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TS転生魔王様の異世界漫遊記  作者: DP
Episode.0
5/103

魔王様はなんやかんやで魔王になった①

というわけで私、元凛太朗こと現リンちゃんはこの異世界ラビュアータで新たに生を受ける事になったんだけど。

いやぁいろいろ大変だった、マジで。


そもそも一番最初が酷かった。


あのやけに軽い謎の神の元で意識を失った後、次に目を覚ました時場所は薄暗い森の中だった。

そして俺の身体は元とは違うもの──胸に二つの重りがあり、逆に股間の重りはなくなっていた。


見まごうことなく女の体だった。


まぁそこまでは問題ない。問題はここからだ。


何も持っていなかった。

ようするに全裸だった。

大事な所を全部さらけ出しまくりだった。


そしてそこから更に大きな問題が発生した。

私が気づいたその時、目の前で夜営をしている集団がいた。それは人とは異なる姿をした醜悪な怪物──私のファンタジー知識でいえばオークとか呼ばれるそれであった。


彼らは突然現れたであろう私に驚いた後、立ち上がりこちらににじり寄って来たのだ。

股間のモノをおったてて。


いや、おかしいでしょ。普通だったらこういう場合は目が覚ましたら王城で目の前に王子様がいるとかそういう感じじゃん? それが森の中で全裸、しかも目の前には汚いもんおったてたオークってあんまりすぎる。


そんな感じで異世界転移していきなり18禁のエロ本みたいなピンチに陥った私だけど、幸いな事にこの世界での私の体はかなり強力な個体だったようで、あっさり全部肉片に変える事が出来た。私の貞操は守られたのだ。


ただ困難はまだ終わってなかった。


とりあえずオークのボロボロになった服を剥いで、血まみれだったのを近くの小川で洗い流して(当然染みだらけだったが)無事な所をつなぎ合わせてなんとか全裸を脱出はしたが、そこから先も大変だった。


なにせ森を歩いて怪物と遭遇するたびに奴らはナニをおったてて襲ってくるので、その度に肉片に変える羽目になった。私は元の世界では、虫を殺したこともないとはいわないけど意図して動物を殺したことはないような人間だったので、その度に自分の起こした惨状を見てゲーゲーやって大変だった。しかも吐くモノは胃液だけだ。


なにせ異世界転移してから水しか飲んでいない。


だって、どれが食べていいモノかもわからないんだもん。例の神様?が言ってくれたプリセットされた情報は本当にこの世界の住人なら誰でも知っているような事と自分の体の事くらいで、そこらに生えている植物が何なのかとか、河で泳いでいる魚が何なのかは一切わからなかず、口にすることができなかった。


そんなこんなで4日……いや3日くらいたっただろうか。


この時、正直前の世界も含めて生きてきた中で一番みじめさを感じていた時間だと思う。水面に映る私の姿は美しい女性のものだったけど身に着けているものは赤黒く汚れたボロボロの布、裸足で森の中を歩き回ったせいでそこら中小さな傷だらけになっていたし、何も食べていないお腹は空腹からか痛みを感じてきており、真っすぐ立つ事も困難になってきていた。もしこの時襲われてたら私は抵抗できなかったと思う。


だが、ここで私にようやく幸運が訪れる。女神が現れたのだ。

半ば力尽き、小川の側で行倒れになっていた私の前に現れたのは赤毛の若い女性だった。

アージェと名乗ったその女性は私が空腹である事を確認すると、川の魚と手持ちの食材を使ってスープを作って食べさせてくれた。


その時の味はもうさすがに覚えていないけど、その時の感情はいまでも覚えている。

これまで食べたどんな食べ物よりおいしく感じて、私はぼろぼろ泣きながらありがとうと美味しいを繰り返してそのスープを掻き込んだ。そんな私を彼女は優しい笑顔でずっと見守ってくれていた。



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