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Silent genes  作者: テクマ
22/54

とれーす

「勇者氏も論文よんで探してよ」

「読めないんですよね、英語」

「そうなんだ」

「英語読める人なら渋谷で知り合いましたよ、呼びましょうか」

「あ、う~ん、時間あるなら」


  勇者氏はスマホを取り出すと話し始めた。


「あ、おれ、バイトあんだけど、ああ、超楽勝、金もたっぷり」

「ずいぶんこっちに馴染んだみたいだね」

「そっすか、いや、それほどでもありません、今のは自分と分からないと切られるかもしれないのでそっち系の喋り方をしただけでして」


  しばらくすると来た。


「イェェ、蘭子氏、紹介しますっす、こちらステファニーっす」

「おお、本物の外人さんじゃないか」

「私、アメリカのニューヨーク州出身でステファニーっす、大学卒業して今はモデル事務所に登録して仕事待ちです」

「おお、いいね、日本語も堪能だし。では今日はお金は払うけど仮採用ってことで、これ読んで出来たら今度から空き時間にでも来てもらうよ」

「OKです、では読みますね」


  さすがにネイディブなので読むのもはやくすべて読み終えた。


「どうでしたステファニー嬢」

「そうですね、比較的IFの高い雑誌なので引用が多いから問題無いのかと思いますが、ただこの論文のイントロダクションで日本人が出したGENEの論文の内容に論理の飛躍があって、再現するのに苦労した、ようなことを匂わす記述があります」

「うんそのとおり、ステファニー嬢、合格だ。明日からも頼むよ」


  ステファニーは上機嫌で帰って行った。


「ついに見つかりましたか、CIAに連絡しますね」

「みゅー姫、何言っているんだい、大丈夫だよ、これは私の論文だから」

「蘭子さんが黒幕ですか」

「ちがうよ、すこしヒントをもらって書いたやつだ、ズルはしてない」

「へ~え」


  微妙な空気が流れたがそれを打ち破るような論文を唯が見つけた。


「あれ、これってもめていますね、雑誌の冒頭にQ&Aがある。再現できないのですが、に対して実際に再現して見せているビデオがアップしたから見てね、って」

「まあ、単に、ペケペケ社製のグレードまるまるのエタノールを使った、と書いてあっても試薬が古いと結果が変わるときもあるけど。これは皆納得してないけどビデオがあるからとりあえず引いた感じだね」

「アメリカの大学、ハワイか、とりあえずCIAに送っておくか。たしかアーノルド氏が行方不明になったのは太平洋上だったかな」

「しかしこれはサイレントをタンデムに入れたわけだからかなり大がかりですよね、この大学で可能なんですか、魚の巨大化ですよ」

「もちろんやり方にもよるけど可能だ。今考えられるのは筋肉ぜんたいに入れ墨を彫るみたいに細かく注射をたくさん打って導入してから、それから筋トレをして筋肉を増やしたのでは、という説があって。アーノルド氏は我が家に来たときわりと痩せてたじゃない80kgちょっと、わかくみえたけど、向こうに逃げたときは130kgオーバーぐらいのこっちのアーノルド氏とほぼ変わらず、年齢も見た目変わらずだったから。映画で見たときはその途中だったのではってことだよ」

「その間必死で筋トレして筋肉と一緒にサイレント遺伝子増やしたんですか」

「まあ、これもたぶんだけどステロイド使ってるね。ただしこれは正規の方法で可能だけど。推論に推論重ねているけど50kg分を増やしたのは確かだ」

「その50kg分が魔法能力の上乗せになっているのですか」

「うちらが大腸菌カプセル使ったときはウンコだから、ウンコはだいたい300gでそのうち半分が大腸菌だとして150gの上乗せ。タコピーだとしてもアーノルド氏の1kg相当、50分の1ですわ」

「今やったら負けますね」

「完敗だな」

「ときに勇者氏は筋トレ好き?」

「筋トレは嫌いじゃないけど、アーノルド氏のような、あそこまでは無理です」

「ワールドクラスでトップだもんな、あの半分ならどうかな、足りない半分はこっちで何とかするから」

「25kgですか100kgまで増量か、脂肪じゃだめですか、それならなんとか」

「脂肪細胞って、クローニングできるの?ってあんたに聞いてどうする、出来るの、唯知ってる?」

「私も知りませんよ」

「まあ、油だもんな、脂肪吸引して抜いて、シリコンバックに大腸菌積めて体に戻すのはできそうだな。破けると敗血症で死ぬだろうけど」

「冗談はそのくらいにしてくださいよ」

「いや大腸菌じゃなく乳酸菌ならなんとかなるかも、みゅー姫の過去の発言が助けになるとは」





雑談をしたのち、唯とみゅー姫は帰宅するため部屋をでた。しばらく行くと男に呼び止められた。


「あの、その、き、君たちわあ蘭子先生の研究室の人なのかなあ、と思っていて」

「いえバイトですが」

「そ、そうですか実はですね私は蘭子先生の研究室に入りたくていろいろと研究室のことを聞きたくて誰か出てこないかなあと小一時間ここで待っていたのですがあなかなか出てこないのでどうしようかなあと思っていたところあなたがたがあ出てきたので話しかけたしだいでしてえ簡単にまとめると蘭子先生の研究室ってどんな雰囲気ですかなどと聞きたかったのですがあ」

「本人に聞くのが早いと思いますよ、今部屋にいるし、暇そうにお菓子食べてますから」

「いやいや本人に聞くのは後でいいとしてえ、あの、その、客観的にですね、そう、マクロ的な視点からあ様子をうかがいたいと思ったしだいでして、そう、そうですねそのことについてですねえ」

「それなら、いい、です」

「そそそ、そうですかおいそがしいととところ呼び止めて申し訳ありませんでしたた」


なぞの男は走るでもない歩くでもない、でもすごいスピードで消えて行った。


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