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TS転生魔王様の異世界漫遊記  作者: DP
Episode.3 赤毛の聖女は側にいたい
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魔王様は街を散策する①


宿をおさえて荷物をおいてから、私達は先ほどの話の通りに二手に分かれた。


フレア、アヤネ、ユキは宿の近辺の散策へ。飲み屋等荒くれ者が多い区域の安宿ではなく、治安のいい地域の少し高めの宿をとった。あの辺りは警備兵もところどころ巡回しているからあまり妙な連中に絡まれる事もないだろうし、そこに更にアヤネがいるので心配はないだろう。そこらへんのチンピラ程度なら彼女は秒で無力化できる。


そして私とシエラだが、二人でデートだ。


……と言いたいところだけど、実際はいわば偵察のような行為だ。


魔族の領域が近くなってくると、こちらに敵対的な連中に遭遇する可能性が高くなってくる。


私は人間と敵対していないからそれほど目の敵にはされていないと思うけど、一部の連中は「魔族の一部が人間と敵対しているんだからお前らも敵だ!」とか言ってくる奴いるのよねー。


お? それじゃお前らがけんか売って来たからこっちは人間全員滅ぼしに動いっていいことかしら?


そんなことしないけどね! リン様は理知的な魔王様なので。というか魔族は割と個人主義が強いところあるしぃ。


そもそもさすがに私には人間全体を滅ぼす程の力はない。私はそこまで自惚れてない。


尚、魔族側の当代最強──というか、恐らく史上最強と呼ばれるナーグであれば人間全体を滅ぼす事も可能だろう。何せ彼女は残りの魔王7人が一斉に襲い掛かっても勝てないとされる存在だから。


尤も彼女がそんな事をするのはありえないけど。なにせ彼女の二つ名は"怠惰"。常に自分の領土でゴロゴロしている彼女が周囲に敵意を向けるのは自分の"怠惰"を邪魔された時だけだ。


正直彼女がそんな娘で本当に助かったけどね。ナーグがもし支配欲が強い娘だったら魔族はおろか人族もとっくに支配下に置かれている。なにせ実力2位、対象を見るだけで相手を倒す"破眼"ですら彼女にはかなわないのだから。


一生ごろごろしていて欲しい。


まぁ、話がちょっと飛んだけど、街の中を歩くことに関して一般の連中はそれほど気にしなくていい。私の顔はさして知られていないし、そもそも一般の連中だとこっちも気にしようがない。あたったら運が悪いと思うしかないし、一般の魔族に強い敵意を持つ連中は現状で敵対的である"幻惑""獣王"の方に行くだろう。ウチや"暴食"アージェなど人と敵対しない魔王の支配域と接触している国はこちらを変に刺激しないように気を使ってくれているから、一般人がこちらに余計なちょっかいを出して来る可能性は低い。怒られが発生するので。


問題は狂った人間だらけのパノス聖王国だ。連中の国には私の人相書きが出回っているので遭遇したら気づかれる。


彼らの国はいつも大体いくつかの派閥に別れている。


まず一番狂った連中。過激派。とにかく魔族を見かけたらぶち殺す思考の方々。こいつらはそれこそ他のしがらみやらなにやらは一切考慮せず襲い掛かってくるキ〇ガイ共だ。別に街の外で遭遇するならぶちのめせばいいけど、街中では絶対に会いたくない。


敵対派。過激派と同様で我々をぶち殺す思考な連中。ただこっちはまだ理性的で、状況をある程度は考慮する。ただ最終的にぶち殺すために動いてくるからやっぱり会いたくない。


余談だけど、この2派閥に属している連中の大半はパノス聖王国で育った人間らしい。……幼少期から洗脳教育してるんじゃないの? 親とか友人を魔族に殺された人間もいるけどさ。


穏健派。魔族と敵対していないわけではないけど、基本的に敵対していない魔族には仕掛けていない。今の状況で彼らが敵対するのは"幻惑""獣化""死霊"の一派だけだろう。"樹海"も人間とは敵対しているけど、彼女たちは喧嘩を売って来た相手を殴り返しているだけだしね。


一番理知的な派閥といえるので、彼らの派閥がパノス聖王国の中で力を持ってくれると楽なんだけど。残念ながら現状権力を握っているのは敵対派らしい。詳しい事はしらないけどね。


彼らなら遭遇しても大きく問題ない。襲い掛かってくることはないだろうし、知ったら問題を起こす事が目に見えているので過激派や敵対派に情報を流す事もないだろうから。


それから最後に融和派。本当にいるのって感じだが一応いるらしい。魔族と手を取り合う方法を探しているという話だ。難しくない? アージェとかだったら今すぐでも可能だと思うけど、人を食事とする魔族が集まっている"獣化"とか絶対無理でしょう。魔族と人間は戦いたい奴同志だけ戦わせておいて後は基本ベースで相互不干渉とかが無難だと思うけどねぇ。


まぁ当然彼らも遭遇しても問題ない。というかほぼ数が居ない彼らと遭遇する可能性は限りなく低いと思うけど。


私達がまずこの街でする事は過激派、敵対派の連中が来ていない事を確認する事だ。


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