異世界へ
「中学の卒業旅行2泊3日で北海道のアイヌ民族博物館ウポポイに‘勉強しに’行く、旅費と宿泊代は招待なのでただ。このチラシを見せておくこと。引率は近所の気のいいおねえさん」
「引率が弱いな、保護者が学生だと許可下りるか微妙ですよ、蘭子さん」
「じゃあ民族研究家の親父も行くことにしよう、というか親父のお手伝いってことならいいだろう。これでいいね、ちなみに帰りは山の鳥居だから、でも親には羽田に帰り着くが出迎え無用と言っておくように」
「先生バナナはおやつですか」
「各自の判断にまかせます、じゃあ出発は3日後」
みゅう姫は、やっぱり唯ははずれが無い、といい、真紀さまはアナスタシアとの剣術の修行に明け暮れた。私は
「出発まで山の社務所でお札売りですかね」
「いや、ヘルプが来ているからしばらく行かなくていい、明治神宮の美人巫女さんだったら売り上げ三倍だろ、いや1.3倍だな、なに卑屈になってしまったんだ私は。唯とみゅう姫は弓の練習しておいてくれ、裏に弓道場あるから」
3日後、飛行機で千歳につくとウポポイに移動した。イオマンテの儀式で異世界への通路が開くらしい。
「儀式はすでに始まっている、あらかじめ送った荷物をむこう側に持ち込んでいるところだ」
「勇者とアナちゃんの剣と弓矢に槍そしてポリタンにもろもろ100均の通販ですね」
「園芸用の霧吹き100本だ、お前たちはここで錠剤を服用、16時間後に戦闘開始する。脱出ルートを確保するカンナズキ達は新潟から基地にむかっている安心しろ。アリバイ写真をいくつかとったら行くよ」
儀式の写真と集合写真などなどを撮るって荷物をぜんぶ送り込むと私達もその場所に一歩踏み込んだ。
「おおーホントに異世界のようだ、何もないな、熊とか大丈夫かな」
真紀さまとみゅー姫がキョロキョロしていると。
「魔王はウポポイを作らなかったからな。熊も犯罪遺伝子がないから必要以上の殺生はしない。こちらがシャペロンのエージェントBだ」
「エージェントBですよろしく。みなさんを江戸城まで送ります。さてエージェントR、このレジュメをご覧ください、荷物は魔王にバレないようにレジスタンスがプレプロタグをつけて2段階で送る手はずを整えてすでに輸送に着手しました、明日の朝には江戸城前に到着します。アナスタシア様はここで離脱ということでいいでしょうか」
「いえ、私もいきますエージェントB」
「ではアナスタシア様と勇者様以外のみなさんは魔力の増幅を感じてください、そして体が軽くなるイメージと重くなるイメージを繰り返してください。そう浮遊しましたね。ではそこから移動するイメージを、いいですねその調子です、ではそのまま江戸城にむかいましょう。今日は福島のいわき湯本温泉まで予定しています」
苦労しそうなところだが、わりとすんなりと飛ぶことができた。みな若いので適応する力が高いのだろう。途中、イカそうめんや笹かまぼこを食べてのんびり休憩しつつ記念写真を撮って夕方にいわきについた。
「魔王はスパハワイアンズを作らなかったが旅館はそのままだ、食って寝ろ。だがその前に明日の予習だ。
魔王軍と言っても元々は小悪党がほとんどだ、主体は詐欺師だからだまされるな。そしてこちらは武器にトランスポゾンの入ったベクターを組み込んだウイルスを塗布してあるので傷つけるだけで犯罪遺伝子が作用しなくなるので大人しくなり戦闘をやめる、トランスポゾンが入るとレポータージーンから色素たんぱく質が転写されるので顔が変色するのから顔色を見て判断すること。色は、誰が一番倒したかわかるように唯が青、真紀さまが赤、みゅー姫が緑、その他はオレンジにしておいた、一番倒したものには何か商品がある。質問はあるか。
なんだね真紀さま」
「エージェントR、大変なことに気付いてしまいました、北海道のお土産を買うの忘れました。母親からバターサンド頼まれていたんですが」
「私はマリモ羊羹と鮭の入った食べるラー油があるはずだからあったら買ってくれと」
「ああ、三方六がどうとか言ってたな、近所に配るからとお金渡されてたんだった」
「ん~確かイオンで北海道フェアやっていたからそこで買おう、なかったら飛行場で預けた手荷物がハワイに行ったとか言ってその間に送ってもらうか」
「おお、さすがエージェントR、頼りになる」
「戦闘になったら切られることもあるだろうが少し痛いけどすぐ治るから、でも無理せずリタイアしなさい」
「はい、エージェントR」
なぜだろう敬礼した。ここでも大浴場は混浴なので内風呂ですませた。魔王は卓球を禁止しなかったので楽しく遊んで夜はふけて行った。