召喚
ふう、無事にこっちの世界へ帰還した。頭の良くなった私は・・・・違いがかわらん、そもそも8bitから128bitになっても普通の処理は軽くなってもそれほど体感がないのかもしれないが、まあ16bitていどの違いだろうし。
「じゃあ蘭子さん、私はここで」
「ここで何するの。ここまで来たら登るでしょ、そこに山があるんだから、登るでしょ」
しょうがない登るか、ダイエットモンスターの発動をあきらめたから汗かかないと。それに社務所でご飯を食べさせてくれる、まあプラスマイナスゼロかもしれないが。
「ところで修論の何を約束したんですか、私をだしにつかって」
「ああ、大学の講座で自分がやる修論のテーマをそろそろ出さないといけないんだけど、そのネタをもらえないかカンナズキ氏に頼んでいたんだよ。遺伝子工学ではあっちは進んでいるから何かいい感じのがないかな、って。自分で見つけられなかったら教授が持って来たテーマをやるだけなんだけどね」
「それで、具体的には」
「なんでもいいんだけど、とりあえずお金かからないことと1年ちょっとで結果が出ること。カンナズキ氏にはサイレントの活性化因子が分かりそうなものをいくつかみつもってもらったんだよね。あっちでは魔法で発動できるからそんなもの知る必要はないんだけど、魔法で発動しているものを遡及していくとどっかの遺伝子には活性化因子が出ているだろうと。実験も簡単で培養細胞もっていってインダクションかけてもらってクエンチしてあとは分析するだけなんだけど。あとは教授になんて説明するかだよね、魔法でインダクションかけてもらう約束はできています、って説明できないもんね。キャハハハハッ」
「ほ~~、まったくわからないんだけど何かの役にたつんですかね、ヘヘヘヘヘッ」
「役にたたなくはないだろうけど、そんなすごいものはやってくれないだろう、フフフフフッ」
魔法ねえ、さらっと言ったね。まあ召喚されているのだし魔法はあるんだろうけど。
蘭子ちゃんが言うには、並行異世界ではあるとき急に魔法に関する遺伝子が活性化されて使えるようになったそうな。魔法遺伝子はこっちの世界の生物にも備わっていることはデータベースで確認できているらしいが、まだ活性化されていない。その魔法遺伝子がsilent genesと呼ばれる大昔からそなわっているが何にも使われていない遺伝子を操作しているらしい。
以上こんな感じですか。
私達は山頂につくと社務所を開けてお札やお守りなんかを売って昼には豚汁とおにぎりを食べておやつに大福をもらって夕方にロープウエイで下山した。
「唯ちゃん、今日のことは内緒だよ。まあしゃべっても誰も信用しないけどね」
修論のテーマをゲットした蘭子ちゃんは意気揚々うちに帰っていくのであった。
そして期末テストが終了したが。まあちょっと、ほんのちょっと成績があがっただが期待外れな結果だ、予定なら5教科で500点の満点が、8割り400点、私としては悪くはないのだが、やはり暗記はしないと点数がとれないことがはっきりした。私の幼馴染の真紀さまが
「ちょっと先生に聞いたけど何ぬけがけして成績あげてるのよ。最近付き合いが悪いと思ったら塾とか行ってるんでしょ。私達の成績は平均値でって誓いを忘れたの」
そんな誓い覚えてないけど言いたかったんだろうな。真紀さまは小学校の時の山友達でもある、中学で山部があれば一緒に入っていただろうが今は剣道部所属で週末遊んでいたのだが例の件であまりかまってなかったのでストレスが溜まっているのか。
「真紀さまは常に8割り以上とっているから平均値の誓いはそもそも無かったけど。まあ、ごめんね・・勉強教えてくれる人がいるのでちょっとだけ成績あがったんだよね」
「それは聞き捨てできませんね、どこの人から勉強を教えてもらったのですか」
常に500点満点のみゅー姫が割って入って来た。自分の努力で勉強遺伝子を開放した女、キラキラネームは東大に入れないと言うジンクスを軽く打ち破ってしまうであろう才女。
蘭子ちゃんのところで勉強することになった。
「それで、真紀さんとみゅーさん、よろしく」
「真紀さま、です。そしてみゅー姫」
「ああ、わかったわかった、真紀さまさん、で、みゅー姫さん、だね」
「そうですが、敬称略でお願いします」
自分でもめんどくさいと思っているが、これが正しいのでしょうがない。
「お菓子食べておしゃべりしてるだけなんだけど、まあ勉強するなら教えるけど」
蘭子ちゃんの大人の対応、ナイス。はじめて数分で
「みゅー姫は教えることは無いな、真紀さまも必要ないな。唯嬢は暗記しないとな」
「私は唯です嬢は必要ありません」
「で、唯は高校どこ受けるの」
「一高です」
「ムリだな、9割ないとムズイな。二人はどうするの」
「一高です」
「みゅー姫は東京の有名校でいいのでは」
「一高でお願いします。なんなら二高でもいいです、こんな面白い生物が他にいるとは思えませんので」
「あーあるよね、じゃあみんな私の後輩になるのね」