・・・で、愛。
決して、不倫を正当化するわけではなく、こんなせつない事は、あっては、いけないと。繰り返しては、いけない恋。
事故みたいなものだって、友達は、言ってた。突然、恋に落ちる事は。。。でもね、よくある事なんかじゃ、ないと思うよ。あっては、イケナイ事なんだと、思う。過失かな。二人とも、わかっていた結末だと思う。
「花火大会すごかったね。」
「うん。最高だった。でも、一緒に、いられるだけで、満足だな」
「あたしも」
哲平27歳。一葉37歳の山形の夏だった。
哲平と一葉が、初めて、あったのは、片田舎町の小さな、会社だった。一葉は、37歳にしては、幼く、とても、子供2人がいるとは、思えないほど生活の匂いのない女性だった。
「なにか、困った事があったら、なんでも聞いて下さいね」
哲平は、今日から、配属になったパートの一葉にいった。
「まあ、まあ、綺麗かな。」
哲平は、自分とは、年上の女性を、そう評価した。あとから、一葉に、伝えた事だが、年は、少し、上だけだと、思ったらしい。それを、一葉に伝えると、一葉は、嬉しそうに、ころころ笑った。
「一葉が、若い時に自分に、逢ったら、相手にしてくれないでしょ?」
哲平は、よく一葉にからんだものだ。
一葉の、職場の主任が、哲平という事になるが、女性の多い職場で、まんざら、哲平は、女性ファンも多く、彼の年に、みあった、可愛い彼女もいた。よく、昼食の時など、哲平と彼女の交際について、話題になったが、家庭もある一葉には、何の関心もなく、長期出張に行ってる夫の帰りや、子供達のことだけで、頭がいっぱいだった。そんな、一葉と哲平の距離が縮まったのは、哲平と彼女が、喧嘩別れをしてからだった。若い哲平は、どこかの会社の次男坊らしく、行動のはしはしに、それらが、みえるが、今回の別れの原因も、哲平の我儘だった。
「束縛されるのがいや」
になったらしい。お互い、わかいカップルらしく、逢えば、互いを求めあう間だったので、彼女にしてみれば、結婚を考えるのは、当たり前の事で、それが、まだ、遊び足りない哲平には、重荷になったらしい。一葉と、共に仕事をするようになって、哲平は、よく、彼女の事を相談していた。
「まだ、紫藤くんは、結婚にむかないよ」
別れを相談された、一葉は、笑って答えた。とは言っても、同じ職場の、哲平の元彼女の健康状態も気になる、二人が別れてから、元彼女の薫は、ずーっと休んでいる。なんでも、体調を崩して、入院しているらしい。ちょと、哲平の非情さと薫のふがいなさに、苦笑いしながら、一葉は、薫に連絡してみようと思い、哲平に薫の連絡先を聞いてみた。
「えっ、ちょと、まって」
職場の人達に、自分達の交際がばれていないと思っていた哲平は、一瞬とまどった表情を浮かべたものの、一葉には、好意をいだいていたので、すぐ、薫のメアドを赤外線送信した。
「あっ、念のため、紫藤君のも」
一葉は、何気なく、哲平とメアドも、交換した。早速、社交辞令で、メールすると、その日の夕方、哲平から、夕食の支度をしている、一葉に、メールが届いた。
「紫藤です。これからもよろしくお願いいたします」
「あら・・。律儀」
一葉は、笑った。ごく普通のメールだったが、これから、全てが始まってしまった。




