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TS転生魔王様の異世界漫遊記  作者: DP
Episode.3.1 閑話
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魔王様と元人間の娘①


「一体何の話ですか!? リン様!」

「何の話も何も、ちゃんと()()()()に話したと思うけど」

「最初の時って……」

「あの時の話はちゃんとした契約よ? 契約を忘れるなんてヘイゼルちゃんは悪い子ね。お仕置きしちゃおうかしら」


今この場にいる幹部の中でヘイゼルは加入理由が特殊だ。

先程説明した面子の他、エリスは元々私の世話をしてくれていたのの延長戦上で今のポジションについているし、ユーリックはオルバン達と同様戦闘の上で傘下に降っている。この辺りはまぁ魔族としては普通の加入の仕方。


それに対してヘイゼルは非常に特殊だ。


何故なら彼女に限っては、正確に言えば部下ではなく私の眷属と呼ぶべき存在なので。


知っての通り、私の魔族としての能力は血だ。単純に血を武器として戦うだけではなく、フレアを助ける時のように相手の体内に血液を送り込んでその動きを支配したり、実は分身を作ったりもできる。ちなみに元の世界だと血に関する能力を持つといえば吸血鬼を思い浮かべると思うけど、私は吸血に関する能力はない。まぁ変身対象とするためには血の提供を受ける必要があるけど、変身能力は私本来の能力とは違うからね。


なので、吸血をして、眷属を増やす事はできない。

私が行えるのは、()()()()()相手の体を魔族に作り帰るという能力だ。


この能力は、本当に最低限の人間しか知らない。能力の内容的に魔族相手にはあまり意味がないというのが一つ、もう一つの理由としてそんな事が出来るとしられたら、それこそパノス聖王国にがっつり目を付けられる可能性が高いからだ。ようするに面倒な事になるので。


で、ヘイゼルはその能力で魔族として体を作り替えた──元人間なのである。


前述の通り、私はこの眷属化の能力は使える事は知っていたけど使う機会もなかったし、教えた人間も当時は誰もいなかった。まぁそもそも彼女自身、最初は私のその能力を目的で私の元にやってきたわけではない。


彼女が求めて来たのは魔導技巧(マギテクノ)と呼ばれる昨今人間達の中で生み出された各種アイテムの動力源として必須となる、魔石だった。


私の領土内にある一つの山が魔石の鉱山というのを聞きつけて、彼女はやって来たのだ。


ちなみに魔族の中では魔導技巧(マギテクノ)の技術は広まっていないため、当時あまり積極的に採掘されているわけではなかった。一部の魔族が魔石から魔力の補充ができる能力を持っていたため、そういった相手の為にひっそりと採掘がおこなわれていた程度である。それをどこからか聞きつけてやってきたのだから、大した情報収集能力よね。


ヘイゼルは元は人間の商人の娘だった。そして幼い頃から新しい技術である魔導技巧(マギテクノ)に魅了されていた。使う方ではなく、作る方としてだ。だが彼女の家は商家とはいえそれほど大きいものではなく、魔導技巧(マギテクノ)の開発を行うには必須となる魔石を潤沢に使えるような家ではなかった。


そのため彼女は机上での理論の構築を行っていたがある日実際に組み上げたいという欲望が爆発して家を飛び出し、私の元にやって来たのだ。


……いや、そういう場合って他の技術者の元に弟子入りするもんじゃないの? と思ったけど彼女曰くそういった場所だと大抵の場合は小間使いみたいな事をさせられるし、作らせてくれるにしても当面は自由に製作できないから嫌だったらしい。それで客の一人から魔王領に開発されていない魔石鉱山があると聞いて、私の元にやってきたわけね。その客はもしかしたらそういった能力持ちの魔族だったのかも。


すごい度胸と思わなくもないけど、実際の所は目的のためには他の事に関して視野狭窄するタイプなだけよね、多分。


というか彼女間違いなく、目的を達成するためには他の事が疎かになるタイプなのよ。多分タチの悪い人間の元についたら、その生み出した技術が与える影響を何も考えずに開発しちゃって結果として大問題を起こす駄目な科学者タイプ。私は魔導技巧(マギテクノ)には詳しくないけど、元の世界の機械に通ずるのではないかという技術がいくつか見受けられたのを見て、魔王なのに善人なリンちゃんの元でお仕事してもらった方が間違いないわねと判断して受け入れる事にしたの。ついでにいえば生活に便利な道具いっぱい作ってくれそうだったしね!


その私の予測は外れる事もなく、彼女は今までの研究成果を形にすることで次々と魔導技巧(マギテクノ)のアイテムを生み出してくれた。まだ20歳前後の年齢(童顔なのでもっと幼く見えるけど)で誰かに師事をすることなく机上だけでここまでの技術を生み出す辺り、彼女はまさに天才という奴だったのでしょう。


そんなとんでもない拾い物となった彼女が私の領土にやってきてから1年程経過した時の事。そのわずかな期間で数々の成果を成し遂げ、ウチの開発局長(部下はいないけど)というポジションまで手に入れた彼女が、急に夜に私の部屋を訪ねてある事を告げた。


「私を魔族にする事はできますか」と。


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