ヒール
「敵の狙いはmagic_rankoじゃないですか?産業スパイの可能性もあるかも」
「いやいや、そもそもCIAと少数の人しか知らないし」
「そのCIAがあやしい」
「CIAにきかれたら教えるよ、対価はいただくが。ただ聞いてこないだけだよ」
「けっこうあっさりしていますね」
「それが資本主義だよ、囲ってもしょうがない、ワインや漬物じゃないから古くなったら美味しくなるってわけじゃないから。自分が一番初めに見つけたというのがトロフィーだよ、ただ表に出すまでの間にすこしだけ優越感に浸れる期間があったっていいじゃないか、と言ったところだよ。
しかしここで寝るのは気持ち悪いな、Ms加藤に部屋をかえてもらおう」
Ms加藤に連絡するとほどなくして別のホテルに行くように指示があった。そこで待っていたMs加藤はにっこり笑って
「ごめんなさい、あんな仕事させた後だと気になるのは当たり前ですよね。でもあれはメイドさんが部屋のチェックに入っただけみたいですよ」
「そうなんですか、でもホテルをかえてくれたので安心して眠れます」
「アハハッ、ちょっとランク上げておきましたから、楽しんでください」
「プールにカクテルか、女子高生とは分からんだろうが、こっちでは幼く見えるだろうからなあ」
「温泉にラーメンのが良かったかな」
「そこはジャグジーとプロテインシェークでしょ、アメリカだし」
「私は疲れたよ、先に寝るから。おやすみ」
蘭子を残してプールにジャグジーへと渡り歩いて盛り上がった後、部屋に帰って爆睡した。
翌日
「ふう、筋肉の張りがちがうな、さすがアメリカのプロテイン」
「たしか筋肉増強剤も入っているとか入って無いとか」
「今晩はジムにするか、ヘイ、シスター唯」
「私はバイクでお願いします、シスターみゅー姫」
「うむ、私はWODで、WODの意味は後で調べるとしてとりあえず言ってみました」
「あれ、シスター真紀さまはいずこに」
「謎の国際電話っすね」
「ほお、メールとかじゃダメな感じの」
「ダメみたいですね、そっとしてあげましょう、お年頃なんですよ」
「赤き誓いはどこに行ったんでしょうね」
「シングルのトイペなみに薄い誓いですわ、
さあ、シスター蘭子、ご飯食べていざ約束の地へ」
ディズニーランドにむかった。その途中、蘭子は語りだした。
「あれから考えたんだよ、アーノルドはあれがこっちの世界のアーノルドだなって」
「ハッ?何言っているんです、私達のこと知っていましたよ、よお蘭子、とか言ってましたし」
「なんか芝居がかっていたなあと思って。
役者はこっちの世界のアーノルドで、むこうの世界のアーノルドはスタントマンでセリフが無いんだよ」
「こっちのアーノルドに協力したってことですか」
「したんだろうな。こっちの世界のアーノルドは心臓が悪いからむこうの世界で治療したいんじゃないかな。そこで向こうの世界のアーノルドに頼んだのかもしれない」
「いい話じゃないですか、それならうちらに頼めばよかったことですよね」
「だな、だがCIAも認めたんだよ、悪意が無いならもういいんじゃないか、と。Ms加藤にメールで確認したがだいたいそういう感じみたい。むこうのアーノルドは悪党だけどこっちのアーノルドは英雄だから行かしてやるみたいだ」
「それなら治してあげたいです。私達のヒールはどれだけのことが出来るんでしょうね。病院で試してみませんか」
「いやどうかな大事になると困るんだけど」
「さっきからバスの前の席にいるおじさんにヒールかけているんですが、腰の具合が良くなっているんですよ」
「そんなことしてたのかよ」
「無詠唱ですからね、フフフッ」
バスを降りて病院に入った。
「心臓外科、か。
そこの車いすに乗ったおじさんで行くか。次の診察みたいだ」
「イエスマム、・・ヒーーーーーーール」
「え?」
「気合が入って声に出してしまいました」
「まったく、まわりが見ているよ。
だが、辛そうな顔だったおじさんがご機嫌だ」
おじさんは診察室に入るとすぐに出てきた。
「これは効果ありだな、心臓が治った、治った、と言っとる」
「これはいい、私のファイアーボールも試してみたいのですが」
「唯くん、あきらめてくれたまえ。真紀さまもウインドカッターは医療に使えないから。
とりあえずMs加藤に聞いてみるよ、最終日にでももう一回会ってヒールできないか、と」
その後、ディズニーランドに行ったが、すれ違う人にヒールをかけては、効いただの効いてない、だのと話がもりあがった。
「誰かケガしねえかな」
「あっ、あぶないよ、みゅー姫。ヒール使いたくてしょうがないんだろうけど」
「ああ、失礼、ですがアメリカですから」
「こういうところに来る人はそこそこ健康ですよね」
「まあ言いたいことは分かるよ、だがここまで来てそういうところに行きたいか?」
「すこし行きたい気持ちがあるのですが、押さえています」
「じゃあ帰ってそういうとこ行くか」
「あといくつか乗ったら帰りましょう。ストアーも行っていませんし」
「よし、そっちの魅力に負けたか」