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TS転生魔王様の異世界漫遊記  作者: DP
Episode.3 赤毛の聖女は側にいたい
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魔王様と赤毛の聖女②


まぁ制裁入れにいくかどうかはチャンスがあったらとしておいて。


……状況的に、ちょっと不味いかな?


うちはトップ陣──ぶっちゃけ私、オルバン、シエラの三人の実力はかなり高く、他の魔王達の幹部と匹敵する。というかオルバンは魔王を目指してもいい実力者だ。


なんだけどウチは割と少数精鋭なんだよね。


パノス聖王国には聖騎士と呼ばれる称号持ちがいるんだけど、こいつらの中には魔王に匹敵する実力者がいる。そのクラスが相手だとしてもオルバンがいれば何とかなると思うけど、オルバン一人ではエリアをカバーしきれない。まぁさすがにそのクラスがこんななっさけない攻め方はしてこないと思うけど……


「天位持ちは動いているの?」


私はアーシェに聞いてみる。


天位というのは、聖王国に所属する聖騎士に与えられる最高位の称号だ。単体で魔王と対応できるとされる実力者にのみ与えられるとされる。近年は天位持ちと魔王が衝突することがなかったので、実際それほどまでの実力を持っているかは未知数だけど……少なくともそれに近いレベルは持っているハズだ。


その天位持ちは知らないうちに増えていなければ現在4人存在していて、そのウチの一人が過激派だったハズだ。


そいつが動いていたら面倒かもねと思って聞いてみたが、アーシェは首を振った。


「バルドヘルトは動いてないわ……あの人は過激派だけど、そういうのじゃないから」

「あー……戦闘狂(バトルマニア)だっけ?」


私の言葉にアーシェは頷いた。


ネス・バルドヘルト。とにかく強い奴と戦いだけの狂犬と聞く。そんな奴なら確かに空き巣みたいな事はしないだろう。


「戦力的には貴女が出張れば問題ないレベルの相手しかいないわ」

「了解。情報提供ありがとう、しれぶわざわざ会いに来てくれて嬉しいわ」

「べ、別に会いに来たわけじゃないわよ。ハイランドジアへ用事だっていったでしょう?」

「というか、こっちに情報流してしまって大丈夫だったの? 国の方から怒られない?」

「……そもそも派閥の方から連絡を受けているから問題ないわ。そちらに情報を流すのも許可が出てる」


ま、彼女は情報の中心にいるようにタイプじゃないし、派閥の方から情報を受けてハイランドジアへ伝達に行くというのも嘘じゃないでしょう。


「事前に連絡したので、人間側からの敵対行為とは思わないで欲しいってことかしら」

「そうなるわね」

「そっかー、まぁ仲のいいアーシェちゃんからそういわれちゃ仕方ないなー♪」

「……私と貴女は相対する組織に属する関係だと思うのだけれど」

「えー、一緒に寝た仲じゃない」

「あれは同じ場所で寝ただけでしょう!?」


アーシェがバン! とテーブルに手を付けて立ち上がった。それからハッとして周囲をきょろきょろと見回す。


──当然といえば当然だけど、店の中の人間の視線がアーシェに集まっていた。そんな視線に対して彼女はペコペコ頭を下げてから、視線から身を隠すようにできるだけ体を縮こまらせて座りなおす。


「ダメよー、こんな所で大声だしたら他の人に迷惑よ?」

「貴女のっ、せい、でしょうっ!」


紅くなっちゃって可愛いわ。でもさすがに声は今度は小さく抑えていた。その分ドスは聞いていたけど。


ちなみに、彼女の言う通り同じ場所で野営しただけで同じベッドで寝たとかそういうわけではない、魔王と聖女と呼ばれる少女が同じ場所で寝たという時点でおかしな話だとは思うが、まぁいろいろ事情があったのだ。


「さて、と」


自身の瞳の色のように頬を染めた彼女の姿をある程度堪能してから、私は席から立ち上がった。


「それじゃ私はそろそろ行くわね」

「えっ……」


ちょっと、なんで捨てられた猫みたいな眼をするの? すぐにキッとした顔に戻したけどさ。

私としてももう少し構っていたいところではあるんだけど、ね?


「連れをあんまり待たせておくわけにもいかないしね」


シエラが勘定を済ませ、こちらに戻ってきていた。今日は彼女とのデート(のつもり)なので、ここでいくら知り合いと合ったといえ彼女を放置して話し込むわけにもいかない。それではクズ男である。私今女だけど。


後、一応感知には引っかかってないけど、こんな街中でどうどうと長らく話しているのもよくないだろう。私は構わないが、彼女の方に魔王と接触しているという情報が流れたらそこそこ面倒なのでは? と思うし。


「それじゃ、また会いましょうね?」


彼女に対してウィンクと共にそういうが、返事は返ってこなかった。というか目を背けられた。あら残念と思い背を向けると、背後から


「気を付けなさいよ」


と囁くような声を掛けられたので、手を上げて返事としておく。


そうして戻って来たシエラと並び、店を出た。


……この後、また情報屋の所にいかないといけないかしらね。そういった連中がやってきているのであれば、この街ではなく近郊の町全体の情報を集めた方がよさそうだ。


「リン様」

「ん?」

「……話を聞かせて頂けますね?」


あー、当然気になるわよね。


「勿論。後で話すわ」

「一緒に寝た事について、詳しくお願いします」


あれぇ!? 正体とかじゃなくてまずそこから!?



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