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Silent genes  作者: テクマ
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積算


愛の魔王は新たに生まれたコールドブレスをはくドラゴンを見るなりつぶやいた。


「何も浮かんでこないな」

「あぁ、そうか、そうだな。冷気をはくだけだもんな。予想はしていたが、もっとなにか無いかな、時間がたてば出てくる的な」

「転写から誘導だとしても遅くても数分、かからないかな。リアレンジメントなら数日かかるかもしれないけど。

でもこの子達はこっちの世界でも能力を使えるし、かたちも維持できるんですよね」

「まあふ化するまでひと手間かけていますけどね」

「氷に魔法のしゃへい効果があるならシベリアとか氷河のある地帯に潜んでいるかも、ですね」

「向こうの世界の南極あるいはシベリアとか?でもまあ珍しいけど使い道がないよ、今のところ」

「ソ連にいるアナスタシアさんに調べてもらったらどうですか」

「世紀の発見をしてもらうか、向こうの世界でも見つかってないようだし」


蘭子は裏のルートを通してアナスタシアにコールドブレスをはくドラゴンを探してもらうよう頼んだ。


「現状は珍しいだけだけどね」

「見つかれば良いですね、特に話は進展しませんが。

でも他にもいそうですよね、デカいのとか」

「それだな、でも、見つけるだけになるけどな」

「ドラゴンハーベスターでも良いじゃない」

「あまりお金がかかってないから良いけど、やる意義がないとマスターベーションだから、資金も手出しになるからね。工業的に利用できるといいけど、戦争も現状遠いし」

「魔王の私がこんな状態ですからね」


愛の魔王はだらしなく笑うと何かひらめいた。


「野性動物という事で、今度は環境省あたりから補助金ゲットでどうです。なにか利用価値とか必要ないでしょ、生きているだけで尊いから」

「温暖化の逆いくもんな、南極の中心あたりで見つかったことにすればいいか、でもあそこは新聞社の監督官庁だから表に出されるとまずいよ、硫黄島のアイツらが見つかったときも大騒ぎだったし。

ここは冷却機能の解明で経産省か国交省あたりで補助金かな、唐突だけどドラゴン無しで冷却機能だけ研究結果として出せばいいから」

「直近で使わないとしても凍らす能力で敵をせいするのは使えるのでは」

「凍らす能力はいがいとダメージが無いんだよ、液体窒素をこの子達が作る程度の冷気で作ったとしてそれを肌にかけても肌程度の温度ですぐ揮発してダメージが無い、もうちょっと成長するとたくさん作るだろうけど、思ったほど熱をうばわないんだよな」


だが、新しいと言えば新しいんだよな、などとぶつぶつ呟きながら、とりあえず再現性を調べることにした。


「鳥の種類と周波数とファクターが2つあるからどっちが効いたか分からん。とは言え周波数だろうけど、夜だけ浴びせるとかするから、変則的だよ、はじめから常にかけとくか」


周波数は堤スペシャルとよんだ。


「鶏の卵と軍鶏の卵をそれぞれ3個使って、堤スペシャルで結果を見よう」


また個体が増えるな、でも何がどう増えるのか今は分からん、等とブツブツ言っていたが、結果はどちらも同じ個体で冷却能力アリであった。


「気持ち軍鶏の方の気が荒いな」


一緒に見ていた唯が続けて、


「ほんと気持ちですけど、そんな印象」

「1代目は火をふくドラゴンを呼ばないね、別の種なんだろう。

しょうがないコイツらで愛の魔王を連れて異世に行ってくるか、体積の小さい足や手を凍らすようにしつけたら大丈夫だろう」

「大きいのは海とかに隠れてそうですよね」

「変なこと考えない、もう周波数のバリエーションはないだろ、ランダムに実験しないように堤先輩に言っとけ」



蘭子は愛の魔王とドラゴンを連れて異世界に入った。


「私は平常心ですから大丈夫です。でもどうですかね、もしものときは凍らせて引きずってあなたの世界に連れて帰ってくださいね」

「うん、そうするよ。気分はどうだい」

「何とも感じないですね」


愛の魔王は手のひらに炎を作ったり物を動かしたりして魔法を試しながら感覚を試した。


「ほぼもとの魔力だと思いますよ、例の補助器具無しだから、今の私は魔王ですよ」

「無いなら帰るか?魔王特有の魔法とかあったんだっけ」

「相手を従わせるのはあったかもしれない 、でも無意識のうちですよ。蘭子さんにかけているかもしれないけど、隷属の兆候が無いですよね」

「んーー、なにか愛の魔王に対して卑屈になるような感じはないな」

「と言うことは出ていない、あるいは・・・」

「あるいは?」

「蘭子さんに私が隷属しているのかもな・・・」

「私が魔王だってこと?それは無いよ」

「考えてみると、蘭子さんに会って、同時に黒こげにはなったけど、そういった衝動がなくなっているわけですし」

「気のせいでしょ、私は魔王的な衝動はないから」

「そうですか?ならそうなんだろうね。でもどうですか、私から聞いた情報は上書きされるとして、更になにか見えてきたりしませんか?」

「ないない、ありませんよ、まったく無い」

「私も見えるまで数日かかったから、何日か必要かも。

私はみゅー姫とワークアウトの予定があるから帰りますけど、蘭子さんは一晩のこってみたらどうですか。旅館とかホテルに泊まるだけですよ」


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