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Silent genes  作者: テクマ
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覚醒

「じゃあね、真紀さま」


蘭子は自分の世界に戻った。軍隊が管理しているので真紀さまは神様である蘭子をお見送りして自分の家に帰っていった。蘭子はそのあしで大学に戻った。


「あれ、唯は残って研究?」

「うお、な、なんで蘭子さん?

色々とやることがあるんですよ、来週までにデバッグ済まさないといけないし、だし。

さっき、みゅー姫と愛の魔王が来て、蘭子さんは今日帰ってこない、って言ったからみんな遊びにいきましたよ」

「まあそんなもんだ、私は予定が変わったんだよ、いろいろあってさ。

それで真紀さまはどうした」

「真紀さまはいつものように定時で帰って彼氏と密会ですよ」

「18時か、あれはそうか、違うか」


やはりあの真紀さまは異世界の真紀さまなんだな、そう言いかけてやめた。


「真紀さまは要領がいいから実験は私よりも進んでいますよ」

「だよな、信仰心もあつそうだ」

「信仰心?真紀さまの神様はちょっと背が高い彼氏ですよ」


やはりどっぷりと浸る性格なのだろう。しかし唯はどうなのか、気にはなったが置いておくことにした。


「だがいいねえ、一つのことに引きずられないのは」

「私もこれが終わったらしばらく定時で帰りますから」

「いいことだ、背の高い神様を見つけてくるといい」


むせるほど高笑いをしてから蘭子は新たに見えたことを記録して唯に幾つかたずねた。


「ホワイトホールとかブラックホールとかの単語出てくる?」

「それは確か、

ホワイトホールへの移行がブラックホールの減退をはかどらせそれによって・・・はやめる、とかありますよ。

よって、はやめる、の間に入る単語が不明ですね」

「そうか、そこ宇宙船、が入るんだよ」

「愛の魔王に聞いたんですか?それなら予想として出てくる単語のなかに方舟ってありますね」

「あぁ、それが近いか」

「ですが、意味はさっぱりですね。宇宙船の、速度、をはやめるなら分かるけど、そうなると推進力がホワイトホールから放出されるエネルギーになるから、笑っちゃいますよね」


唯はそれらの単語を登録して全体を翻訳させた。


「おお、ここら辺の文章が宇宙船とホワイトホールの単語で意味がとれるようになりましたよ。残った部分も補完されました、エンジン部分の設計図じゃないですか」

「どうなってる?」

「魔力によって開いた異次元の扉から取り込んだエネルギーをごくごく少量使いせしめ、それによって、巨大なる益をえる。

って感じですね。物質の転移魔法がどこかにあって紐づけているのかな。続けて・・・

素材は炭素の単結晶からなるノズルで射出口はすべての素材から100mはなすべし。

・・・か、スケールがおおきいな」

「ホワイトホールから出てくる物質が炭素と反応しづらいけど長時間ふれると劣化する、とかいうところか。炭素の単結晶ってどっちかな、まあそのうち分かるか」

「愛の魔王に確認しますか」

「そうだな明日連絡してみよう、今はワークアウト中だろうし」


蘭子は、その日はもうなにも考えずに、自分の世界の家に帰って寝た。


翌日、蘭子の家の前で、


「蘭子先生、お早うございます」

「真紀さま?!どっち」

「こっち、の、です」

「いや、でもなぜ、唯になにか聞いた?

私は何も言ってないけどさ、そう、感ずいて真紀さまに伝えた感じ?」

「唯とはLINEで、具体的には何も無かったんですが、みゅー姫からも情報があったから。まあなんというか説明は難しいのですが、虫の知らせですかね」

「どんな虫がなんて知らせを?」

「向こうの世界に引き返して向こうの世界の私と会ったんじゃないかな、と、わざわざ唯に私の所在をたずねていたようだし」

「あぁ、そんな感じか、まあぶっちゃけ会ったんだけどさ、まあこっちと変わらないよ。

向こうの世界の真紀さまもこっちも私を崇拝しているって意味では同じ」

「崇拝?まあ信頼はしてますかね、んーーー崇拝でも良いですけれども。

向こうの世界の私は崇拝なんですか。

で、何しているんですか私は、学生ですか?」

「学生かな、はっきりとは聞いてないが、学生っぽかったかな」

「一瞬会っただけで崇拝か、これは以前から聞いていた魔王への覚醒でしょうね、向こうの世界の純真な私とは言え、この私が魅了されるとはなぁ」

「真紀さまは真紀さまと面識ないんでしょ」

「ありませんね、そもそも私は色々あって向こうの世界と接点が無かったから。

みゅー姫とか唯も崇拝しているとか?」

「いや、そこまでではないようだ」

「へーー、私はそういう趣味もないのになぁ」

「そういう意味ではない、魔法とかの関係だ、と思う」


真紀さまは急にニヤリと笑って少し低い声で語りだした。


「フフフッ、騙されたな蘭子、お前の本心をうまく聞き出せたわ」

「なっ!!」

「まあ、冗談ですけど」

「やめろよ、マジでビビるだろ」

「んーー、向こうの私と会いたいですね、どんななんだろう、こんな感じでふざけているだけかもですよ」

「あれはだな、いや、よくわからんよ。

今日、愛の魔王とみゅー姫もまじえて話し合うから来ると良いよ。

なんとなくやっていくのもそのうち限界が来ると思うから、今のうちに打ち合わせだ」


大学につくと愛の魔王とみゅー姫がすでに来ていた。


「朝トレ後に直で来ました。

そこのロッカーに入っていたストックのプロテインいただきました美味しいですね」

「あぁ、ミックスベリー味が好きなんだ、ホストのだけどまあいいよ、今度たくさん買って入れておくから。

でさ、異世界から来た人、手をあげて」

「はい」


なんとなくつかみのギャグのつもりで言うと、愛の魔王と真紀さまが手をあげた。


「真紀さま、冗談はいいから」

「私はあげていませんよ」


別の方角から声がして、真紀さまは真顔で答えた。


「え、でも真紀さまが」


そこにはもう1人の真紀さまがいた。


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