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TS転生魔王様の異世界漫遊記  作者: DP
Episode.3 赤毛の聖女は側にいたい
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魔王様と王都ハイランディア②


翌日。


情報屋の元から返って来たシエラにアーシェの所在を聞いた私は、さっそくそちらに向かう事にした。


ちなみに宿を出る時はリンで出て、外で着替えた。まぁ女ばっかりのパーティーで目を引いていたのに、出てくるときに男が混じってたらアレだしね。


というわけで皆と一緒に宿を出て、それから人気の少ないところへ行ってパパっと着替えた。割と外で着替える事は多いので、早着替えは慣れたものである。そしてメタモルフォーゼ。


じゃあ、目的地に向かう事にしよう。


ちなみに、こないだみたいに偶然エンカウントするようなものではなく、ちゃんと事前連絡は入れてある。さすがに王都の規模だとある程度居場所解ってても会えない可能性高いからなぁ。


待ち合わせの場所自体は小さなカフェ。そこで合流してから別の場所に移動して会話する。話す内容的にカフェだとちょっと話しづらいからね。


……いやぁ、でも凛太朗の姿は視線を引かなくていな。そもそもの話うら若い乙女5人組なので街を歩いていると視線を引いてたけど、別段リン一人で歩いていてもめっちゃ視線を集めるからね。美人なので。めっちゃ美人なので。


そう考えると先のエンカウント時にリンであっちゃったのはアレだったが、あっちが完全に偶然だったからな。致し方なし。


その点凛太朗はそれほど目を引く外見していないので、非常に気楽だ。まぁあまり顔を知られ過ぎると凛太朗の体の唯一のメリットが死ぬので、そんなに頻繁に使う気もないけど。


「おー、いたいた」


繁華街から離れ、人通りもほどほどな通り沿いにあるこじんまりとしたカフェ。時間帯的にもさして混んでいない店内の中にアーシェの姿を見つけた。こちらに背を向けているが彼女の持つ赤毛はこちらの世界でもあまり見ない髪色なのでほぼ間違いないだろう。


俺はこちらを見てきた店員に対してアーシェの方を指さして案内不要な旨を伝えてから、彼女の背後から近寄……ろうと思ったが下手に驚かれて目立つのもあれだからな、ぐるりと回って前の方へ向かうと果実のジュースを飲んでいたらしきアーシェはこちらの存在に気づき、


ぷひっと口に含んでいたジュースを拭きだした。


いや、なんで? ちゃんと前から回ったし、今回は前回と違ってちゃんと"スズ"として連絡を入れていてるんだけど。


とりあえずそのまま咽たので横に回って背中をさすってやろうとしたら、腕を払われた。なにゆえー。仕方ないのでハンカチを差し出したらそっちは受け取ってくれたので、俺は彼女の対面に腰を降ろして彼女が落ち着くのを待つ事にする。


アーシェはしばらくこほこほと咽ていたが、もう一度ジュースを飲んでから一つ深呼吸をしたら落ち着いたらしい。ようやくこちらに向けて視線を向けて来た。その視線が鋭い。何故。


「ええっと、久しぶりだな? アーシェ」

「なんでその姿なの」


向こうから声を掛けてくれなかったのでこちらから声を掛けると、即座にそう返事が返って来た。その声がきつい。いやなんでだよ、こないだあった時はそこまで当たり強くなかったでしょうにと思いつつ答えを返す。


「状況的にリンの姿のままであって、誰かに目撃されるのが不味いからだよ。それに今俺の変身のストックに丁度いいのがないからな。凛太朗が一番無難なんだ」

「そう。……そうよね、うん、そうね」

「?」


何故か俺の返事にうんうんと何度も頷きを見せた後、アーシェの反応が少し柔らかくなった。なんでかわからんが、とりあえず何かに対して納得してくれたのかな? とりあえず睨まれないならいいや。やはり気に入っている美人には睨まれるより笑顔を向けてもらいたいし。


まぁアーシェの場合こういった反応を見せるのはむしろ親しい相手っていうのがわかってるからいいんだけどな。彼女は親しい相手には遠慮がなくなるタイプなので。


ま、とにかく落ち着いたようで何より。


やってきた店員に飲み物を一つ頼みつつ視線を戻すと、今度はアーシェから声を掛けて来た。


「それで、重要な話ってなんなの?」


せっかちだな。まぁ魔王から重要な話って言われて呼ばれたらそりゃ気になるだろうけどさ。

でもな。


「まずは少し雑談しようぜ」

「……なんでよ?」

「周り見てみ」


俺の言葉に従って、彼女がちらりと周囲に視線を送り……そして、顔を少し朱に染めてうつ向いた。


「……理解したわ」

「なにより」


そりゃな、赤毛の美人という目立つ容貌の女性が男が来ただけであんな反応したらそりゃ視線を集めますって。そして人の意識がこちらに向いている状況の中で話せるわけないんだわ。ま、最初っからここで話す気はなかったけども。


それじゃまずは聖女様とのカフェデートもどきでも楽しみますか。


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