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TS転生魔王様の異世界漫遊記  作者: DP
Episode.3 赤毛の聖女は側にいたい
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魔王様と情報分析②


「これさぁ、目標アーシェじゃないかなぁ」

「赤毛の聖女ですか?」


私はぼそりと呟いた言葉にシエラが反応したので、私は頷きを返す。


「アーシェがハイランドジアに向かった後に、ハイランドジアよりの街に移動しているもの。その可能性は高いんじゃない?」

「ですが、彼女は同じパノス聖王国の聖騎士でしょう。わざわざ隠れて後を付ける理由がありません」

「話を聞く限りだと、その聖女を意識しているなら逆方向に行くのでは?」


シエラとアヤネが立て続けに疑問点を上げてくる。ちなみにフレアは解っていないようできょとんとしているし、ユキは基本こういった話は聞いているだけでまず発言はしない。自分が従者というイメージがあるからだろう。


だから私は声を上げた二人の方に視線を向けて答える。


「パノス聖王国の派閥争いってさ、割と血なまぐさい事があるのよね。まぁ派閥争いなんて、どこも血なまぐさいもんだろうけどさ」

「……赤毛の聖女を害そうとしている可能性があると?」

「ええ。現在のパノス聖王国は敵対派が最大派閥なんだけど、人数は少ないにも関わらずそれに匹敵する力を持っているのが穏健派なのよ。でその理由が一つは派閥の領袖が現在のパノス聖王国で最も強い人間であるって事なんだけど、もう一つの理由がアーシェの存在なのよね」

「強いのか?」

「弱くはないけど、彼女の術は基本防御寄りだから戦闘の能力が理由じゃないわね。彼女の存在が大きい理由は人気よ」

「そういえば、パノス聖王国に現れた聖女は民間の人気が非常に高いという話は聞きますね」


シエラの言葉に私は頷く。


「パノス聖王国の聖騎士って大きく分けて2種類いてさ。一つは幼い頃から聖王国で育ち鍛えられたエリート。もう一つはその実力を見込まれて途中加入したスカウト組。んで、アーシェはスカウト組なんだけどさ、彼女は聖王国に所属する前からその力で多くの人々を癒してきたし、今もこまめに街の人間を癒しているらしいわ。そんな感じで民間の人気が高くてね」


そこまで説明したところで、アヤネが大きく首を傾げながら口を開く。


「だからと言って、さすがに同組織の所属の人間を害するか? せいぜい、魔王と繋がりがあるとか貶める程度では?」


まぁ普通はそういう思考になると思うけど。というかアヤネの考えは多分半分は正解だと思っている。つまりだ。


「あくまで予測でしかないけど、私の言っている事とアヤネの言ってる事のどちらかを狙っているんだと思う。それと……害する事に関しては過去に一度実際あったからね」


そう、彼女は過去に一度害されかけた時がある。直接的に殺害されそうになったわけではないけれど、そういった状況に追い込まれた事があるのだ。ちなみに何故そんな事を私が知っているかといえば、その一件が私とアーシェが初めてあった時であるからである。


「そういう事であれば、リン様の方の考えをわたくしは支持します」


私とアヤネのやり取りに、シエラが口をはさんで来た。


「可能性としてですが、恐らく連中はこの近郊で聖女を殺害し、その犯人を私達に押し付けようとしているのでは?」


ああ、成程。その可能性が高いわね。


私の領土や隣接するアージェ(アーシェと名前似てるわね。アーシェは愛称だけど)の領土と隣接している国家はいずれも魔王領と敵対する意思はない。そしてパノス聖王国は魔王と基本敵対となるが魔王領と隣接していない。なので勝手に魔王領に侵攻して事を起こしたら他国の領域で勝手に戦端を開き戦争に巻き込むことになり、大多数の国家からバッシングを受ける事になるだろう。


だが、魔王領の近隣、あくまで人間の領域で聖王国はおろか他国でも人気の高い赤毛の聖女が魔王の関係者に害されたとなったら、魔王軍と開戦する名目が立つ。その足りない頭で一挙両得なんて考えてるかもしれないわね。


……となると、この一件過激派だけじゃなくて敵対派も絡んでいるかしらね。過激派のアホだけだったら恐らくまっすぐこっちに突っ込んで来ただけだろうし。


ふむ。


勿論これはあくまでただの推測だ。だけどこうしてみると可能性としては高い気がする。であればだ。


フザケタことしようとしてくれてるじゃない?


「シエラ」

「はい」

「滞在中の過激派の動き、情報屋を使って追いかけさせて。それからアーシェの追跡。ウチの本拠にも連絡して詳細な情報収集を」

「はっ」

「私達は、ひとまずハイランドジアの王都に向かいましょうか。本拠に戻るのは遅れるけど、いいわよね?」

「状況を考えると致し方ありませんね。事がおきそうな時に距離があってはどうにもなりませんし」

「そうね」


シエラと頷きあい、それから私はずっときょとんしたままのフレア達の方に顔を向ける。


「えっと、話聞いていたと思うけど。私はこれから王都へ向かうけど、貴方達はどうするかしら? 先に本拠に向かって貰っていてもいいんだけど」

「勿論お姉様と一緒に行きますわ!」


即答だった。まぁ私に懐ききっているフレアが私と長期間離れる選択肢をとる訳ないか。そしてフレアが行くのであれば当然というように、ユキも同行の意思を表明する。


そうなると、アヤネにはついてきてもらうしかない。そう思って彼女に視線を向けると、彼女は心得たとばかりに頷いてくれた。


ま、少なくとも王都に着くあたりまでは事はおきないだろうし、いざアーシェに接触してもらうとき現状魔王の関係者と思われる可能性が限りなく低い彼女達がいた方が都合がいい事もあるだろう。


よし。


「それじゃ皆で行きますか。ハイランドジアの王都へ」



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