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TS転生魔王様の異世界漫遊記  作者: DP
Episode.3 赤毛の聖女は側にいたい
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魔王様と過去の話⑫


それにしても、この体はいい感じよね。


いや別に変な意味ではなく、保有している能力的にね。


寝ている間でも長期的に継続で張れ、今みたいに掛けている最中でも自分を軸に安定している結界。それに先ほど重傷の彼女を治癒してみせた回復能力。


そして──彼女が半ば無意識に使っている自身へのバフ。


魔力で自身の肉体を強化するのは私達魔族もやっているけど、なんというか彼女の力は魔力に対する強化の効率がいい。それに、現時点では彼女は扱えないみたいだけど……恐らく鍛えればこのバフ、他者にも付与できる。


現時点でも優秀。更に今後の伸びしろもかなりのものがありそう。


うーん、やっぱり欲しいなぁ、アーシェ! 本当に聖王国の所属じゃなかったら口説き落とすんだけど!


なんとかいい方法ないかしらと思うが、まぁそれは今考える事じゃないか。


薄暗いダンジョンの中を、私はただまっすぐに目的地に向かって駆ける。すでに位置は捕捉しているし、ここは広いが入り組んだ作りではないから、このまま進めば目的地へたどり着くはずだ。


何より、先ほどから何度か発動しているトラップがゴールが近い事を示している。


ちなみにトラップは反応出来るのは魔力で破壊、それ以外は全部結界と魔力の壁で防いでいる。

正体がばれた以上今更力を抑える理由がないからね。魔王様パワー発動って奴だ。


そうしてひたすら進んでいくと、天井の高い広い空間に出た。そしてその中央にずんぐりむっくりとしたロボットのようなフォルムの、黒い光沢を放つゴーレムが立っていた。こいつが先ほど確認した二つの反応の方の()()()、多分宝物庫兼管理室の守護者って所だろう。


奴はすでに起動状態だった。まあトラップ的にこっちの接近は感知してたっぽいから当然だよね。ただこちらに向かってこないのはあくまで後方にあるであろう施設を護るためか。


「だったら先手必勝!」


こちらとしては別に近寄る必要はないので、凝縮した魔力を守護者に対して投げつけてやる。そこらにいるゴーレム程度なら一発で跡かたなく吹っ飛ばせる奴だ。


「おお?」


が、その力は奴の前で拡散して弾けた。


なんか、目の前に障壁を貼った? しかも受け止めるタイプじゃなくて受け流すタイプの奴。うおお、面倒な。


さすがに神代種族の生み出したダンジョンの守護者、そこまであっさり消滅はしてくれないか。


見事初撃を防いだ守護者は、反撃とばかり砲撃を放ってきた。それを結界と魔力の壁で防ぎつつ、更に2発。が、これも流される。うーん、優秀な防御兵装を持ってらっしゃる。


こんな所で時間食う気はないんだけどな! 回復したアーシェが私の事心配してこっち来ちゃったりしても困るし!


力は別に完全に受け流されているわけではなくダメージは通ってるから、このまま攻撃し続けるかもっと強力な魔力をぶつければ普通に倒せそうではあるけれど。前者は時間がかかるし、後者は周囲への影響がちょっと怖いわね。


うん、だったら一番手っ取り早い方法をとろう。私が使える中で一番火力を出せる攻撃で。


……正直こういう無生物系とは相性が悪い能力ではあるんだけど、こいつ程度なら単純な攻撃力だけでも充分なハズだ。


私は意識して変身を解き、リンの姿に戻る。こっちの能力はリンじゃないと使いずらいので。


──『変貌の魔王』。私の通称で、魔王は基本的にその能力に応じたこういった二つ名がつけられるものだけど、私のこの呼び名は能力に即していない。(ちなみに能力の名前に見えない『怠惰』もきっちり能力に関係している。本人がベッドでごろ寝していても、自身に近づく"彼女が望まないあらゆるものを"フルオートで抉る事が出来る能力なので)


だって変身能力は転生特典みたいなものだ。魔王固有の能力ではないので。


私は魔力で刃を作ると、自身の腕をぴっと斬り裂いた。当然その傷跡からは血が溢れだし……だが床に零れ落ちる事はなく、私の掌で球体を形作ってゆく。


「こんなものかな……」


その紅い球体が野球のボール程度のサイズになったところで、私は出血を止めた。傷はすぐにふさがらないのがちょっと面倒だけど、これは後でアーシェの力を借りようかな。


「ほいっと」


とりあえず傷に関しては後回しだ。私が軽く押し出すようにその紅い球体を放ると、次の瞬間球体は一気に加速し──奴が展開した障壁をあっさり打ち抜き奴の胴体へと撃ち込まれる。それによって奴の胴体に風穴があいたが……いかんせんサイズが小さいので、奴は大きなダメージを受けたようには見えない。


……ま、これで終わりだけど。


私は先ほどまで紅い球体を浮かべていた方の手をぎゅっと握りこんだ。


その瞬間、何かが砕ける音と共に、赤い幾つもの棘が、奴の胴体を貫いた。内側から。


先ほど叩き込んだ球体を棘付きで肥大化させ、内側から破壊したのだ。障壁を抜いた攻撃がさっきからダメージを通してたから本体には大した防御機能はないと思ったけど、当たりね。


もはやズタボロのガラクタになった守護者は、力を失いその場にガラガラと崩れ落ちた。


うん、まあ神代種族の物とはいえたかが創造物、しかも製作されてから遥かな時が経過しているおんぼろなんてこの程度でしょう。生物型だったらもっとエグイ倒し方できたんだけど、やっぱり単純な攻撃力だけで十分だったね。


私の魔力は、血液に乗せてこそ最大限の威力を発揮する。


そして、さまざまな効果をもたらす。


わざわざ血を流すのめんどいからあんまり使わないけど、こっちの能力が先に知られていたら別の二つ名がついてたかな。


『操血の魔王』とか。



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