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TS転生魔王様の異世界漫遊記  作者: DP
Episode.3.1 閑話
105/106

魔王様と元人間の娘②


「何の話かしら?」


当然と言えば当然だけど、私は彼女に対してそんな事が出来るなんて伝えた事はなかった。

だからそうすっとぼけた反応を返すと、彼女は少し不安そうな表情で口を開く。


「あの、リン様の能力は血を操る力じゃないですか」

「そうね」


細かい使い方を説明している訳ではないけど、血に関する能力は身内には公開している。というか一定以上の実力の相手と戦う時は普通に使ってるしさ。


「で、それが?」

「アタシ、以前文献で見たことがあるんです。人間の中には後天的に魔族になった存在がいるって」

「……そうね?」


それは事実、らしい。それほど事例は多くないが、過去に数度そういったケースは存在しているようね。


「それで、アタシ過去の事例を調べたんです。そしたら、ある共通点があって……」

「うん」

「全てのケースではないですけど、大体そういった人物は血に関する能力を持った魔王に使えていたって……だからもしかしたらワンチャン、リン様もいけるのではって。どうですか!?」


先程の不安そうな表情はどこにいったのか、今度はちょっと興奮気味におはなもちょっと膨らましてヘイゼルが言う。なんなら話の後半は言葉にも力が入って来たし。


だけど、私はその彼女の言葉にはすぐに答えず、別の事を問う。


「ヘイゼル」

「はい」

「貴女、なんで魔族になりたいの」

「だって魔族って寿命長いじゃないですか」


被せ気味に即答された。確かに魔族は人間に比べれば寿命は長い。その分出生率が低いので、そこでバランスが取れているのだろう。


「なんで寿命を延ばしたいの」

「それだけ多くの研究じゃないですか!」


これも即答だった。この研究馬鹿め。

まぁ研究のために魔王の配下になるような女の子だから今更だけど。むしろ納得できるまである。


うーん……まぁとりあえず。

私は腰を落としていた椅子から立ち上がると、ゆっくりとヘイゼルの方へ歩を進めながら口を開く。


「まず、結論から言うと──私の血にはそういった使い方もあるわ」

「本当ですか!?」

「少し、血をもらっていいかしら。そうすれば適合するかわかるから。適合しない場合はどうしても無理だから諦めなさい」


まぁ私自身には特に拒否する理由はないのでそう告げると、ヘイゼルはコクコクと頷く。

そんなヘイゼルの前に立って、こちらを期待した目で見上げる彼女を見下ろす。さて、どうやって血を貰おうかしら。まぁ指先にちょこっと傷をつけてそこから貰えばいいか。


そう思い彼女の手を取ろうとして更に視線を下に向けて……そこでたわわなものが目に入った。ヘイゼル、ウチの幹部連の中では一番ご立派なものを胸にたずさえているのよね。


……。


「いや、なんで急に胸を揉んできたんですか」

「そこに胸があるからよ」

「意味がわかりませんけど!?」


今は女がベースになってるし、なってからそれなりに立ってるから意識は女性の方に倒れているとはいえ、元が男なのだから私おっぱい好きなのよ。勿論自前でもあるけど自前のモノを揉むのはちょっと空しさを感じる時があるし、そもそもこんなご立派なの持ってないしねぇ。


というか、


「そもそもの話、血を受けて魔族となるということは私の眷属になるってことよ。基本的に強い意思を込めて与えられた命令には逆らえなくなるから、こういった事も私にされまくるかもよ?」


その言葉にさすがに今回は少し考えるそぶりをみせたが、それも僅かな時間の事で


「構いません。研究を駄目だとかそういった命令はしないですよね?」

「それはしないけど。あ、頼みたい仕事がある場合とかは期間限定でするかもしれないけど」

「それは今でも一緒なので。ちゃんとすべき役目は果たします」


結局すぐに受け入れる返事を返してきた。

ま、ヘイゼルは凛太朗の事知らないものね。同性である私なら大した事はされないとでも思っているのだろう。……女性同士でもいろいろ出来る事はあるんだけど。無理やりする気はないけどね。


「とりあえず胸を揉むのは後にしませんか」


あ、後で揉んでもいいのね。


私は実に揉み心地のよいヘイゼルの胸から手を離すと、彼女の手を取る。そこで彼女の顔を見るとコクリと頷いたので、魔力で小さな刃を作ってその人差し指に小さな傷を作る。そしてそこにぷくりと出てきた小さな血の玉を口に含んだ。指ごと。


……ふむ。


「らひひょうふ、ひへほふほ」

「指を口から離して喋ってください。それとなんでそんなねっとりとした舌使いなんですか」


いや、そういうもんかなーって。まぁそれはおいといて。


「大丈夫、いけそうよ」

「本当ですか!?」


目を輝かせるヘイゼルに対して、コクリと頷きを返して行く。


「じゃあすぐにでも──」


興奮してそう言いだすヘイゼルに、私は首を振った。


「適合はしているから眷属化はできると思うわ。でも体を実質作り替えるわけだから数日間は寝込むし、いろいろ苦しいとは思うわよ。それでもいいの」

「それは覚悟の上です」

「で、あればちゃんと下準備を済ませてからにしなさい。別に数日単位で急ぐ理由もないでしょう」

「それはそうですね……」


私の言葉に彼女は頷くと、今抱えている仕事を処理し終わってから眷属化を行う事になった。絶対ですからね、約束ですからね! と何度も念押しして彼女は私の部屋を立ち去った。明日から急ぎで仕事を片付けるとの事だ。いや、だから急ぐ理由なくない?


ちなみに初めて使う力だし自分自身に使える力でもないから、どれだけつらいのかわからないけど……まぁ死ぬことはないはずだし私はちゃんと伝えた上でヘイゼルが望んだことなのだから、頑張ってもらいましょう。


あ、ヘイゼル私の()()の候補なんだけど、まだ話してないんだよね。眷属化する前にお願いしとこっとかなー。眷属化した後だと逆らえないし。あ、お願いね? あくまでお願いね? お願いだよー。


人間パーティーで組んでもらうつもりだったけど、まあ元人間の魔族は許容範囲よね。



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