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Silent genes  作者: テクマ
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勇者

「二高に行けば蘭子さんの後輩になるんですね」

「一高です、唯は特訓してなんとかするのでみんな一高に集合すること」


  特訓って言っても、もう一回勉強遺伝子の解放をすればいいのか、いや二回かも、最悪二回山に登ればいいのか意外と簡単だな。ただ暗記はだるい、それなりに時間がかかる。解散したあとで蘭子ちゃんは


「とにかく唯は毎週末山に登るんだ、そう修験者のように、宗教は違うが根底で通じるものがあるはず。それに何よりも私は楽になる」

「毎週末勉強遺伝子の解放ですね。アインシュタイン超えるかもしれない、ノーベル賞とかもらったらどうしよう、目立ちたくないし断るかな、でも断るとかえって目立つらしいし、やっぱりもらっておくべきか」

「アホか、すでにフルオープンだ。滞留しないように使い続ければ転写がはかどる。継続することが重要だ、いいね、わかったね、わかりましたね」


足代プラス1000円のバイト代に飯付きで働かされることになった。母親は週末ゴロゴロしながら食っちゃ寝していた豚がいなくなってしかも食費が浮くと言って喜んでいた。





平和な日本とは異なる並行異世界の日本では私の遺伝子を持ったウイルスに2回感染したタンデム超人が誕生している頃合いであった。犯罪遺伝子の無い勇敢さを倍持つ超人、つまり勇者である。


並行異世界では、世界的に犯罪遺伝子を除去するプロジェクトのさい、自分の犯罪遺伝子にトランスポゾンを入れて処置済みのようにごまかしていた連中が性善説で成り立つはずの世の中で悪事を働き帝国を築いて君臨していた。彼らは犯罪遺伝子除去済みの一般の人間を、羊、と呼び自分たちを、狼、と名乗っていたが一般の人間からは、魔族、と呼ばれていた。


カンナズキ達の組織は魔族に対抗できる人間として勇者を作った。勇者の遺伝子がタンデムにのると魔力と治癒能力そして運動能力が解放されるようになり、何よりも悪を憎むのである。ただ自分たちの存在を知られたくないカンナズキ達は他人任せなので行き当たりばったりである。でもまあ勇者をみつけるととりあえず支援はするし、見つけるためのレポータージーンもつけてあった。やりっぱなしってわけではなかった。


「カンナズキ氏、今日も見つかりませんね勇者」

「ああそうだねミナツキ氏、レポータージーンをもっとはっきりでるのを選んだ方がよかったか、耳にかさぶた、じゃなくて例えば顔が真っ赤になるとか」

「御冗談を、それでは酔っぱらいと区別できません」

「そうだな、まあ気長に探すさ、なんならもう一回ウイルスをまいてもいい。勇者が1000人いたらもっとことがはかどる」

「個性的な勇者が集団になって何かできるとも思えませんが」

「この前見つけたおじいちゃんに頼るしかないかも、とりあえず魔族にけしかけてみるか、もしかしたらいい働きをするかもしれん」

「杖をついていましたし、そもそも代謝が落ちてますからいまさら活性化しませんよ」

「君と話していると成功するイメージがわかないなあ。そうだ医療関係者とかどうかな、風邪ひいた連中をみているから2回以上感染しているかもしれない」


  カンナズキ達は診療所に行ってみることにした。こっちの世界では魔法がつかえるので生活様式が発達しておらず昭和初期のまま文明が止まっている。医療も遺伝子治療が中心で薬はほぼ使わない。風邪の治療は免疫増進遺伝子の活性化が主流で病状がひどいときは抗体の可変領域のアミノ酸配列を魔法でいじるという治療法がほどこされている。


「いましたね、耳にかさぶたの出来た医師と看護師」

「うーん、どうも悪者をウイルスとか病気に設定していて魔族に向けていないな。これではダメだな」

「ウイルスを魔族がまいたことにすればいいのでしょうが、あいまいな情報を拡散するのは犯罪に類する行いになるのでひろがらないでしょうな」

「まことに面倒だ、やはり子供はどうかな、学校で感染が確認されているところが新聞にのっていたはず、さっそく行ってみよう」


小学校をみてまわると、風邪にかかりやすい子供が勇者になっていた。これが勇者、スサノオ、である。


「おじさんたちなんかようですか。ズルズル、ゴホゴホ」

「きみわあ、ずっと風邪ひいてるのかな。このまえインフルエンザみたいなのが流行してたけど」

「うん、ずっとこのまま、もともと風邪にかかりやすいから今何に感染してるかはわからないよ。ズルズルズル、ゴホゴホゴホ」

「・・どうかな、やっぱ魔族は憎いよね。あ唐突でごめんね」

「うんたおしてやりたい、いやたおす。ヘックション。あ、ごめん鼻水ついた」


  なんケツしてるんだろう、これはタンデムモンスターですな、ミナツキの目が輝いたが、なんというか病弱の勇者なんだな。あまり派手にやって魔族に見つかっては困ると思ってこういう方法をとったが、失敗だったか、と頭をよぎったが。気を取り直して一度保留して数日探し回ったが適性のある子どもは見つからなかったのでスサノオのサポートをすることにした。


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