仮装大会
「みんな遅れずに集まったね、えらい、えらい」
「いやあ、まさか横田基地集合とは、やられました。親に説明するのに苦労しましたよ」
「こんな武器持ってJAL乗れないって、アハハハッ」
「それで、出来ましたか武器は」
「ああこれだ、気にいっただろ、じゃあ手荷物にあずけてくるわ」
「見てませんよ、見せてください」
「じゃあちょっとだけ」
スタッフと呼ばれる細長い棒の先に宝石が配置されたピンク色の魔法使いの杖と剣に近い刃のついたレイピアを取り出した。
「魔法使いの杖のバカでかい宝石は百均のおもちゃ売り場で調達したゴムボールを使いました」
「ピンクですか」
「ピンクが好きかと思って。
さてレイピアはダマスカス鋼を使って細身の剣のような形状にしてみました、弱いので攻撃を剣で受けないこと」
「おおこれはカッコいい、鞘が段ボールに色を塗った以外は完璧だ」
「では、荷物をあずけますよ。みゅー姫も持ってきましたよね」
「忘れてはいないのですが、色がかなり独創的になってしまい」
「・・うん、いい、これはいい。ではあずけましょう」
「蘭子さんのは」
「わたしは魔法使いのおばあさん風のあれだよ、2本あるし」
「ちょっと怒ってますか」
「いや、まったく怒ってないよ。2本あるし」
和気あいあいとした雰囲気でワンボックス車に乗って飛行機に向かった。
「おお、まさかあのエアフォースワンにのるんですか」
「大統領来てたんだ、ふーん。
お、これだよ」
「輸送機ですよね」
「輸送機だね、ふーー、カッコいい」
「戦場に向かうようです」
「そう思えばそうだ、だが、そう思うな。ちゃんと飯もでる、何よりタダで乗れるんだ」
飛行機の中から人が降りてきた。
「ようこそ、C-5ギャラクシーへ、お待ちしておりました、さあお乗りください」
「向こうまで付き添ってくれるUS AIR FORCEのMs加藤だ、よろしくお願いいたします」
「おお、これはすごい、荷物と一緒に乗るのかとおもっていましたよ」
「いちおう間仕切りがあります。その後ろにF-35の部品がのっかります」
「だが思っていたよりもかなりいい、映画はどうなんですか」
「DVD用意しました、ポータブルプレイヤーで見てください」
「いいじゃないか、プレデターでも見るか」
「ブラックだなあ」
「・・当機は間もなく離陸します、お座席の位置を元に戻して、シートベルトの確認をお願いします」
「お、客室乗務員の方もいるのか、って、真紀さまじゃん」
「ハハハッ、他にお客がいないとやりたい放題できますわ」
「それでは本当に離陸しますね」
Ms加藤が注意をうながしてシートベルトを確認すると輸送機は離陸した。
「水平飛行に入ると食事を出しますね」
「ご飯ですね、ビーフでお願いします」
「ばっかモーン、そんな選択肢はない、だがビーフだ。事前に頼んでおいた」
「ナイスです。ところで例の実験結果は今回使わないのですか」
「おおあれか、使えるよ。まだ火なら火しか使えないが」
「やってみたいのですが」
「おおいいぞ、じゃあスマホのダウンロードサイトから、magic_rankoをダウンロードしてみて。あ、飛行機の中だった、降りてからだね」
「えー、それでどこまで出来るんですか」
「そりゃ、戦略級の爆弾まで出来るよ。・・温度を10**9℃以上まであげると物質は熱核分裂を起こして中性子が・・まあ、条件は厳しいが」
「できないんですね、私達でもわかりますよ」
「学校で試したが、ファイアーボールとかウオーターカッターにウインドカッターなんかできたぞ、初心者ならこれでいいだろう。それに今回はガチの戦いにならないだろうし、飛行機を降りてからちょっと遊ぶ程度でいいだろ。あと飛行魔法と、みゅー姫用にヒールを用意した」
「これはありがたい。もう医学を学びに大学行く必要なくなったような気もしますが」
「ヒールはとうぶんオープンにしないからちゃんと学校行くように。それに飛行はどうしても逃げないといけないときにのみ使用を許可します。じゃないとたいへんな騒ぎになりますから」
「そうですか通学の定期券買わなくてすむんですが」
「だめだめ、都内で飛ぶとパンツ丸見えです」
「ズボンはけばいいじゃないですか」
「いやダメだといったのですよ。ところで仮装用の衣装は作ったの」
「ああ、あれはドンキで探したけどシーズンが終わっていたのでユザワヤで生地買って手作りしました」
「いいねえ、私はコーヒーが入っていたズタ袋だよ、おばあさんだから」
「まだ怒っているんですか」
「いーや、まったく。だんだん楽しくなってきたよ」
そしてエドワーズ空軍基地に到着した。
「あーつらいわ、ジェットラグだわ」
「ずっと寝ていたじゃないですか」
「気分の問題だね。それでMs加藤、これからの予定は」
「ロサンゼルスまで移動してホテルにチェックインしてもらってから午後にアーノルド氏に面会になります。アナハイムのディスニーには明日以降でいかがでしょう」
「はい、では行きましょう」
「期待してますよ、みなさん」