうかな
「ちょっと、ボテチでも買ってきたいなぁ」
「明日にしなさい」
「醤油っ!!醤油がないでしょ?それを買ってくるっていうのは?」
「なんで、こんな夜中に醤油を買いに行くのよ」
「いいじゃん...別に....」
「ダメよ」
玄関まで律儀にやってきたお母さんは、体を傾けてさっとドアの鍵をかける。
ガチャという音が、私を外へは行かせないという結界を貼られた気がした。
そのまま、くいっと家の中へと首を傾けたあと、そのままリビングへと戻っていく。
「んー...」
ポッケの中に入っている財布を取り出して、中に何円入ってるか確認する。
「500円かぁ、醤油、ボトルで買えたかなぁ」
300円前後くらいだったような気がする。普段、買い物とか行かないから、よく分からないけど、とりあえず私は親の言いつけを破って外へと出ることにした。
音が、リビングへと行かないようにそっと、開ける。
ガチャッ
結界の壊れた音を耳を済ませて聞いた。お母さんは、とりあえず、テレビを見ているので、私はそっとドアを開ける。
「......行ってきます。」
少しだけ、罪悪感を感じながら外へと、早歩きで駆け出した。
近くのコンビニまでは、そう遠くない。歩いて...5分か?10分くらいだ。
私は、鼻歌を歌いながら歩く。どこかから、魔物が出てこないかとワクワクしていたけど、夜中の空気とは別でそこまで、普通にコンビニへとたどり着いた。
何となく、歩いてるだけで気分は晴れてしまった。
ドアを開けると軽快なリズムで、コンビニに入った音がなる。人がいる気配はしなかったけど、奥の方でガサガサ音がしているので、店員さんはいるのだろう。
「えぇと...500円で買える醤油は...えぇ?ちっちゃくない?こんなちっちゃな、醤油しか買えないの?しかも..!300円超えるくらい。」
ちっちゃな醤油が、ポツンと置いてあって、まぁ...こんなもんか、と...手に取る。
ふと、おにぎりも買いたくなったのでおにぎりも、取っておく。
ゆっくりと、歩いてレジにいく。人がいなくてもできるタイプだった。セルフレジっていうやつだ。
「ふーん...なんか、寂しくなっちゃったな」
とりあえず、ピッピッと醤油とおにぎりを買った。私の心に、おにぎりを盗んでも別に大丈夫でしょ。という声がしたけど、そこまでする気にはなれなかった。
帰り道も、歩く。
行きは、結構夜中って空気がいいなぁ...って感じたのに、帰りは歩くのがキツイなぁ...って感じる。
幸い、どこもかしこも誰もいなかったと言える。
私は、人に会いたい気持ちになった。意味もなく...闇の中で出てきた。あの怖いやつが、背後から出てくるような気がして、怖くなったのだ。
でも、私は家へと向かう。
カラカラカラッという音がした。
私の耳に、何度も何度も聞いた音だ。
「あ...神社...」
古い言い伝えなのか、分からないけど...私は、こんなことを聞いたことがある。神社には夜中は、悪霊をさ迷わせる。
「悪霊...」
神社は、やっぱり神秘的な雰囲気がした。
どこか...人を引き寄せるなにかがあるのかもしれない。好機心が勝ってしまったので、お参りをすることにした。
レジから落とされた5円玉が、私の財布の中で疼いているよつな感じがしたからだ。
.....いや、気のせいかもしれない。
普通にお参りをする。
鳥居の前で、一礼...
石を踏む。なにかが、ガサガサッという音がした。
草村の中に、数匹の猫がいた。
私をじっと見つめている。
「猫ちゃんだ。やっほー」
手を振る。
猫は、私をじっと見つめるだけだった。
なんか...面白くないの...
階段を上がって、もう一つ鳥居を潜る。
「確か、ここも礼をした方がいいんだよね」
一礼して...中に入る。
財布の中から、5円玉を取り出して、お賽銭箱の中へと投げる。暗かったので、なんて円を入れたのかわからないけど、多分5円玉...
「二礼二拍手一礼だっけ?」
パンッパンッ!!という子気味のいい音が、神社の中で響く。きっと、近所の人にも聞こえてるのかなぁ
なんか...呆気ないほどに、すぐに終わっちゃったなぁ
後ろを振り向くと...猫が二匹通路の真ん中で、私を見ていた。
「...っ!?!」
なんだよ。さっきの猫じゃん。びっくりさせないでよ。
バサバサという音が、する。そっちは、よく分からなかった。
「カラスかな?」
ビニール袋を握りしめて、私は鳥居の前でまた頭を下げる。
そして、また前を向く。
「いない...」
さっきまで、いた猫がいなくなっていた。
怖いなぁ...
階段を降りて、駆け足で歩く。コツコツコツコツ...私の靴の音が妙に響いていて、ちょっとだけ怖かった。
再び鳥居の前で、頭を下げる。
外へと出ると、なんだか...解放されたような気がした。
「ぷはぁ...」
私は、ビニール袋からおにぎりを取り出して、無造作にビリビリと破って、齧りついた。
とにかく、胃の中になにかを入れたい気分だった。
「あの...」
「うわっ!?な、なんですか」
黒いジャージを身につけた帽子を付けた目深に被った男の人が声を掛けてきた。
もしかして、神社でお参りしてたの、見られたのかな?
「あんまり、そういうのは辞めた方がいいですよ」
「分かってます。怖いもの見たさでついやっちゃったんです」
「そうですか。よかったら、水を上げます。」
「あ、ありがとうございます」
そう言って、ペットボトルの水を渡してきた。反射的に、受け取ってしまったけど、受け取ってからいや要らないでしょ。って思って返そうと思ったので、あのっ、と言ったけど
「行っちゃった」
すでに、曲がり角を走って行ってしまったので、どうすることできず、私は水を握りしめていた。
「...ただいまぁ」
そっとドアを開ける。
「あんたね、醤油本気で買いに行ってたのっ!!」
「すみません...もう、絶対しないので」
「全く、部屋でもう寝て反省なさい」
「はい。」
それは、お母さんなりの罰なのかな...私は、醤油をお母さんに押し付けて階段を登った。
ゴトンッという音とともに、ベットに横たわる。
「はぁ...なんか、緊張したなぁ...」
緊張が解れると、すぐに眠くなるもので、私はそのまま、睡魔に誘われて、そのまま眠ってしまった。
自分が今したいことかもしれません。今したかったことをそのま書きました。
これに感化されて、やろう!!なんて思わないでくださいね?
(解説っていうほどでもありませんが、活動報告の方に書いてます)