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TS転生魔王様の異世界漫遊記  作者: DP
Episode.3 赤毛の聖女は側にいたい
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魔王様と過去の話②

ある程度の位置は聞いているとはいえ正確な座標を知っている訳じゃない。それに、今回の地震で出口が出現したと限ったわけでもないので、ゼノビアに到着した私はまず情報収集を開始した。具体的な地下への入り口の情報がなくても、地滑りやがけ崩れが起きた場所があったらそこに何か出現している可能性がある。なのでそういった情報を集めて後はしらみつぶしにしようと思ったんだけど……


幸か不幸か、山に入った猟師の一人からがけ崩れが起きた所に洞窟が出現したという情報を入手できた。


しかも、その洞窟の中で石が人型をとった怪物の姿を見たという情報までついてきた。


神代種族の遺跡確定である。その遺跡を生み出した種族は、鉱石や石を素材とした俗にいうゴーレムと呼ばれるものを警備兵として扱っていたためだ。


こうなるともう突入しなくてはいけないのが確定となったので、私は食材や灯りなどの必要なアイテムを集める事にした──んだけど、実はここで無駄に苦労することになった。


なにせ大災害が起きて復旧作業中の地域である。しかも私はわりと早期に到着してしまったので店舗もまだ営業再開してない所が多かったし、他地方からの支援物資もまだ届いてないから食料品を手に入れるのもなかなか苦労した。結果山や森で狩ってきた獣と引き換えに保存の利く食料を買ったり、相場より高い代金を払ってなんとか揃える事になった。


うん、こうなってるのわかってたんだから荷物になるのをいとわないでちゃんと事前に用意してくればよかったね。今更だけど。


とにかく、なんとか準備は整ったので私は早々に地下遺跡へと突入した。のんびりしていれば冒険者達が間違いなくやってくるからだ。そんな連中に地下遺跡にあると思われる神代種族の遺物が発見されれば面倒な事になるし、そもそも内部で冒険者たちと遭遇しても面倒な事になりそうなので。魔族の特徴である瞳はヘイゼルの魔道技巧(マギテクノ)のアイテムで消しているからそうそう気づかれる事はないだろうけど、戦っている姿を見られたら感づかれる可能性があるからねぇ。


ヘイゼルの姿なら人間の魔術が使えるけど、ヘイゼルは()()()()のせいか私との適合率が低めで能力が大分落ちる。神代種族の遺跡に一人で潜るのは不安が残るのだ。


なので早期突入、早期発見して早期撤収! が目標として私は地下遺跡に突入したんだ。


したんだけど……


いやぁ、広い!


地下にこんだけ広い空間広がってるの知ったらここに住んでいる住人達みんな不安になるんじゃないの? ってくらい広かった。しかもさすがに所々崩壊しているところがあって行き止まりになってたりもしてたから調査もなかなか進まない。ゴーレムも邪魔だし! さすがに苦戦するとまではいかなかったけど、フツーにそこいらの人間の冒険者よりは強いし何より普通の石じゃないみたいで硬い!


そんな感じで調査はなかなか進まず、ダンジョン生活3日目を迎えた日の事だった。


ダンジョンの中に爆音が響いたのは。


地震はなかったし、そもそも音からしてがけ崩れとか自然に起きた音ではない。恐らく火薬かあるいは爆発系の魔術を用いた爆発だ。しかもかなり大きい規模の。


いや、こんな地下の遺跡の中で何してくれてんの? 下手すりゃ大規模崩落巻き起こして皆地面のそこでお陀仏ですよ?


──ていうか、嫌な予感がするんですけど!


私はこの時点でちょっと悩んだけど、結局爆発の元を確認しに行く事にした。地底の為音が反響して具体的にどっちから聞こえて来たかはわからなかったんだけど、振動は──入口の方から来た気がしたからだ。


さすがにこんなクソ広いダンジョンなのでちゃんとマッピングはしているから、戻るのは簡単だ。急ぎ足で数時間程で入り口まで戻った私の前に広がっていたのは……


完全に崩落した地上への通路だった。


……うん、そんな気はしていたんだよ。


恐らくだけど、ダンジョンの中に怪物がいるのを確認して……そも怪物が表に出ないように入り口を誰かが塞いだのだろう。ここの遺跡にいるゴーレム達は基本遺跡を守るコマンドを受けているだろうから外に出る可能性は低いんだけど、熟練の冒険者で神代遺跡の遺跡に潜ったような人間じゃないとそうそう気づかないだろうしなぁ。


しかもこの位置、地上のすぐ側というわけではなく結構潜った辺りだ。だから力で手前の土砂を吹っ飛ばしてとか簡単にはいかないだろう。というかそんな事をしたら状況悪化するかも? 土木の知識なんて私ないしさ。


さて、どうしたもんか。出口自体がここだけって事はないだろうから地上に近い出口を探してそこをぶち抜けばいいかな。何にしろ、遺物を見つけてからになるけど。


──と、まぁ。この時私はさすがにちょっと混乱状態にあったらしい。


「嘘……」


なにせいくら気配を察知はできないとはいえ、呻くような声が届くところまで人が近づいている事に気づかなかったのだから。


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