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TS転生魔王様の異世界漫遊記  作者: DP
Episode.1.1 閑話
36/110

魔王様は(ちょっとだけ)暴れたい②


元来た街道を戻るように歩いていく。


魔力感知によって確認している連中の動きはこちらに向けて直進だ。まぁ街道に沿って進んでいけばそうなるんだけど。


ただ移動速度は少し早めだ。──少なくとも、普通に旅する連中の速度ではない。かといって馬を使っているほどの速度でもない。中途半端な不自然な速度。


それだけで、目的が自分たちだと決めるけるわけではないけど……そのあたりは姿を見せて判断すればいい。


こちらとしてもフレア達が気づかない程度の距離が欲しいので、それなりに急いで歩を進める。すると連中の姿が感知だけではなく、肉眼で見えてきた。


外見は、一見人間の姿でその数は7人。感知できていた数と一緒だ。この時点で俺はため息。


そうか、()()()()()()()と。


お互いに向けて進んでいるから、相対距離はどんどん縮んでいく。向こうにももうこちらの姿は目に入っているだろう。


だが連中の反応に変化は見られない。


そして、ついには連中が眼前に訪れる。


全員男、年のころは人間としたら20前後ってところかな。瞳の色は……赤ではなく、そろって黒。髪の色はバラバラなんだけどな、ちょっと不自然じゃないか?


うん、こいつら魔族だ、間違いなく。魔力の質でわかる。有能な連中であればそういった質も偽装はできるが、こんな人の生活圏でわざわざ魔族の力に偽装する意味がない。こんな辺境にはいないと思うけど、それこそ魔族死すべし慈悲はないで脳みそが汚染されているキチガイ揃いのパノス聖王国の連中あたりに見つかりでもしたらボコボコにされかねないし。


そしてこんなところで魔族が群れなして行動していて、しかもまるで何かを追うように急いでるとなると……まぁ考えられることは限られてくるよなぁ。


そんな連中だけど、こちらの姿をはっきりと目にしても何も反応することもなく──一礼する私に対して返礼すら返さずに私たちはすれ違った。


成程、な。


こっちは一応力を隠蔽しているとはいえ、意図して完全に塞いではいないのに。すれ違うような距離まできても気づきもしないのか。


()()()()見ていないのか、それとも本当に俺達とは無関係なのか。


まぁ、試してみればいい。


俺は指先に作った小さな傷からにじみ出る血を連中へ向けてひっそりと弾き飛ばす。それからあらかじめ設置しておいたものを起動した。


「……っ、止まれ!」


連中の中の一人……一番力が強いからリーダー格であろう男が声を上げ、足を止めた。


「魔王……リンッ」


その声とともに、男たちの魔力が増幅した。うん、明らかに戦闘態勢に移行したな。確定かー。


振り返ると、男たちは何かを取り囲むように展開していた。そしてその向こう……街道脇に広がる森

のはずれに一人の女性が立っている。


女性っつーかリン()だけど。


もちろん本体は俺の方である。あれは少量の血を使ってつくったハリボテだ。


本人に背を向けてハリボテに対して警戒態勢に入ってる連中の姿はシュールだなぁ。


たぶん外見的な特徴しかしらないんだろうなぁ。『変貌の魔王』探すのに外見的特徴だけで探そうとか無謀すぎると思わんのかね?


ちなみに今の俺の姿は、凛太朗の姿だ。この姿は魔族の前ではめったに使わないから、外見的特徴だけで俺が魔王リンだと気付けるのは両手の指の数もいない。


だからといって、一応力の質をちゃんと探れば気づけるようにはしてたんだけどな。


やれやれ、ちょっとした遊びのつもりだったんだけどつまらない結果になったもんだねぇ。


本来目標にすべき相手に背を向けたまま、彼らの力は高ぶっている。特に理由もなく問答無用ですか。


成程、力自体はそこそこあるね。まったくと言っていいほど洗練されてないけど。


そして、高められた力が放たれた。──すぐそばに立つ味方に向けて。





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