離れられない・・。
季節は、春を迎えていた。どこも、桜のピンク一色。一葉は、携帯で、桜の花を、哲平に写メした。
「お花見いきたい」
「俺も、そう思っていた。一緒に行こう」
2人で、休みのあう日を探し、桜の花も散りかけた頃、隣の市の古城のある町にでかけていった。
その日、いつになく、哲平は、不機嫌だった。
「俺は、晴れ男なの」
自慢していたが、その日は、朝から、小雨。
「誰かさんの行いが、悪いから」
マンションに行った時から、不機嫌で、
「一日中、自由なら、もっと、遠くに行けるのに・・・。」
不機嫌そうに哲平は、つぶやき、歩く時も、
「誰かに、みられると、大変だから」
と、離れて、歩いた。事故の事で、不機嫌なのか。哲平の後ろ姿は、一葉を、拒否しているようにも、見えた。それでも、しばらくすると、機嫌は、少し、直り、古城の周りも、すぐ見終わった。
「時間があれば、那須の方にも、いい所があったんだけど」
一葉が、ゆっくりできないのを、また、不満そうにこぼした。きっと、哲平も、一葉と自分のおかれてる現実に傷ついてるに違いない。これは、不倫だ・・・。どんな、理由があるにしろ。真面目で、将来を夢みている哲平を苦しめている。それでも、哲平も一葉も、お互い、あう事を辞めれない。あってしまうと、また、次の約束をしてしまう。そのうち、取り返しのつかない事になってしまう。逢うと、最初は、不機嫌だった哲平も、帰りには、一葉との別れを惜しむ。
「ねえ、誕生日何か予定ある?」
2人で、買い物にいった帰りに哲平は聞いた。もう少しで、一葉の誕生日がくる、一葉自身には、誕生日は、あまり嬉しいものでは、なかったが、記念日と同じで、哲平には、特別な日なんだろう。予定が、ない訳がない。それでも、一葉は、何とかして、哲平と居たい。
「一緒に、お祝いしよう」
哲平は、一葉に、一緒にすごす約束をとりつけた。
「うん」
「また、年齢。離れちゃうけど」
そして、一緒に、買い物してきたアクセサリーのパーツで、これから、何を作るか、はなしあった。
「そおいえば、これ」
哲平が取り出したのは、会社近くの、神社のお守りだ。
「えっ・・・・」
一葉は、驚いた。朝に弱い哲平が、早起きして、近くの神社で、交通安全のお守りを買ってきてくれたのだ。
「嬉しい。買ってくるの、大変だったでしょ?」
いつも、職場では、そっけない態度でいるが、自分の事を心配し、朝が苦手なのに、こうして、お守りを買ってきてくれた。
「ありがとう」
照れくさそうに、哲平は、笑った。不機嫌だったり、哲平の気持ちがわからない時がある。でも、こうして、哲平は、自分を気にかけてくれている。それだけで、十分なんじゃないか・・・。これ以上、哲平に何を望む?一葉は、何も彼にしてあげれないのだ。
「誕生日のその日は、大丈夫」
何があっても、空ける。そして、哲平と一緒に誕生日を祝いたい。一葉は、その日、彼にあう事にした。
「お誕生日おめでとう!また、年が離れちゃったね。これからも、よろしく」
誕生日の朝、一葉にメールが届いた。
「じゃ、またあとで」
仕事のはいってた、哲平は、一葉と夕方に近くのショッピングセンターで待ち合わせをし、メールを終えた。夕方には、逢える。一葉は、前日に哲平から、行きたい店を聞かれていた。哲平は、予約をいれておくという。人目を気にしている哲平にしては、珍しく、街中のフランス料理の店だ。中に、だれか会社の人がいないとも限らない。
「オーダーどうする?」
照れくさそうに、前髪を引っ張りながら、哲平は、聞いた。正面に座ると、いつも、哲平は、恥ずかしそうに、前髪をひっぱる。2人で、那須にいった時も、そうだった。食事の時、前に座ると、視線をはずす様に、前髪をいじる。哲平の前髪は、癖がつよい。少し、後退しつつ、あるのを、哲平は、気にしていたおり、一葉には、からかうネタになっていた。
2人で頼んだコース料理を食べ、店を後にした。
「一葉は、何か甘いものたべる?」
哲平は、一葉の好きな甘いものを買ってくるのを提案した。
「どこが、あいているかな?」
時間は、8時をまわっていた。近くのスーパーで、甘いものを買い、その足で、軽いドライブにでた。
「一葉の、いっている教室見に行きたい!」
哲平は、一葉のカルチャースクールの場所を見たがった。そのまま、哲平のよく行く公園で、ブランコにのった。
もっと、哲平と一緒にいたい。時間は、どんどんすぎていく。一葉は、自分の置かれている家庭環境も、子供の事も、忘れたかった。何を、おいても、哲平といたい。でも、この日、哲平は、一葉を、早く帰したがった。3日後には、また、2人で、軽井沢方面に旅行にいくから。
「俺、東照宮にいきたい」
哲平からの提案だった。あとは、一葉の好きなアウトレットめぐり、予定は、目一杯入っている。その後は、フラワーパークで、一葉の好きな藤の花も見る予定。ゴールデンウィークすぎてから、ちょっと様子の変だった事もあり、旅行で、また、ゆっくり話しが出来ると思い、一葉は、楽しみにしていた。3月に、あったとき、哲平は、友達に2人の関係を、打ち明け、責められたと、言っていた。
「相手の、家族に訴えられるぞ」
と、言われたらしい。
「本気で、説教された」
らしい。
そのまま、悩んだらしいが、一葉と、それでも、一緒にいると、彼なりに、選択したようだが・・・。最近、すぐ帰ってくるメールも途絶えがちになっていた。だから、誕生日のお祝いメールが来たときや、旅行の前日に
「日光方面は、17度くらいになるから、気をつけて」
一葉の、体調を気遣うメールが来たときは、安心した。朝は、いつものとおり、電車で行き、駅で待ち合わせ、東照宮に向かい、群馬の吹き割れの滝を、めざし、近くの小さな旅館で1泊し、次の日は、軽井沢にむかって、アウトレットめぐりをし、フラワーパークへ。いつになく、たくさん、写真をとった。この、旅行から、帰ったら、別れを切り出すつもりで居たと、後から、哲平は、言っていた。でも、そんな事を、感じさせないほど、哲平は、一葉を慕い、一葉も、哲平を慕っていた。
「やっぱさー。きついよな、37歳は」
笑顔で哲平は、皮肉をいった。
「あたしだって、27歳は、きついよ」
一葉も、そうかえした。
それでも、2人でいると、お互いひきつけあってしまう。生きてる世界がちがう。年が違う。一緒には、決してなれない。わかっていいるが、なかなか、わかれられない。このまま、いくと、お互いによくない。特に、一葉の子供たちは、どう感じるのか。それに、哲平は、これから、まだまだたくさんの恋愛をするだろう。一葉が、最後の女になるわけがない。そう、一葉も、感じていた。
「まだ、かえれない」
旅行後、真っ直ぐ、送ろうとする哲平を一葉は、はなさなかった。
「でも、俺は、送るから」
そう言う哲平をひきとめ、一葉は、彼をマンションにうながした。
「一緒におちて。」
「うん」
理由も、わからず、哲平は、うなずいた。
一葉は、このまま、彼と、一緒にいたいと思っていた。何もわからず、うなづく哲平。でも、後のメールで、
「堕ちるというのは、悪い方向に行く事では、ないよね?」
と、念をおした。一葉が、思うより真剣に、先の事を考えているのだろう。哲平は、一葉の事を、考えていたんだと思う。だから、ひく事もできる。決して、自分の事だけを考えているんじゃない。何も考えず、哲平の愛情をむさっぼているのは、一葉なのでは、ないだろうか・・・。それは、一葉は、常に、彼を求めていたと思う。そして、彼も一葉を求めていた。お互いに、互いを必要としていたと思う。旅行から、帰ってきてからは、いつもの哲平にもっどっていた。メールも、すぐ、もっどってきていたし、互いに、車ですれ違うだけでも、すぐ、メールが届き、当初の2人に戻っていたように、一葉は、感じていた。そう、あの日がくるまでは・・・。




