魔王様と空飛ぶマグロ①
といわけで美少女5人旅だ!
いや私とシエラはちょっと美少女の枠に入れるのは厳しいか……? ならば美女美少女5人旅だ。
男どもにとっては垂涎ものの集団である。これが辺境ではなくもっと中央に近い街だったりしたらいろいろ面倒な事になっていただろう。
フレアとユキは言わずもがな、私とシエラも別段ぱっと見は腕の立つようには見えないし、アヤネは分かる人間が見ればちゃんと鍛えられているのがわかるが、ぱっと見の外見は小柄な少女だ。
タイプの違う美女美少女のグループ、しかも(ぱっと見は)与しやすそうな感じだ。間違いなく絡まれる。
まぁ移動先が辺境の方で良かった感じだ。中央の方だと街によっては些細なトラブルでも暴力沙汰になると警備隊が介入してくる。外見上から見てもこちらが加害者に見られる可能性は低いが、それはそれとしてそうした公的機関に絡まれるのは面倒だ。
それに貴族に目を付けられると最悪だ。叩き潰して終わりとはいかないし、何より情報を集められた場合私の正体がばれる可能性がある。そうなるともう大騒ぎだ。それもわかってるから中央に行くときはヘイゼルとかの姿を借りて行ってるんだけど。
その点、辺境であれば問題ない。絡んでこられたら適当にあしらえばいいし、強引な手段であればぶちのめせばいい。フレアとユキはともかく残りの三人は自分で問題なく対処できるし、フレアとユキは常に私達の誰かと一緒にいるので問題ない。
私たちはアヤネの案内の元、(食堂とかで絡んで来た馬鹿達を適当にしばきつつ)問題なく旅を続け、目的地へとたどり着くことが出来た。
「おお……これは、酷いわね」
そこは小さな集落だった──のだろう。人の気配はまるでなく、また家屋の大半は崩れ落ちていた。また集落の中央部分に関しては、大きくえぐり取られたような深い溝が出来ている。これはストピーダーが抉った跡でしょうね。
辺境の街道から更に離れた位置にある場所への旅となるため、食料やら何やらを運ぶために購入した馬車の中から外を覗き込んでいるユキは、その顔を痛ましげにゆがめている。ただフレアの方は特にわかってないようだった。多分ここが廃墟とかもわかってなくて、人がいないくらいしか思ってないだろう。彼女の場合は仕方ない。この子は廃墟の集落を見るのも初めてだろうし。
アヤネ自身は、無表情に集落の様子を眺めていた。その姿からは今の彼女の心の内は読み取れない。
「崩れている家屋は、ストピーダーが通った時に煽りをくらった感じですかね」
横からそう声を掛けて来たシエラの言葉に、私は頷く。高速で動く巨大な質量だ、直撃すれば木造の家屋など木っ端みじんだろうが、半壊ですんでいるのはその時に発生した衝撃か何かで壊れただけだろう。逆にいえば、直接ぶつからなくても家屋を半壊させる程の存在という事だ。
ただ、それをもたらした存在の姿は、目に付く場所には見当たらない。
「アヤネ、ストピーダーはもうこの地にいないという事はないかしら?」
「断言はできないが……以前追跡した時は決まったルートを周回している感じだった。それにこちらに向かう時には、ストピーダーの話は聞かなかった。という事は、人の立ち寄らないこの地域にいる可能性は高いと思う」
私の問いに、アヤネはそう返答してくる。
ちなみに以前の喋り方はところどころ詰まったりして喋りづらそうにしていたので、喋りやすい感じでいいわよと言ったらこうなった。まったく女の子らしくない喋り方だが、周りにいた師匠や兄弟子が男ばかりだったということなので、そのせいだろう。
その師匠は老衰でなくなり、兄弟子たちはストピーダー相手に散ってもういない。
しかし……ふむ。確かにストピーダーみたいな存在が人のいる場所に近寄れば間違いなく話題になるだろうから、アヤネの言葉通りまだこの辺りにいる可能性は高いだろうけど……もしもうここにいなければ、時間を無駄に浪費するだけだし……よし、探してみるか。
私の探知能力は、結構大したもんですよ?




