宇宙神を見つけた
蘭子は目の色を変えて惑星を探索していた。
「ふう、1日に3個の惑星探索で10日。うち外れの人が住めない惑星3個、バカがいたのが16個」
「しょうがないですよ向こうの方が効率いいし、それに自分のことをバカとか言っちゃダメです」
「いいんだよ唯、私に張り合おうって私はバカなんだよ。
それよか、命がけで大航海時代みたいに一発勝負してるのに比べたら効率いいが、そろそろNASAやJAXAの命知らずに任せて手当たり次第でいかねば」
「そろそろ異世界蘭子さんに書かせた惑星のストックが切れるので私のでいきますよ」
「あぁ、唯頼むよ、あいつをギャフンと言わせてやる」
「おそらく外れが多いと思いますから気を付けてくださいね」
蘭子は異世界蘭子に張り合って惑星の取り合いをしていた。
「NASAから連絡ですよ。
危険な作業なので着手まで時間がかかるそうです」
「電池を多めに持たすとか、二人一組で行かすとかあるでしょ、天下のNASAが何言ってるんだ」
「あと・・・アメリカ議会から呼び出し状が来ていて、現状についで説明して欲しいと」
「それどころではない、異世界とパイの取り合いをしているんだ負けたら今後は異世界の言うがままだぞ。
国会ももっと予算をつけろ領土や資源が欲しくないのか」
「言いなりまでは行かないでしょ」
「何をいっているんだ、決定権は惑星を多く持っている方にあるんだ。言いなりにしたくないならうちが1番をとってそう決めたらいい」
唯の選定した可能性のある惑星を調べだした。外れが多かったが概算で惑星の一番乗り率が異世界蘭子を上回った時であった。
「よし、ここも奴より速く来たぞ」
「あら、蘭子さん」
振り返るとそこには唯達がいた。
「唯、何をしているんだ」
「これが蘭子さん?
私達の出発した後の人かしら」
「唯、お前は異世界唯なのか?」
「そおねえ、そう言うことになりますかしら」
「しかし何人いるんだ?」
浜辺で寝そべっている唯が数十人いた。
「どうだったかしら、ねえ唯ax1085efさん」
「数えてないな、4桁の番号を使い切ってからはさっぱり」
「そうねえ唯1号さんはどこかしら。あの方ならあるいは」
「自分の惑星に帰ったかもよ」
「まさか、こんな自由なところから逃走するとか無いでしょう」
「わかった、わかった。唯の惑星なんだな。
それで皆で来て残ったのか?」
「どうだったかしら、私はある日覚醒してここまで転移してきたんだけど」
「ああ、私もそう」「うん、私も」
「つまり、なんだ・・・そうか、他の異世界で唯がいないのは魔法のある世界の唯は勝手にここに来れてしまうから唯がいないのか?」
「そういうことになるかしら、お菓子も食べ放題だしねえ」
しかし、労働者てきな唯がいないのはおかしいと思った蘭子は。
「誰か他の、何て言うんだ、唯以外の生命体が奉仕しているんだろ?」
「奉仕?みゅー姫達が提供してるのよ、ねえ」
「みゅー姫がいるのか」
「ほら、あそこのヤシの木の向こうに塔があってそこで私たちを見て、料金としてお菓子やらを提供してるのよね」
蘭子は『そう言えばみゅー姫は唯を見てると飽きないとか言ってたな』と思い出した。
「まあいいか、ここは唯の惑星?それともみゅー姫の惑星かな?」
「ここは唯の惑星155ね」
「155個目ってこと?」
「もっとあるみたい、それとは別にみゅー姫の惑星があるのよね。私達を養うための工場がある」
「それには人がたくさん、そのつまり、種類がいるのかな?」
「みゅー姫だけみたい」
そこに異世界蘭子が転移してきた。
「なんだここは?
おい私から見て異世界蘭子よ、クローンでも作ったのか?」
「知らんよ、クローンじゃないよ。
クローンじゃないよね、唯たち?
すべての魔法が使える異世界から唯が、この世界のこの惑星群に集まってきているんだ」
異世界蘭子は自分の世界で死んだと思われていた唯についてたずねた。
「おまえらの中にうちの世界の唯はいるか?」
「どんな唯?」
「ある日、気分が悪いと言っていなくなった唯だよ」
「軽く100人はいるんじゃないかな」
「全員に会わせてくれ」
「ムリだよ、いたと思っても、それに近い境遇の唯かもしれないし」
異世界蘭子が落胆していると、唯の一人は達観したように・・・
「特定は出来ないけどどこかでのんびりしてるよ。こういう世界の私達が正解なんだと思うよ。
それに他の惑星は人が住めるけどなにがしかあるみたいだし。例えば地殻がまだ安定してないとか、危険な鉱物がたくさんあって長時間滞在して水を飲んだりできないとか。植物以外の先住生物がいて危険だとかあるから、ここらへんのどこかにいるのは確か」
「そだね、試しに行った唯が食べられかけたよね」
「負けたのか我々蘭子は」
「泣くなよ私、よくやったよ」
「なあ、唯教えてくれ、それなら唯たちだけで全宇宙を調べられたのでは?」
「えー、そんな無駄なことしないよね」
「使わないのに唾つけるとか無いでしょ。
だから頭の中に浮かんでこないんじゃないのかな」
蘭子達は自分の世界に帰って報告書を書いた。
関係省庁各位
東京大学大学院魔法遺伝子研究科 教授 佐々木 蘭子
異世界と宇宙には先住民として単一の多数から構成される唯一神の人類が集合して生活しており、それらは他を圧倒する魔法能力を身につけており征服することは出来ない。人類のつぎの宇宙旅行までの間、彼女たちと仲良く生活するのが一番である。
記
到達した惑星;多数
到達した並行異世界;多数
資源;無限大
戦争;無し
人種;人類のみ
科学技術;人類と同程度
魔法技術;人類以上
神様;唯一神
移住;可能(神様の許可が必要)
詳細は添付資料参照
蘭子はすべての研究をSilent gene解明とそれによるエネルギー構成の最適化と持続可能な社会を作ることに費やすことにした。科学文明が発達した時間軸と魔法の使える世界は宇宙人である祖先も経験したことが無い社会であり、やることが沢山ある。けっして不老不死になった自分の身の安全のためだけではない。
「神様達、イナザミ達は特別な存在なのか、それになぜこの世界だけ魔法が使えなかったのかもわからないし、ここらへんは明らかに出来たらするか、程度にしよう」
蘭子の教え子たちは魔法を公知にしたことでごまかさずに論文を書けるようになり無事に博士課程を修了してSilent geneの研究から派生したそれぞれの分野のエキスパートになった。ただ唯とみゅー姫は大使として惑星唯に派遣されてのんびりと生活を続けながらたまに帰ってきて報告書を書いたり論文を書いてすごした。
おわり




